忌み言葉は代表的なものは避けつつ、神経質になりすぎない

お祝いの席での忌み言葉には、不幸、不吉、死を連想させる言葉夫婦の別れを連想させる言葉再婚を連想させる言葉、またまた、たまたまといった重ね言葉などがあげられます。 とはいえ、そのような言葉は無数にあり、それらの言葉全てを絶対に使わないでスピーチするとなるとかなり難しいでしょうし、恐らくほとんどの人がよほど際立った言葉でない限り忌み言葉とは気がつかないのであまり神経質になりすぎないでもよいでしょう。

例えば同級生のためにスピーチをしたとき、「○○君が地元に戻ってきたときに…」と言ったとします。実は“戻る”は夫婦の別れを連想させる言葉であり、NGとされますが、そのぐらいであれば咎められるほどのことはあまりありません。

特に避けるべき忌み言葉のリスト

ただし、忌み言葉の中でも特に避けるべき言葉というのがあり、「別れる、切れる、死ぬ、殺す、壊れる、失う、病気」などが挙げられます。このような言葉は確かに誰にでも強烈な負の印象を与えますので、スピーチの原稿を書く際にはそのような話題を避けるか、言葉を言い換えるように心がけましょう。

少しの工夫で言い換えられる言葉も多くあります。「最後に」なら「結びに」、「ケーキを切る」なら「ケーキにナイフを入れる」など。下記に忌み言葉を挙げつつ、言い換えられるものはその例をあげてみました。

不幸、不吉、死に関連する忌み言葉

(→ は言い換え)

  1. 死ぬ
  2. 亡くなる
  3. 逝く
  4. この言葉をおくります (→ この言葉をはなむけといたします)
  5. 最後に、終わりに (→ 結びに)
  6. 終わる (→ お開きにする)
  7. 花びらが散る (→ 花びらが舞う)
  8. 泣く (→ 涙する、涙がほほを伝う)
  9. 去年 (→ 昨年)
  10. 四(し)(→ 四(よん)
  11. 九(く)(→ 九(ここのつ)
  12. 壊れる、崩れる (→ 形が変わる、変化する)
  13. スルメ(擦る=使い果たす、という意味合いでNG) (→ アタリメ)
  14. すり鉢(スルメと同様) (→ あたり鉢)
  15. ~になってしまう (→ ~になり)
  16. 葬式
  17. 釈迦
  18. しめやかに
  19. 弔う
  20. 忌み
  21. ご存命中
  22. 生きている頃
  23. 朽ちる
  24. 果てる病む
  25. 病気
  26. 倒れる
  27. 倒産
  28. 弱る
  29. 滅びる
  30. 敗れる
  31. 焦る
  32. 憂い
  33. 痛ましい
  34. 悲しむ
  35. あせる
  36. 衰える
  37. とんでもない
  38. とんだこと
  39. 苦しい
  40. 倒れる
  41. うとんじる
  42. 伏す
  43. 流れる
  44. 負ける
  45. 遠のく
  46. 途絶える
  47. 閉じる
  48. 欠ける
  49. 断る
  50. 悪い
  51. 醤油
  52. 短い

夫婦の別れを連想させる忌み言葉

(→ は言い換え)

  1. 離婚
  2. 離縁
  3. 離別
  4. 別れる
  5. 離れる (→ 新たな道を進む、独立する)
  6. 職場を離れる (→ 家庭に入る)
  7. 終える、終わる (→ 結ぶ)
  8. 帰る (→ 中座する、帰省する、帰宅する)
  9. ケーキを切る (→ ケーキにナイフを入れる)
  10. 新たなスタートを切る (→ 新たに出発する、スタートラインに立つ)
  11. 薄い (→ 厚くない)
  12. 嫌い (→ 好きではない)
  13. 料理が冷めないように (→ 料理が温かいうちに)
  14. 失う
  15. 逃げる
  16. 出る
  17. 去る
  18. 放す
  19. 失う
  20. 放す
  21. 薄くなる
  22. ほどける
  23. ほころびる
  24. 消える
  25. 飽きる
  26. 浅い
  27. 返す
  28. 戻る
  29. 裂く
  30. 割れる
  31. 忙しい
  32. 疎遠
  33. 疎んじる

再婚を連想させる忌み言葉

(→ は言い換え)

  1. 再び (→ 今一度)
  2. 二回 (→ 今一度)
  3. 二度 (→ 今一度)
  4. 何度も (→ 頻繁に)
  5. 再三 (→ 頻繁に)
  6. 再婚
  7. 繰り返す
  8. なおまた
  9. ではまた

重ね言葉(忌み言葉)

(→ は言い換え)

  1. 重ねて (→ 加えて、深く)
  2. 重ね重ね (→ 加えて、深く)
  3. また (→ 改めて)
  4. 次々 (→ たくさん)
  5. いよいよ、ますます (→ もっと)
  6. 返すがえす (→ 本当に、思い起こせば)
  7. いろいろ (→ 多く、多彩な)
  8. ぜひぜひ (→ ぜひ、ぜひとも)
  9. まだまだ (→ もっと、より)
  10. たびたび、しばしば (→ よく、しげく、いつも)
  11. くれぐれも、重々 (→ 十分に、よく、どうぞ)
  12. 皆々様 (→ 皆様)
  13. またまた
  14. たまたま
  15. かえすがえす
  16. さいさい
  17. わざわざ
  18. さらに
  19. なお
  20. なおも
  21. 相次いで

否定的な言い回し、公の場にふさわしくない言葉は避ける

非敵的な言い回しは避ける

忌み言葉以上に気をつけて避けるべきは、否定的な言い回しです。例えばとても親しい友人へのスピーチの場合、ついつい気安さから「○○は大人しすぎて頼りないところもありますが…」といった表現もしてしまうこともあるでしょうが、それは結婚相手の親せきや友人、会社の人がいる前で言うべき言葉ではありません。「○○は控えめで優しいので…」といったふうに否定的に感じさせない表現を選びましょう。

子作りの話題に首をつっこまない

また、これは否定的な言い回しではありませんが、現代では「すぐに可愛い赤ちゃんを…」といった表現は場合によっては相手に不快な気持ちにさせてしまうこともあるようです。いくらよかれと思ってもそれは他人が詮索すべきことではないでしょう。

いくら新郎新婦と親しくてもくだけすぎた言葉はNG

また、日頃なにげなく使っている公式の場にはふさわしくない現代的な言葉「超~、ウザい、ぶっちゃけ、やばい…」などは避けるべきです。どんなに内容的に素晴らしいスピーチでもこうした言葉を使った途端、特に年配の方の心証は悪くなってしまいます。

一般常識の範疇を守って、みんなを不快にさせないスピーチを!

せっかく頼まれたスピーチですから、盛り上げてやろう!楽しませよう!とついつい忌み言葉やNG表現を使ってしまうことはわりとよくあること。結婚式は新郎新婦の大切なお披露目の場であり、そのご両親、親せき、上司など多くの方がいることが忘れずに彼らに恥ずかしくないよう、一般常識の範疇は守り、その上でお祝いの気持ちを伝えるようにしましょう。