1. 結婚式・披露宴における、両家親族代表挨拶(謝辞)とは?

両家親族代表挨拶(謝辞)とは、披露宴の締めくくりに、両家を代表して述べる挨拶のことです。かつて、特にフォーマルな雰囲気の披露宴や親族・仕事関係など親の関係のゲストが多い場合に、新郎の父が両家を代表して挨拶をすることが多かったようですが、最近は新郎新婦本人たちのみがつとめることも多くなっています。
もちろん、新郎の父や新郎新婦以外にも、二人がふさわしいと考える人物ならば新郎の母や新婦の父、母、または各祖父、祖母、叔父、叔母、きょうだいなど、誰が行ってもかまいません。

新郎新婦以外の人が謝辞を述べる場合のプログラム進行としては、披露宴の締めくくりに、両家の親族代表の謝辞 → 新郎新婦の謝辞 → 披露宴お開き、という流れが一般的です。

親が謝辞を述べる場合の心得

もし親など、新郎新婦人以外の人間が謝辞にたつなら、その場合の最大のポイントは、これは両家の親族を代表し、招いた側として行うものであるという認識です。招いた側(新郎新婦と親族)に対し、招かれた側というのは親族以外のゲストのことです。親族以外の招待客に向かって挨拶するものなのです。自分の個人的な思いや家族の話ばかりして相手側の家族が気を悪くしてしまった、ゲストにとっては聞かなくてもいい親族間の挨拶を延々聞かされてみなが辟易した、という苦いケースも聞き及びますので気をつけましょう。

相手親族への言葉をいれるとしても控えめにするのがベターです(きちんと相手親族に挨拶したい場合は、親族紹介の時間を設けましょう。「結婚式当日の親族紹介・顔合わせの行い方、流れ、気をつけるポイント」をご参考ください)。

披露宴を印象づける最後の大切なスピーチなので、ゲストに対する感謝の気持ちや新郎新婦への支援、今後のお付き合いのお願いを、相手側の親族の思いも含めてしっかりと伝えましょう。

新郎新婦のみが謝辞に立つ場合は、招いた側は新郎新婦、招かれた側は親族含むゲスト、という認識でよいでしょう。来てくれた親族、友人、同僚などすべての皆様に感謝の気持と今後のお付き合いを心からお願いしましょう。

今回の記事は基本的には、新郎新婦以外の誰かが親族代表という立場で謝辞を述べること、を前提に解説してまいります。

新郎新婦が謝辞を述べるケースについてはこちらを参考に

2. スピーチにおける要注意ポイント

両家の代表=招いた側という立場

繰り返しになりますが、両方の親族を代表して招いた側に立つ、という認識が重要です。先方の親や兄弟姉妹なども含めた親族全員の代表であると心得、のぞみましょう。自分の子どもの話や親族間の挨拶ばかりにならないようスピーチの内容を吟味し、代表挨拶として相応しい態度と内容であるようにしましょう。

長さ

一般的には新郎新婦の謝辞がそのあとに続きますので、400字~1000字程度、ゆっくり話して1分~2分程度長くても3分以内に簡潔に短めにまとめましょう。

ゆっくりと落ち着いて

早口になりすぎたり、用意した原稿を棒読みしたりしないよう肩の力を抜いて、ゆっくりと落ち着いて話すようにしましょう。緊張しやすく暗記して話すのが不安だという方は原稿やメモ読んでもかまいません。また、続いて新郎新婦の謝辞がある場合は内容が重複しないよう事前にチェックしておけるとよいですね。

控えるべき発言、避けるべき話題

新郎新婦の個人的なことに触れたり、けなしたりしないように注意しましょう。また「○歳でやっと結婚できた」「早く孫の顔が見たい」といった年齢や性別、子どもに関する発言は絶対にやめておきましょう。この手の失敗を犯した政治家の話題には事欠きません。他にも下記のような話題、話し方にならないよう気をつけましょう。

  • 「え~」「あの~」「あ」など過剰に言う
  • 下を向いて原稿を読む
  • とりとめもなくだらだらと話す
  • 飲みすぎてろれつが回らない
  • 年齢や身体的特徴に関すること
  • 自慢話
  • 政治や宗教
  • プライバシーに立ち入るような発言(収入、学歴、出産など)

忌み言葉

結婚式のスピーチにはお祝い事ならではの使ってはいけない言葉(忌み言葉)があります。

別れや不幸を連想させる言葉(去る、切る、壊れる、死、苦、消えるなど)
再婚を連想させる言葉(戻る、繰り返す、再びなど)
重ね言葉(ますます、またまた、たびたびなど)
「最後に」「おしまいに」は、「結びに」に言い換えます。

その他にも様々な忌み言葉、言い変え方があります。あわせてこちらをご参照ください

3. 構成と内容・例文

両家親族代表謝辞は

  1. 導入
  2. エピソード
  3. 感謝とお願い
  4. 結びの言葉

の4段階で話します。 以下順にそれぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

3-1. 導入(自己紹介+披露宴への出席や祝辞へのお礼)

まずは新郎新婦との関係と自分の名前を述べ、結婚式に集まっていただいたことへの感謝をゲストに述べます。

<例文>
「新婦の○○(新郎の○○)、□□□□でございます。本日はお忙しいなか、○○(新郎)、△△(新婦)の結婚披露宴にご出席いただきまして誠にありがとうございました。両家を代表し、心より感謝申し上げます。また、多くの方々からの温かい励ましのお言葉や、楽しい余興をいただき感激しております。」

<例文>
「新婦の○○(新郎の○○)、□□□□でございます。□□家・○○家を代表して、誠に僭越ながらひと言ごあいさつを申し上げます。本日は、あいにくの空模様にもかかわらず、多くの皆様にご臨席を賜り(たまわり)まことにありがとうございました。また、ご来賓の皆様方から心温まるお言葉を多数いただきまして、心よりお礼申し上げます。」

3-2. エピソード(○○としての現在の気持ちやエピソード)

新婦や新郎の子どものころや学生時代のこと、今日の結婚式について、結婚相手を紹介された時のこと、新郎新婦と一緒に過ごした時のエピソードなどに加えて、ゲストの皆さまの支えや協力によって新郎新婦が今日の日を迎えられたことへの感謝を述べます。

<例文>
「○○は小さい頃は□□で△△でしたが、ここまで大きく育ちこのよき日を迎えられたのは、本日お集まりいただきましたご友人、ご来賓の皆様の支えがあったからこそと思います。本当にありがとうございます。」

3-3. 感謝とお願い(ゲストにむけて新郎新婦への応援や支援、今後のお付き合いをお願い)

新郎新婦の親族として、二人がこれから新しくつくっていく家庭との付き合いを続け、今後も協力や支援をしていただきたいとお願いします。

<例文>
「本日、晴れて夫婦となった二人ですが、新しい家庭を築いていく道のりは平坦ではないでしょう。今後とも、皆様のお力添えを頂戴したく(ちょうだいしたく)存じます。」

<例文>
「本日、新しいスタートに立った二人ですが、まだまだ未熟な二人です。どうか皆様、ふたりをあたたかい目で見守り、何かありました時にはぜひとも正しい道へと導いてくださいますよう、心からお願いを申し上げます。」

3-4. 結びの言葉(お礼と締めの言葉)

披露宴のホストとして至らない点があったかもしれないことを詫び、両家の親族を代表して披露宴の締めくくりの挨拶をします。

<例文>
「本日はわざわざご列席をいただきましたにもかかわらず、慣れない宴席で不行き届きの面も多々あったと思いますが、どうかお許しください。この後、新郎(新婦)○○も挨拶をさせていただきますが、まずは両家を代表いたしまして、私より皆さま方へのお礼の言葉とさせていただきます。結びに、皆様のご健康とご多幸を祈りつつ、両家代表の挨拶と代えさせていただきます。本日はまことにありがとうございました。」

4. 新郎父じゃなくてもいい

結婚式文化に根強く残る男尊女卑

披露宴のお開き近くに行われることが多い両家代表謝辞。両家を代表して「二人のためにご参列いただきありがとうございます」「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」と披露宴の出席へのお礼と今後のお付き合いをお願いする挨拶です。この両家代表挨拶(謝辞)は、この挨拶は新郎の父が行うことが多いような印象がありますが、はじめにも述べたように二人がこの役目に相応しいと思うなら誰が行ってもかまいません。

なぜ新郎の父が行うことが多いのか。それは女性が「新郎の家に嫁ぐ」「入る」ために新郎の家の人が代表として行う、かつ新郎の母ではなく新郎の父が行うのは「家長」である男性が挨拶をするという、かつてのイエ制度の名残と男尊女卑的な考え方や風習がいまだに残っているからです。

そもそも結婚式や披露宴などの冠婚葬祭は、イエや親、親戚が関わるため、二人の関係性や仕事上などのふだんの生活では感じないような、「男性や新郎の家が上で女性や新婦の家が下」といった古い考え方が現れやすい場面でもあります。例えば、招待状の送り主などすべての順番は新郎が先、新婦が後、乾杯の音頭は親族の中の長である男性が行うことが多い、など。新郎の母や新婦の母が謝辞や、招待客にお酌をするのはみっともない、といった意見まであります。

しかし、現代では家族の形態はさまざまです。性別、年齢等に関わらず家族のあり方は様々ですし、結婚は基本的に本人同士がするものです。つまりどんな形の結婚式や披露宴があってもいいのです。謝辞や挨拶は新郎の父でも母でも、新婦の父でも母でも、誰がやってもかまいません。披露宴の中で新郎側の誰かと新婦側の誰かが一人ずつ短く挨拶を述べるというのもいいでしょう。挨拶は、やりたいほうがやる、スピーチが得意な方がやる、シャイだからやりたくない、きっと飲みすぎてしまうのでやりたくない、などなど、話し合って自由に決めればいいことです。

そもそも親族代表の謝辞が必要なのかをよく考える

結婚する新郎新婦はお互いに独立した大人なのだから、謝辞や披露宴の締めの挨拶は新郎新婦だけで十分です。中には、結婚はイエとイエがつながること、姻戚になるという考え方が強い結婚もあるでしょうが、そうではない場合の結婚においては、親が挨拶をする必要性はもはやあまりありません。新郎新婦が親族含むすべてのゲストに心からの謝辞を述べれば十分です(新郎新婦のみが挨拶をする場合も、新郎でも新婦でもどちら、あるいは二人で挨拶を行ってもかまいません)。ただし、長い時間を育ててきた親という立場から我が子のために集まってくれた招待客にあらためて感謝を述べたいという思いは至極自然なことではあるでしょう。招待客のほうとしても親の言葉を聞き、親の想い、親心に触れ感動するものです。そういう意味での親の謝辞であればぜひ行っていただきたいと思います。

いずれにせよ、親の挨拶にしても、新郎新婦の挨拶にしても、「男側(新郎)だから」とか「女側(新婦)だから」といった理由で決めるべきものではないでしょう。ちなみに本サイトPridal TIMESは、イエ制度は特段否定しませんが、男尊女卑の考え方や風習、しくみには強く反対します。

5. 親向け、必読記事はこちら

何かと気を抜がぬけない結婚式・披露宴での親の立場。親の役目、ふるまい、子どもの友人知人への挨拶の仕方については、こちらの記事をご参考ください。

参考:
ひぐちまり『二人らしいおもてなしと準備 結婚の段取りとすべてがわかる本』 学研パブリッシング 2013年2月