結婚式の招待客みんなの前で結婚を誓う人前式。神様ではなく家族や友人など今までお世話になった方の前で結婚を誓うので、人とのつながりやおもてなしを重視する結婚式として選ぶ人が増えています。とくにレストランやゲストハウスなどで式と披露宴を同じ場所でそのまま行えるので1.5次会にもぴったりです。カジュアルなスタイルで行うことも多いので、司会はプロではなく親族や友人が行ってもOK。ただし形式がなく自由度が高いからこそ企画と進行は難しさも伴います。今回は人前式の進行や司会の台本のヒントをご紹介します。
人前式の式次第と進行、司会台本
人前式の会場とセレモニー要素
人前式の結婚式は、二人の結婚を見守ってくれる人々がいればどこでもOKで、結婚式場やレストラン、ゲストハウス、遊園地や水族館、自宅や会社などでも挙げることができます。司会はプロにお願いしても、人数やメンバーによっては友人にお願いすることも可能です。基本的なセレモニー要素としては、「結婚の宣誓(誓いの言葉)」「結婚証明書への署名」「指輪の交換」の3つを中心に構成します。それ以外に、「ベールアップと誓いのキス」や、「ブーケ&ブートニア」(新郎が新婦の前にひざまずき、作りたてのブーケを渡してプロポーズ。新婦はその中の一輪を、あるいはあらかじめ用意しておいたブートニアを新郎の胸に差し、これでプロポーズを受けたという演出)などの演出を組み込むこともあります。
人前式の進行と司会の台本例
(所要時間の目安1時間)
1. 参列者入場、着席
開場したらゲストは席次表や席札で自分の席を確認して着席します。
2. 開会(新郎新婦入場、人前結婚式の説明、司会自己紹介)
人前結婚式を挙げる場所で司会者とゲストが新郎新婦を会場に迎え入れます。次に、ゲストに人前結婚式がどのような式なのか説明し、ゲスト皆が結婚の証人になることを知らせておきます。そして、司会を務める自分の紹介を簡単に言い添えます。
- 新郎新婦が腕を組んで一緒に入場する。
- 教会の入場時のように新郎が先に入場しその後エスコート役と新婦が入場し新郎に引き渡す。
- 新郎新婦、エスコート役と新婦をフラワーガールが先導したり、リングボーイが指輪を運ぶ。
- あらかじめ参列者に花を一輪ずつ持ってもらい、新郎がそれを受け取りながら入場し集めたお花を会場スタッフに渡してブーケにしてもらう。
司会
「本日はお忙しい中、また遠方より○○(新郎名前)さんと△△(新婦名前)さんの結婚式にご列席いただきまして、まことにありがとうございます。
ただいまより新郎新婦が入場いたします。正面入り口にご注目ください。どうぞ盛大な拍手でお迎えください。」
(新郎新婦が所定の位置に着いたら)
司会
「それではこれより、○○さんと△△さんの結婚式を始めさせていただきます。
この結婚式は、新郎新婦の希望により、お二人が日ごろからお世話になっている皆さまの前で結婚を誓う、人前式のスタイルで行います。本日お集まりいただきました皆さま全員が結婚の証人となるわけです。
どうぞ皆さま、お二人の結婚の誓いをしっかりと見届けてくださいますようお願いいたします。
申し遅れましたが、私は本日の司会を務めさせていただきます「○○□□」(司会の名前)と申します。新郎新婦とは△△(新郎新婦との関係性)の友人です。不慣れなため、行き届かない点もあるかと思いますが、精いっぱい務めさせていただきますのでどうぞよろしくお願いいたします。」
3. 新郎新婦の紹介
新郎新婦のプロフィールは家族構成や子どもの頃の話、仕事や趣味、二人の出会いなど新郎新婦と事前に相談し、長くなりすぎないように簡潔にまとめます。二人へのインタビュー形式にしてもOK。
司会
「初めに新郎新婦のプロフィールをご紹介いたします。
新郎○○さんは、○○年○月○日「△△、□□夫妻」(新郎の両親名)の次男として、○○にて生まれました。(以下、新郎紹介)
新婦△△さんは、○○年○月○日「□□、○○夫妻」(新婦の両親名)の長女として○○にて生まれました。(以下、新婦紹介)」
4. 結婚の宣誓
人前結婚式では、「結婚の宣誓」、「結婚証明書への署名」、「指輪交換」の3つを行うのが一般的です。事前に用意しておいた結婚の誓いの言葉を新郎新婦が読み上げます。
司会
「次に新郎新婦より結婚の誓いの言葉を述べさせていただきます。○○さん、△△さんお願いいたします。」
結婚の宣誓(誓いの言葉)例
「私たちは○○年○月○日ここ△△にて、ご列席いただきました皆さまの見守る中結婚の宣誓をいたします。
これからの人生、順境な時も逆境の時も生涯変わらぬ愛を約束し、生涯夫婦として生きていくことを誓います。そして、10年後も50年後も私たちの両親のようにお互いを思いやる愛にあふれた温かい家庭をつくっていきます。
新郎新婦名前」
上記のように、二人揃って誓いの言葉を述べる以外にも、新郎と新婦が一人ずつ誓いを述べたり、主賓や親友などに「笑顔にあふれた家族をつくると誓いますか?」「一生○○さんを大切にすると誓いますか?」などの言葉を投げかけてもらい、新郎新婦がそれに答えるパターンがあります。
5. 結婚証明書(結婚誓約書)または婚姻届への署名・捺印
結婚証明書(結婚誓約書)、または婚姻届に新郎新婦と立会人が署名します。結婚証明書(結婚誓約書)とは、キリスト教式や人前式の結婚式の中で新郎新婦がサインをする証明書のことで、決まった形式や言葉はありません。人前式の場合は特にオリジナルの結婚証明書をつくるカップルも多く、自分たちで文章を考えてもOK。材料から手作りすれば思い出の品として残すことができます。
婚姻届の場合は署名と、捺印も必要になります。立会人は主賓や上司、先輩や親友などに事前にお願いしておきます。その他に、結婚式の受付でゲスト全員に署名してもらうパターンもあります。
司会
「続きまして、こちらに結婚証明書を用意しております。お二人にはこちらに署名をいただきます。ではお願いします。」
(新郎新婦が結婚証明書に署名)
司会
「ご参列の皆さまを代表し、○○様△△様ご夫妻に立会人としてご署名いただきましょう。それでは○○様△△様よろしくお願いいたします。」
(立会人が署名)
司会
「ありがとうございました。たしかにご署名いただきました。」
6. 指輪交換 リングボーイ、リングガールの演出をする場合の例
指輪の交換は人前式結婚式のクライマックスです。ここではリングボーイが指輪を運ぶ例をご紹介します。
司会
「続きまして、指輪の交換でございます。新郎から新婦へ、新婦から新郎へリングを贈ります。指輪交換しましたら、皆さまどうぞ祝福の拍手をお願いいたします。リングを新郎の甥であります○○くんから新郎に渡していただきます。」
(リングボーイ前に移動し新郎にリングピローを差し出す。)
司会
「まずは新郎から新婦へリングを贈ります。」
(新郎、リングピローから指輪をとって新婦の指にはめる。)
司会
「続いて、新婦からご新郎へリングを贈ります。」
(リングボーイ新婦にリングピローを差し出す。新婦、指輪をとり新郎の指にはめる。)
司会
「指輪を届けてくれた○○くん、ありがとうございました。」
(リングボーイ自分の席に戻る。)
新郎新婦は指輪と、署名済みの結婚証明書を参列者にお披露目します。
7. 結婚の宣言
ゲストから拍手で結婚の証人の拍手をもらい、その後司会者があらためて結婚を宣言します。
司会
「おめでとうございます。皆さま、二人の結婚を承認いただけますでしょうか。承認いただけるようであれば、盛大な拍手をお願いいたします。」
(ゲスト一同拍手)
司会
「どうもありがとうございます。ご参列の皆さまのご承認を得て、ここにめでたく○○さん、△△さんの結婚が成立いたしました。ご結婚おめでとうございます!」
8. 閉会の言葉と新郎新婦退場
ここではいったん閉会し、新郎新婦が退場するパターンをご紹介します。1.5次会形式など、そのまま結婚披露パーティを行う場合は「7.結婚の宣言」のあと祝辞、乾杯と一般的な披露宴の流れが続くことになります。
司会はあらためて二人の結婚が成立したことを宣言し、閉会の言葉を述べます。新郎新婦の退場と、その後の結婚披露宴(披露パーティ)についての時間と場所の案内をします。
司会
「これをもちまして、お二人の挙式は無事に相調いました。皆さま、めでたく夫婦となった二人に今一度盛大な拍手をお願いいたします。二人の末永い幸せを祈りまして、○○さん、△△さんの人前結婚式を閉式とさせていただきます。」
司会
「それではこれより、新郎新婦の退場でございます。皆さま方の大きな祝福の拍手にて、二人をお送りいただきたいと思います。新郎、新婦の退場です。」
(新郎新婦退場)
退場時にフラワーシャワーやライスシャワーの演出をしても。
参考:下平久美子監修 『結婚式・二次会の司会進行』 主婦の友社 2005年