教会やチャペル(礼拝堂)での結婚式。結婚式といえば教会で、というイメージが強く現在も結婚式をした人のうち半分以上のカップルがキリスト教式の結婚式を挙げています。キリスト教式の特徴や、カトリックとプロテスタントの違いや、結婚式の入場や誓約、指輪の交換などの式の流れ、バージンロードの歩き方、費用の目安や式場関係者へのお礼、マナーをご紹介します。
キリスト教の結婚式 式の流れ、マナー、演出
キリスト教式の挙式会場 プロテスタント or カトリック?
キリスト教式には主にカトリックとプロテスタントの二つの宗派があります。ホテルや結婚式場で行われる結婚式は基本的にプロテスタントのものと考えてよいでしょう。教会、ホテル、結婚式場、レストラン、ゲストハウス、リゾート、海外などプロテスタントであれば会場の選択肢は多くあります。信者でなくともキリスト教式で教会を挙げることができるのも、多くはプロテスタントの場合です。
一方カトリックの結婚式は二人のうちどちらか、あるいは二人ともがカトリック信者である必要があるのが一般的です。カトリック信者は所属の教会で挙式するのが基本で、初婚であることや結婚準備講座を受けることが条件です。中には信者でなくても事前に結婚講座を受けるなど、一定の条件を満たせば挙式ができるカトリック教会もあります。
司式者をプロテスタントでは「牧師」といい、カトリックでは「神父」といいます。他にもプロテスタントでは「聖壇」「賛美歌」、カトリックでは「祭壇」「聖歌」というように、様々な名称の違いがあります。
参列者
参列には人数の制限はとくになく、親族だけではなく、友人や同僚など多くの人に参列してもらうことができます。参列人数は教会の収容人数によって変わってくるので、大規模な教会なら数百人、小規模な教会なら10~30人と幅広いです。結婚式場やホテルのチャペルではなく、正式な教会ではふだんからその教会に通っている信徒の人や通りがかりの人が参列することもあります。ただし、礼拝やミサのために日曜日は結婚式を挙げられない教会も少なくありませんので、日程の確認が必要です。
新郎新婦の服装・衣裳
新婦は肌の露出を抑え、ドレスの丈はフルレングス、手袋とベールをつけます。参列者に後姿を見せている時間が長いので、バックスタイルが美しいドレスが似合います。トレーンの長さは1.5mくらいが多く、それより長いとよりフォーマルでエレガントな雰囲気になります。マリアベールは禁止など、教会によってはベールの種類に規定がある場合があります。
参列者の服装・マナー
参列者は肩や腕、膝を出さないよう、ジャケットやストール、ストッキングなどを用います。教会によってはビデオや写真の撮影、フラッシュの使用が禁じられているので確認しておきましょう。式場に入る際、参列者は歩くときにバージンロードを踏まないように注意します。バージンロードは神聖な場所なのです。
挙式の流れの例(所要時間約20~30分間)
一般的なキリスト教式の式次第は以下のようになります。
新郎新婦と新婦の父親、立会人・媒酌人以外は着席して待ちます。聖壇(祭壇)に向かって右が新郎側、左が新婦側の参列者の席になります。前から父母、兄弟、親族、友人の順に座ります。参列者は歩く際バージンロードを踏まないように気をつけましょう。
参列者は起立。挙式の司式者である牧師(神父)が入場。開会が告げられたら一同起立。
新郎と立会人が入場し、聖壇(祭壇)の右前で新婦を待ちます。
牧師(神父)が新婦の入場を告げ、全員起立して迎えます。新婦の父は新婦とともに入場し、バージンロードを進みます。聖壇(祭壇)の前にいる新郎に新婦を引き渡します(エスコートチェンジ)。
新郎新婦が揃ったら全員で賛美歌(聖歌)を斉唱します。
牧師(神父)が聖書の一部を読み、全員で神に祈りを捧げます。
牧師(神父)が新郎、新婦の順に結婚の誓約を求めるので、それぞれ「はい」または「誓います」と答えます。この時点で二人は夫婦となり、新郎は新婦のフェイスベールを上げます。口や額、頬などに「誓いのキス」をします。
新婦のブーケと手袋を立会人が預かります。新郎が牧師(神父)から指輪を受け取り、新郎から新婦、新婦から新郎の順に、相手の左手薬指に指輪をはめます。
牧師(神父)が新郎新婦の右手を重ね、さらに自分の手を重ねてふたりに神の祝福があるように祈った後、参列者に神の名の下で夫婦となったことを宣言します。教会によっては結婚証明書に署名をすることもあります。
全員で起立し、二人の結婚を祝う賛美歌(聖歌)を斉唱し、牧師(神父)が祝福の祈りを捧げます。
新郎新婦が腕を組んでバージンロードを退場するので、参列者は拍手をします。立会人が退場し、牧師(神父)が式の終了を告げて参列者も退席します。
挙式の流れの例(カトリックの場合、所要時間約20~30分間)
- 入堂(司式者、新郎・父・証人、新婦・父・証人の順に入堂。)
- 聖書朗読
- 司式者の話
- 誓約
- 指輪交換
- 署名(新郎、新婦、新郎証人、新婦証人、司式者の順に婚姻証書に署名。)
- 退堂
参考
バージンロードの歩き方・エスコートの仕方
バージンロードに敷かれている布はプロテスタントでは白、カトリックでは赤になります。エスコートは、一般的には新婦の父が多いですが、母親やおじ、兄弟や祖父などでもかまいません。新婦の父と新婦をフラワーガールが先導する場合もあります。以下流れに添って説明します。
- 入場前。エスコートは右側、新婦は左側に立ちます。
- エスコートは軽く左手を握り、手の甲を外側にして胸の下あたりに添えます。
- 新婦はエスコートの左腕に自分の右手を軽くかけ、左手は力を入れすぎないように腰のあたりでブーケを持ちます。
- 二人とも胸を張って進む先を見るように心がけましょう。
- さて入場です。新婦、新婦の父ともに片足を出した後に必ず両足を揃える「ウェディングステップ」を踏みます。左足(右足からの場合も)から踏み出し、右足を引き寄せ両足を揃える。右足を踏み出し、左足を引き寄せ両足を揃える、と一歩ずつ足並みをそろえて前に進みます。
ウェディングステップ
- エスコートは少しだけ新婦より先に進む気持ちで歩き(並ぶと新婦のドレスを踏んでしまう)、新婦はドレスの裾を軽く蹴るようにして、二人でタイミングを合わせながらゆっくりと進みます。
- 新郎の隣まで到着したらエスコートチェンジ。新郎が新婦父に一礼、新婦父が新郎に一礼し、新郎新婦は司式者の方を向き、新婦父は新婦の側の席に戻ります。
- 退場の際は、新郎新婦が腕を組んで、入場時のように一歩一歩ではなくゆっくり普通に歩いて退場し入口のところで揃って一礼します。
キリスト教式の式の演出
教会から出てくる新郎新婦に花を投げるフラワーシャワーや子宝に恵まれるようお米を投げるライスシャワー、挙式後に教会前で行うブーケトスなどの演出があります。教会によっては認められていないところもあるので、演出の不可やタイミング、場所について確認が必要です。 その他に欧米のスタイルを取り入れて、以下のような親族や友人などが役割を担い、式を盛り上げる演出もあります。
ブライズメイド
新婦の付き添いや立会をつとめる女性。2~5人程度で、その中でも代表的な立場の人を「メイドオブオナー」と呼びます。独身であることを条件に、新婦の姉妹や従兄弟、友人が担いおそろいの衣装を着ます。
グルームズメン(アッシャー)
結婚式でブライズメイドをエスコートするため、ブライズメイドと人数をそろえます。独身の新郎の兄弟や従兄弟、友人がつとめます。中でも挙式の進行を助ける重要な役割をする、新郎と最も親しく代表的な立場の人を「ベストマン」と呼びます。
リングボーイ・リングベアラー・トレーンベアラー
結婚指輪を乗せたリングピローを運ぶ男の子をリングボーイ、女の子をリングベアラーと呼びます。新婦入場時にベールやトレーンを持つ女の子をトレーンベアラーといいます。いずれも親族の子どもがつとめます。
フラワーガール
新婦と新婦の父親がバージンロードを歩く際に、花かごをもって二人を先導し、バージンロードを清めるために花びらをまきます。
教会式結婚式の費用と式場へのお礼
教会式挙式費用の目安は約10万円~20万円程度。それ以外に教会へのお礼をする場合は、白無地の袋に教会へのお礼は「献金」、神父や牧師へのお礼は「御礼」、オルガン奏者や聖歌隊へのお礼は「お礼」と表書きを書きます。献金については、教会側から「○○円です」と明示される場合や「お気持ちで」という場合などさまざまなようです。神父や牧師へ「御礼」は1~2万円、オルガン奏者や聖歌隊への「お礼」は3000円~1万円程度が相場です。