1. 主賓とは?

主賓とは両家の「招待客の代表」という意味です。新郎側と新婦側から1人ずつ、合計2名にお願いします。披露宴の席は、主賓がメインテーブルに一番近い良い席(上座)になります。

2. 主賓を誰に頼むか?

社会的に地位のある人や肩書のある人にお願いすることが多く、上司や恩師、先輩というのが一般的ですが、カジュアルな披露宴では親族や二人のことを最もよく知る人が務めることもあります。以前は会社の上司や恩師など、年配の男性が頼まれることが多かった主賓ですが、最近は若い方や女性の方に頼むケースも増えています。新郎新婦がもっともお世話になり、尊敬している人、そして両家のゲストの代表としてふさわしいと思う人に依頼しましょう。新郎側と新婦側から1人ずつ、合計2名にお願いします。1名は披露宴の最初に祝辞を述べ、もう1名は乾杯の音頭をとるのが一般的です。主賓は1名のみというケースもあり、その場合は祝辞と乾杯の音頭の両方をお願いすることになります。

2-1. 職場の上司の場合

職場から招待した中で最も上の役職の方や、お世話になった上司など。職場での様子や仕事ぶり、新人のころからの成長や結婚相手について聞いた時のエピソードなどを語ってもらうことができます。ふだんあまり接触のない方にお願いする場合は、2人の簡単なプロフィールを持参するといいでしょう。お願いする方の役職や肩書については名刺や社内の文書などで正確に把握しておきましょう。

2-2. 学生時代の恩師の場合

担任、指導教授、部活の顧問や監督、習い事の先生など。お世話になった先生方や、長い時間を一緒に過ごした部活の監督などから、学生時代どんなことを頑張っていたか、どんな友人関係を持っていたか、学校行事でのエピソード、卒業後の成長などを語ってもらうことができます。

2-3. 親戚・友人の場合

最年長の親戚に依頼するケース、また親友に依頼ケースもあります。家族、親族など身内だけの披露宴の場合は、最も年齢が上の人や親のきょうだいの中で一番年上の人にお願いすることが多いようです。両親と相談してみましょう。よりカジュアルな雰囲気の披露宴やパーティーでは、幼なじみや親友、2人を引き合わせた人などにお願いする場合もあります。

3. 主賓としての出席をお願いする際のマナー

主賓はゲストのなかで最も格が高く、出席していただくことに加えて祝辞もお願いするので、くれぐれも失礼のないようにしっかりマナーを守りましょう。

CHECKポイント!
  • できるかぎり直接会って依頼する。遠方で、なかなか会う機会がない場合は、手紙・電話などで連絡を。メールや親から言伝は×。
  • 事前に断りもなく、招待状に祝辞依頼の付箋を同封するのは絶対NG。
  • 主賓挨拶の順番と持ち時間を伝える。
  • もし何か触れてほしくない話題があれば伝えておく。

断られた時

「どうしてもスピーチが苦手」「大役を引き受けられない」「体調が芳しくない」などの理由で主賓をお願いしても断られてしまうことがあります。無理強いするようなことはせず、他の人に依頼します。

3-1. 主賓をお願いする際の流れ

結婚式をすることになり式場が決まった、または、招待客を決めて主賓をお願いすることが決まったら、できるかぎり早く依頼します。主賓には「祝辞」の準備もあるので2ヶ月前までをめどにお願いしておきましょう。

依頼時に伝える内容

直接会うか手紙・電話で以下の4点を順に伝えます。

  • 結婚すること
  • 結婚式の日時
  • 結婚式をするので主賓として出席してほしい
  • 主賓の挨拶をお願いしたい

<主賓を依頼する際のあいさつ例文>

「このたび結婚することになりました。○月○日に□□□□□で結婚式を行う予定です。つきましては、主賓としてご列席いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。また誠に恐れ入りますが 当日一言お言葉をいただけますようよろしくお願い申し上げます。招待状はできましたら改めてお渡しさせていただきます。」

返事をもらう

その場で引き受けてもらえる場合もあるでしょう。検討する時間が欲しいという方もおられるかもしれません。その場合には「○月中旬ごろまでに返事をいただけると助かります」と言ってそのころまた連絡します。引き受けてもらえたら、式での祝辞の持ち時間を伝えておきます。

招待状に依頼状を添えて送る

主賓を引き受けてもらえたら、招待状に祝辞の依頼状と、交通費や宿泊費の負担について伝えるカードを同封します。

<祝辞の依頼状の例文>

「先日お願いした祝辞の件です。まことに恐れ入りますが、当日お祝いの言葉をいただけましたら幸いに存じます。なにとぞよろしくお願いいたします。」

3-2. 主賓の交通費と宿泊費の負担

主賓の交通費と宿泊費は新郎新婦が全額負担する場合と、交通費のみ負担する場合とがあるようです。結婚の報告と結婚式への出席をお願いする時に、交通費と宿泊費の負担についても言い添えておきます。交通費と宿泊費について「お気遣いは無用です」と言われたらご厚意に甘えてもいいでしょう。

宿泊費・交通費についての話し方

<交通費を自分の方で全額負担する場合>

「よろしければ交通費と宿泊費はこちらで用意させてください。」

<全額負担はできない場合>

「交通費しかご用意できないのですがご出席いただけるでしょうか。」

事前に手紙や電話で費用負担は明確にした上で、招待状を送付する際にも交通費と宿泊費について伝えるカードを添えます。招待状同様に句読点は入れません。

招待状に添える宿泊費・交通費についてのカード例文

<交通費を自分の方で全額負担する場合>

「遠方からお越しいただきますので 交通費と宿泊費はこちらで負担いたします チケット等は後日郵送いたします」

<交通費のみ負担する場合>

「交通費はこちらで負担いたします チケット等は後日郵送いたします」

交通チケット等を郵送する

主賓の方のスケジュールを聞いて遠方の場合は航空券や新幹線の乗車券などのチケットを1か月前には手配しておきましょう。手配が済んだら、チケットや宿泊先の資料等を送り、数日後に電話等でチケットが無事手元に届いたかどうか確認しておきましょう。

3-3. 主賓へのお礼(引き出物、お車代、お礼)

引き出物

主賓の引き出物を他のゲストより一品多くしたり、カタログギフトの場合はカタログのランクを1つ上挙げるなど、他のゲストとは区別することもありますが、基本的には「お車代」をお渡しするので他のゲストと同じでも大丈夫です。

お車代

  • 「お車代」として1万円を、新郎か新婦どちらか頼んだ側の親から個別に挨拶を兼ねて目立たぬように渡します。新郎側の主賓と新婦側の主賓のどちらか一方には渡してもう一方には渡さなかった、などということのないよう事前にきちんと準備しておきましょう。
  • 往復のハイヤーや、遠方の場合で新幹線や飛行機代などを新郎新婦側で負担し手配した場合は、「お車代」を包む必要はありません。しかし、地域や家によっては引き出物をランクアップしたり一品増やしたり、商品券を引き出物の袋に入れておくなどのケースがあります。
  • ご祝儀袋(水引は結び切りタイプ)に表書き「御車代」か「お車代」と、新郎か新婦どちらか招待した側の名前を書きます。両家の名前を書く場合もあります。

式がすんだら

  • 新郎新婦は、披露宴終了後のお見送りの際「ご祝辞をいただきありがとうございました。」とお礼を述べましょう。
  • 結婚式後に会う機会のない方にはお礼状を送り、会社などで顔を合わせる機会がある方には結婚式後なるべく早く口頭でお礼を言います。

<主賓へのお礼状例文>

「拝啓(時候や季節の挨拶) ○○様におかれましてはお健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます。 先日はご多忙中の中、私どもの結婚披露宴にご臨席いただき、誠にありがとうございました。披露宴ではあたたかいご祝辞と格別のお心遣いをいただき、心より御礼申し上げます。 お言葉の中にあった「□□」というご自身の夫婦円満のコツを、私たちのこれからの人生に生かして○○様のような家庭を作っていきたいと思います。 今後とも、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

敬具」

4. 結婚後のおつきあい(年賀状・お中元・お歳暮)

主賓を務めてくださった方へは毎年年賀状は送るようにしましょう。お中元やお歳暮については、主賓をお願いしたからといって必ずしも贈らなくてはならないものではありません。ふだんからお付き合いがあって今後のお付き合いもお願いするという関係であれば、お中元やお歳暮を毎年継続して贈ります。関係やお付き合いの程度によって、結婚式の年のお歳暮だけ、または結婚式後3年間だけ贈ることもあります。