元気なお年寄りが増えている一方、アラフォー世代が結婚を考える時、親の介護の問題は、そう遠くない将来の問題かもしれません。40代の結婚が増える中、「相手の親」の介護のことも頭に置いておく必要がでてきます。結婚話そのものを、親の介護という重たいテーマと向き合いながら進めていく必要があるかもしれません。
介護中の親がいることを打ち明けられずぎりぎりで破談になってしまったり、結婚に踏み切れなかったりというケースもあります。介護の不安から結婚が遠のいてしまう、などということがないよう、結婚前にできる準備をまとめました。
1. 晩婚化と親の介護
2015年の平均初婚年齢は、女性29.4歳、男性31.1歳(※1)という、国の調査があります。これは、30年前に比べて、プラス4歳ほどの上昇があります。結婚年齢は年々上がり、晩婚化は進んでいるのがわかります。
女性の社会進出が大きな理由をしてあげられますが、男女ともに結婚年齢が上がることで新しい問題も生まれています。平成26年度、75歳以上の要支援の高齢者の割合は、9%、要介護の割合は23.5%と、30パーセント以上が何らかの手助けを必要としている現状があります。(※2)40代を過ぎると結婚する年齢と、親の介護がスタートする年齢が近づき、親の介護のことで結婚を躊躇する人が増えるのです。トレンド総研の調査では、「交際中に自分が家族の介護をしていたら、恋人との結婚をためらうと思いますか?」という質問に対して、「そう思う」が66%となり、「交際中に恋人が家族の介護をしていたら、恋人との結婚をためらうと思いますか?」という質問にも、「そう思う」が57%と、過半数以上が介護を理由に結婚は躊躇すると言っているデータが出ています。(※3)
40代でなくとも、親の介護が原因で、付き合っている人との結婚に踏み切れなかったり、結婚間近で破談になったりするケースもあります。また婚活の現場では、すでに介護をしている人が、不利になってしまうということはありえます。迫りくる親の介護を前に、結婚に焦ってしまったり、結婚に踏み切れなかったり、悩みを抱える人も少なくはないようです。
また、親の介護を独身の自分が担わなければという想いから、既婚のきょうだいに悩みを話せないケースもあるようです。親の介護への不安を乗り越えて結婚に向かうためにはどうしたらよいのでしょうか。
2. 身内でのしっかりした話し合い、計画と資金
40代に入るころには、実際に親の具合が悪くなってから慌てるよりも、無理のない介護計画と資金計画を持っておくと安心です。あらかじめ情報を得ておくことで、介護への漠然とした不安を解消することもできるでしょう。
また、結婚前に親の介護の在り方をきょうだいや身内に相談するのも大切です。独身でいるからと言って一人で親の介護を抱えることもありませんし、結婚したい相手ができたことをきっかけに、親の介護の在り方をみんなで話し合うこともできるのではないでしょうか。
現在、私たちが40歳から払い始めている介護保険を利用すれば、要介護度に応じてさまざまな介護サービスが受けられます。また、親が健康を維持できるように、地域で行われる高齢者支援のプログラムに参加してもらうように促すなどの対策も考えられますね。
介護保険を利用して受けられるサービスの種類
- 在宅サービス…家事援助や、訪問介護、デイサービスなど
- 施設サービス…特別養護老人ホーム、介護療養型医療施設など
- 地域密着サービス…住み慣れた地域で暮らし続けるためのサービス
たいていのサービスが1または2割の費用負担で受けられます。(※4)介護する側の生活スタイルや介護される側の希望に応じて活用される制度です。介護の相談窓口としては、地域包括支援センターや役所の総合相談窓口があります。
結婚と将来的な親の介護の間で迷ったときは、一人で抱え込んで諦めてしまわないことが肝心です。現実的に受けられるサービスなどの情報を集めておくと、家族計画や資金計画のめども立ち、安心して結婚に踏み出せるでしょう。
3. 親の介護について交際中の相手と話し合うポイント・タイミング
交際中の相手と親の介護についてどう話すか、タイミングや状況別にポイントをまとめてみました。
親がまだ元気な場合
早めに親の状況はさりげなく話題にしておくとよいでしょう。できれば介護についてどう思う?といったところを軽く話題にしておけるとなおよいでしょう。しかし、この段階であまり焦って、深く追及するのは避けたほうが良いかもしれません。自分側から親の情報を出しながら相手の話を待ちましょう。
また、親との同居なども含めて、相手の考えている親との距離を確認しておくことで、介護になった場合のイメージも持てます。親の面倒を自分が主体的に看たいタイプなのか、二人で協力していくタイプなのか、また、相手の親の介護にも協力的なタイプなのかを見極めましょう。
また、家族構成によって親が介護になった場合の人手も変わります。自分も家族の話題を出す中で、相手の家族関係についても少しずつ知っていくようにしましょう。「介護」というと重たい話題になるので、結婚の意思が固まるまでは、積極的に持ち出さず、さりげなく話題にする方がよいようです。
どちらか、または両方の親に介護が必要な状況がある場合
この場合、二人の結婚の意思が固まっているかどうか、親への挨拶は済ませているかどうか、といったタイミングの違いで、さらに話すポイントが変わってきます。以下で詳しく見ていきましょう。
婚約をする前
お付き合いをしている中で、結婚を意識してから相手の親に要介護者がいることを知ることもあるでしょう。難しい問題ですが、結婚についての判断に大きな影響を与える問題ですので、40代以上で真剣なお付き合いを考える際には「早めに」話しておきたいポイントです。
互いに後で聞いていなかったとならないためにも、まず自分から話を切り出して自分の親の状況から話し、次に相手の状況も聞いてみるとよいでしょう。また、自分の親が介護である場合にも、あらかじめ伝えなくてはいけないところです。そのうえで、相手がどう考えるか意思を尊重するようにしましょう。
ポイント
- 結婚の意思があるか確認し合う
- 自分の親の状態を話し、相手の親についても聞く
- 具体的に結婚ということになりそうであれば【婚約はしたが親への結婚の挨拶を済ませていない場合】のポイントへ
婚約はしたが親への結婚の挨拶を済ませていない場合
相手の親に介護が必要であることが婚約後にわかるケースもあります。このタイミングでわかった場合は、慌てず相手の話をまずはゆっくりと聞きましょう。婚約後に相手の親が倒れた、ということもありえますし、介護が必要になったのがごく最近のことかもしれません。あなたを深く思うがゆえになかなか切り出せなかったということもありえます。
相手を不必要に追い詰めないように、話をゆっくり聞き、互いに落ち着きましょう。気持ちを落ち着けて、結婚生活に影響を与える大きな要素となるかもしれない介護の計画を具体的に話し合いましょう。
自分の親の介護が必要な状態になっていることをまだ話せいていない場合や、突然健康状態が急変した場合もなるべく早く話をしましょう。この場合も落ち着いて、ゆっくり話す時間を設け、なるべく具体的に介護の計画を伝えるのがポイントです。
さて介護の計画は、とくに経済面を具体的に話しておくべきです。互いの仕事をどうするか、公的サービスの利用をどうするか、二人の時間はどれぐらい確保できるか、介護資金は十分に準備できるか、などの点において、なるべく曖昧にしないで話し合い、希望も率直に伝えあいます。
その上で、あらためて結婚の意思を互いに確認しあいしましょう。
ポイント
- 相手の親が要介護だと知った場合は、落ち着いて話を聞く
- まだ話せていない場合は一刻も早く話す
- 介護の計画を具体的に話し合う
- 改めて結婚の意思を確認しあう (介護やこれからの生活に関して)
- 公的サービス、介護サービスの利用はどうするか
- きょうだいのサポートはどの程度か
- 介護資金はどうやりくりするか
- 二人の時間はどの程度とれるか
親への結婚の挨拶を済ませていた場合
すでに結婚の挨拶を済ませていた場合でも、急に親の体調や健康状態の変化が起こることがあります。介護をする必要のある身内がいる場合、結婚相手の身内が心配をして結婚にストップをかけるケースも。結婚相手の親との話し合いも必須になってきます。
ここでも基本としては、前章の【婚約はしたが親への結婚の挨拶を済ませていない場合】のポイントを参考にして話を進めましょう。
さらに、結婚式の時期まで話しが進んでいた場合は延期をするなどの決断を早めにする必要も出てきます。急なことに、お互いに気が動転してしまい、一気に破談とならないように、少し時間を置くようにするとよいでしょう。親に何かあった時には、介護計画の準備や、介護資金の見通しなどを整えて、仕切り直しをすることも大切です。
また、相手の親に何かあった時には、結論を急がずに、相手側の状態が落ち着き、準備が整うのを待つことも考えましょう。身内の意見も大切ですが、ふたりが結婚を決めたときの気持ちを忘れず、後悔のないようにしたいですね。その際に、いつまでは待てるといった、期限をあらかじめ設けておくことも40代では必要かもしれません。
ポイント
- 結婚式は仕切り直しすることも検討する
- 一気に破談にならないように時間を置く
- 時間を置く場合いつまで待つか期限を設ける
4. まとめ
親にはいつまでも元気でいてほしいというのが多くの人の願いですが、いざとなれば親の介護は避けることが難しいものです。40代近くなって親が高齢になり、独身でいると、特に負担と責任を大きく感じるといいます。しかし、そのために結婚の機会を諦めてしまうのは介護生活自体をよりストレスの強いものにしてしまう恐れもあります。
きょうだいがいれば、今は独身でも将来は結婚したいということも伝えて置けるとよいですね。公的なサポートの情報を集め、既婚のきょうだいともチームとして親の介護に向き合う準備を整えましょう。
結婚を考えることで、一人ではなく、家族や公的機関の力を借りた介護と向き合うきっかけになります。そうすることで、結婚と介護の不安は減り、積極的に結婚を考えられるようになるでしょう。介護が必要になった場合には、結婚を考えている相手にも打ち明けて結婚話を進めていくとよいですね。
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