近年、結婚しない男女が増えてきています。定期的に行われている国勢調査を見ても、未婚率は年々右肩上がりに上昇。50歳時点で1度も結婚したことがない人の比率(生涯未婚率)は、2010年の調べでは男性が約20%、女性が11%弱という結果になっており、これからも増え続け、2035年までに男性は3人に1人、女性は5人に1人が生涯未婚となるだろうと考えられているそうです。
結婚しない人々がこれほど増えてきているのはどうしてなのでしょうか? 女性の社会進出や男性の経済的な不安など、理由はいくつもあるはずですが、男女それぞれの意識や考え方の変化も関係しているのではないかと思われます。そこで、今回は未婚の男性と女性が、それぞれどんな特徴を持っているのかを、映画やドラマで描かれる人物像から考えてみたいと思います。
ドラマ『結婚できない男』に見る、男性が結婚できない理由
まず、男性から見ていきましょう。未婚の男性を描いた作品では、まさにそのままのタイトル『結婚できない男』というドラマがあります。2006年に阿部寛主演で放送された作品で、有名な建築家でありながら偏屈なその性格により女性と縁のない男性と、周囲の人々との交流が中心に描かれたコメディ・ドラマでした。注目したいのは主人公の結婚観について。タイトルこそ「結婚できない男」でしたが、実は彼には結婚願望がありません。本人が「結婚できないのではなくしないだけ」と言う通り、彼は独身生活を謳歌しています。大好きなクラシック音楽を大音量でかけ、好きなものを好きな時に食べ、自分のこだわりを貫く楽しみを持っています。それらは結婚や交際によって失ってしまうであろうことで、そのことに気づいているからこそ結婚したくないし、恋人も望まないのです。
では、なぜタイトルが「結婚できない男」なのでしょうか? 答えは簡単です。周囲から客観的に見て「結婚できない」性格をしているということです。40歳という、いい加減家庭を持たなくてはならない年齢だと思われているからこそのタイトルだったのでしょう。「早く結婚しなくては」というプレッシャーがかかるのは、女性ばかりと思いがちですが、そうでもないというのがよく分かります。しかし、そんなプレッシャーには全く関心を示さず、自分の趣味をとことん追求し、周りに合わせるということを拒む主人公は、やはり結婚しない方がいいのかなとも思えますね。
フィクションのキャラクターなので、かなり偏った男性像のようにも思えますが、よく考えてみればそうは言いきれません。結婚したいと思っている男性であっても、婚活中に「価値観の合う人」を条件にお相手を探そうとする人は多く、それは「自分の価値観を譲れない」という心理の表れでしょう。このドラマの主人公のように、結婚へのプレッシャーはかかっているけれど、それよりも自分のこだわりを優先してしまう我の強さが、世の男性が結婚できない理由の1つなのかも知れません。
英国映画『アバウト・ア・ボーイ』は趣味にかまける現代男性の象徴?
もう1つ、未婚男性の姿を描いた作品を挙げましょう。『アバウト・ア・ボーイ』です。2002年のイギリス映画で、ヒュー・グラントが主演を務めました。彼が演じた主人公は、『結婚できない男』とは異なり、かなりの女好きです。素敵な女性との出会いを常に求めていますが、彼のそれは遊びに過ぎません。1人で気ままに趣味に興じていたいと思っているため、家庭を持つのは面倒なのです。自分の強いこだわりのため、というよりは、とにかく自由に遊んで暮らしたいという、言ってしまえば子どもっぽい男性でした。
こういう、楽しみを何よりも優先し、家庭という責任を負うことを嫌う男性は以前と比べれば格段に増えているのでしょう。昔は家庭を持って1人前、という考えがあり、いつまでも独身の男はガキだ、とも言われていました。しかし、現在は30代や40代の男性が、アイドルの追っかけに、何十万も何百万もお金をかけることもある時代です。そういう自分の楽しみを追求したいがために、家庭を持つことに積極的ではない男性も多いのかも知れません。