未婚女性の第一礼装である振袖。その華やかさから、結婚式・披露宴に呼ばれた際のゲストの服装としてもぴったりです。でも「未婚なら何歳まででも着ていいの？」と疑問に思う女性も多いのではないでしょうか。

30代、40代でも未婚なら振袖を着ていいの？

女性の第一礼装は未婚ならば振袖、既婚ならば留袖というのは有名ですが、「20代までしか着てはいけない」というイメージを持っている人も多いでしょう。しかし、実は振袖のルールとして年齢に厳密な決まりがあるわけではないようです。人の考え方、もしくは地域の文化などにより違いはあるものの、「未婚女性」という条件に当てはまれば、年齢については特に決まりはないと言っていいでしょう。つまり、未婚の女性ならば20代後半はもちろん30代以上でも着ても問題はないということになります。

振袖を着るのは20代まで、というのは、今よりも女性の結婚年齢がずっと低かった時代の名残だと言えるでしょう。今よりも結婚が早い上に婚姻率も高かったため、30代の女性といえば「既婚が当然」とされ、振袖を着られる期間が自然と短く、結婚式などに着ていく女性は20代前半～中盤が多かったのです。現在では30代以上で未婚もごく当たり前となり、決して珍しくはありません。厚労省発表の人口動態統計を見ると、平成27年の女性の平均初婚年齢は29.4歳となっており、20年前の平成7年の26.3歳よりも3.1ポイントも上昇しています。最も平均初婚年齢が高い東京においては30.5歳と30代に突入しています。

とはいえ、何歳まででも振袖を着ていいか、というとあくまで周りからの印象を考えることが重要になります。地域によっては「振袖は20代まで、あるいは25歳ころまで」という考え方もあるかもしれませんし、一定の年齢以上の方の中には「30代で振袖は非常識」と思っている人もいるようです。大人の女性が振袖を着ていくことで新郎新婦は喜んでくれても、親族の中には疑問を持ってしまう人もいるかもしれません。結婚式に振袖を着ていくことに迷った際には、まず新郎新婦に相談するといいでしょう。

招待客の振袖、基本のマナー

結婚式や披露宴に振袖を着ていく場合、ドレスなどの洋装と同じようにいくつかのルールがあります。

1. 袖の長さ

振袖は、袖の長さによって3つの種類に分けられます。袖の長さが115cm前後の大振袖（本振袖）、100cm前後の中振袖、85cm前後の小振袖です。多くの女性にとって振袖が身近な存在となる成人式では、中振袖～大振袖を着るのが一般的です。袖が長いぶん豪華な印象になり、花嫁が着る場合には大振袖が用いられます。 結婚式ではゲストが花嫁より目立つのはマナー違反になります。大中小の全てが第一礼装ですが、袖が長いほど格が上になります。そのため花嫁が黒振袖などで大振袖を着る場合にはゲストは中・小振袖を着るようにしましょう。花嫁が和装を着ない場合、もしくは白無垢や打掛のみの場合にはゲストが大振袖を着ても問題ありません。

2. 色柄

洋装と同じように白は花嫁の色になるため、振袖を始めとする和装でも白いものはマナー違反です。写真を撮る際には上半身のみが写ることも多いため、裾に柄が入っていたとしても上半身が白っぽいものは避けましょう。また花嫁が着用する衣裳とかぶってしまう色も避けるのが無難です。

3. 新郎新婦との関係性

未婚女性の第一礼装である振袖ですから、特に親族や親しい友人、受付を頼まれたゲストは場が華やかになり喜ばれます。格や色がかち合ってしまわないよう花嫁に確認が必要なため、招待された際に「振袖を着ていこうと思っている」と伝えておくといいでしょう。

大人の女性がに似合う振袖の着こなし

20代後半や30代以上の女性が結婚式に振袖を着ていく場合、振袖の色柄や着こなしには特に気を付けたいものです。成人式の際に仕立てた振袖には、赤やピンクといったかわいらしく華美な柄が多いものですが帯結びや小物、ヘアメイクを落ち着いたものにするなどバランスをとりましょう。

結婚式のためにレンタルをするならば、お店の人に結婚式で着る旨を伝え、年齢や顔立ち・体型、そして式場の雰囲気に合ったものを選んでもらいましょう。シックな印象の振袖を着こなせるのは大人の女性ならではです。

また20代の女性が振袖を着る際も同じですが、ネイルを控えめにすることも重要です。洋服の場合には派手すぎなければ華やかなネイルでも構いませんが、着物では品を欠いて見えてしまうことがあります。ナチュラルなピンクやベージュ、フレンチネイルなど、手元を美しく彩ってくれるデザインと色を選ぶと全身がまとまります。

日本女性の美しさを最大限に引き出してくれる着物。中でも振袖を着られるのは未婚女性だけの特権です。成人式の振袖が箪笥に眠っている方も、華やかな衣装で新郎新婦をお祝いしたい方も、今後のお呼ばれには振袖を着てみてはいかがでしょうか。