1. 主賓とは?

主賓とは両家の「招待客の代表」という意味です。主賓として出席するということは、振る舞いやご祝儀、スピーチの内容も、友人や同僚として招待され事情が異なってきます。主賓として結婚式に招待されたら、どのような心がまえで出席すればいいのでしょうか?どのようなマナーがあるのでしょうか?

2. 主賓の役目と心がまえ

主賓として出席をお願いされるということは、両家のゲストの「代表」として披露宴に招待される、とても光栄なことなので頼まれたら喜んで引き受けましょう。一度引き受けたら、万が一のことがない限り欠席やキャンセルをしてはいけません。

主賓は披露宴の幕開けとなる祝辞を述べます。主賓にもっとも求められるのは「品格」なので、落ち着かない態度や、飲みすぎてくだけすぎた言動などないようくれぐれも気をつけましょう。

3. 主賓の服装

一般的な招待客としての服装で構いませんが、招待客の中で自分がメインのゲストとなりますので、上品で主賓の立場に相応しい服装と身だしなみを心がけましょう。

女性

式場、披露宴の開演時間により異なります。洋装は昼ならワンピース+ジャケット、夜ならイブニングドレスなど。ひざは隠れるようにし、極端に華美な服装や露出は避け、上品で落ち着きのある服装を心がけましょう。和装は、未婚女性なら振袖か訪問着、既婚女性であれば訪問着か色留袖。髪型は上品なアップスタイルに。

男性

準礼装。昼ならディレクターズスーツ(モーニングコートとブラックスーツの中間)、夕方から夜ならタキシード。少ないケースですが格式を重んじる披露宴の場合は、正礼装(モーニング・燕尾服)を着用することもあります。念のため、ドレスコードは新郎新婦に確認しましょう。

4. 主賓から新郎新婦へのご祝儀

5万円が一般的ですが肩書や立場によって変わってきます。交通費や宿泊費がかかる場合は新郎新婦が全額、または交通費のみ負担してくれるケースが多いです。その場合はとくにご祝儀を上乗せしなければいけないというわけではありませんが、新郎新婦との関係性や、自分の社会的地位、地域や披露宴の会場のランクなどを考慮して7万円や、10万円以上包むケースもあります。交通費や宿泊費が不要な場合は、宿泊費と交通費の負担を申し出られた際に「お気遣いは無用です」とお断りしましょう。その場合でも、祝辞を述べる手数のお礼として多くは当日「お車代」として新郎新婦側から1万円程度渡されますのでありがたく受け取りましょう。

5. 祝辞(スピーチ)のポイント

スピーチはマニュアルにとらわれすぎず、お祝いの気持ちを自然で温かい言葉で伝えましょう。緊張すると用意した原稿を棒読みしたり、早口になってしまいがちなので肩の力を抜いて、ゆっくりと落ち着いて話すようにしましょう。主賓の祝辞は披露宴のはじめに行うことがほとんどです。スピーチが終わったら、ある程度リラックスして、新郎新婦の両親が挨拶に来たら応じたり、同じテーブルのゲストと食事や会話をします。緊張が解けて飲みすぎてはいけませんが、主賓だからといってかたくなりすぎずに披露宴を存分に楽しみましょう。

5-1. 事前に確認しておくこと

主賓として祝辞を頼まれたら、以下のことを確認しておきましょう。

  • 新郎新婦の名前(漢字と読み方)
  • 結婚式の日時と場所
  • 披露宴の形式と招待客の人数
  • スピーチの順番と持ち時間、乾杯の発声もするのかどうか

5-2. スピーチの内容

主賓のスピーチは3段階(導入→新郎新婦のエピソード→結びの言葉)。時間は3分~長くても5分以内に、乾杯前なので短く簡潔にまとめましょう。

導入(自己紹介+お祝いのことば+招待のお礼+着席のすすめ)

簡単な自己紹介(新郎新婦との関係を簡単に)とお祝いの言葉、招待のお礼をまず述べ、新郎新婦に着席を勧めます。新郎新婦を早めに座らせてあげるのがポイントです。

<例文>

「ただいまご紹介にあずかりました、新郎○○くんの勤務先の上司にあたります□□と申します。○○くん△△さん、ご結婚おめでとうございます。そしてご両家のご親族のみなさま、心より御祝いを申し上げます。このようなおめでたい席にお招きいただきありがとうございます。どうぞお二人はお座りください。」

新郎新婦のエピソードや人物紹介

「真面目」「明るい」「努力家」など人柄や長所、成長ぶりが分かる具体的なエピソードを披露しましょう。スピーチをつくるときは、印象に残っていることをいくつかピックアップして苦労話や愚痴はNG。明るいトーンにまとめましょう。ゲストの中には、新郎に初めて会う新婦側のゲスト、新婦に初めて会う新郎側のゲストもいるので、もしわかれば新郎新婦のなれそめや人となりが分かるような出来事を分かりやすく話します。

結び(はなむけのことば)

2人で新しい人生を歩み始めた新郎新婦に対して、結婚生活のアドバイスや改めてお祝いや励ましなどエールを送る言葉で結びます。

<例文>

「以上をもちましてご挨拶とさせていただきます。末永く幸せな家庭を築いてください。○○くん△△さん、本日は本当におめでとうございます。」

5-3. 主賓スピーチのタブー

主賓の祝辞だけではなく、結婚式のスピーチにはお祝い事ならではの使ってはいけない言葉(忌み言葉)があります。とくに年配の招待客が多い披露宴では気にする方もいらっしゃるので、出来上がった原稿をチェックしておきましょう。

忌み言葉

  • 別れや不幸を連想させる言葉(去る、切る、壊れる、死、苦、消えるなど)
  • 再婚を連想させる言葉(戻る、繰り返す、再びなど)
  • 重ね言葉(ますます、またまた、たびたびなど)
  • 「最後に」「おしまいに」は、「結びに」に言い換えます。

その他のNG話題

  • 内輪ネタや失敗談
  • 異性関係の暴露
  • 年齢や身体的特徴に関すること
  • 下ネタ
  • 自慢話
  • 政治や宗教
  • プライバシーに立ち入るような発言(収入、学歴、出産など)

6. 結婚式当日の流れ

会場に到着したら

披露宴の受付開始時間に合わせてぎりぎりにならないよう、余裕をもって会場入りします。クロークに不要な荷物を預けたり、受付をしたり、トイレを済ませておきます。いずれかのタイミングで、新郎化新婦どちらか自分を招待した側のご両親が挨拶に来るので「本日はおめでとうございます」と挨拶します。

披露宴開始

新郎新婦が入場し、披露宴が始まります。新郎新婦の紹介を司会者がした後に新郎側の主賓挨拶、次に新婦側主賓挨拶があります。

司会者から紹介

司会者に紹介されたら、同卓のゲストに向かって着席したまま軽く一礼します。次に、その場で立ち上がり出席者全員に対して一礼し、マイクの置かれている立ち位置までゆっくり歩いていきます。

祝辞

マイクの前に立ってまず新郎新婦にゆっくり一礼し、会場全体にもう一礼します。 原稿やメモをなるべくなら見ないほうが伝わりますが、メモを時々見ながらでも、目線は新郎新婦や親族、他のゲストなどに配りながら落ち着いてゆっくり話しましょう。

祝辞終了

スピーチが終わったら会場全体に向かってゆっくり一礼、新郎新婦にも一礼、テーブルの自分の席に戻り同卓のゲストに向かって礼をします。