再婚とは、夫(妻)と離婚したり死別ののちに再び結婚すること、復縁して同じ相手ともう一度結婚する場合のことです。必要な書類を添えて婚姻届を役所に提出する流れは、初婚も再婚も基本的には同じですが、戸籍の記載について違いがあり、事前にそのことについて知っておき、きちんと話し合っておきましょう。
二人がそれぞれ初婚なのか、再婚なのか、どちらの戸籍に入るのかなどによって様々なケースがありますが、今回はのび太と静香が再婚するという、下記の仮の設定で、みていきましょう。
- のび太は前妻ドラミと離婚した。
- のび太の戸籍に静香が入りのび太の姓(野比)を名乗る。
- 両者に子どもはいない。
1. 戸籍謄本(全部事項証明)で今どのような状態なのか確認する。
まずは再婚後の戸籍の筆頭者となる予定の側、ここではのび太が自分自身の現在の戸籍謄本(「全部事項証明書」)を手に入れて、誰がどのように載っているのかを確認します。この時点では、のび太と前妻ドラミが離婚した際に、のび太の戸籍からドラミが抜け「除籍」と記載されています。
戸籍の記載
筆頭者 のび太 「出生」「婚姻」「離婚」
ドラミ 「出生」「婚姻」「離婚」
2. そのままの戸籍の記載でいいのか、転籍するのか相談する。
そのままのび太の氏(=姓である野比)を称する婚姻届を出すとすると、のび太が筆頭者の戸籍に、静香が入ります。除籍の形で残っている前妻ドラミのあとに再婚相手である静香が入ってくる形となり、除籍の理由(離婚)や日付、ドラミの移動後の戸籍の本籍および筆頭者が記載されます。そのまま婚姻届を出すと以下のような記載になります。
戸籍の記載
筆頭者 のび太(夫)「出生」「婚姻」「離婚」
×ドラミ「出生」「婚姻」「離婚」「除籍」
配偶者 静香(妻) 「出生」「婚姻」
この先のび太と静香の間にもし子どもが生まれたら、配偶者である静香の次に(子)ノビスケと続いて記載されることになります。この場合、前妻の後に自分や子が記載されることを避けたいと思う方も少なくありません。もし前妻と再婚相手が同じ戸籍に載ることを避けたいのであれば、のび太が他の市町村に「転籍」する必要があります。ただし、これはあくまで転籍して新しく作られる「現在」の戸籍の記載上の問題で、離婚したことや前妻(前夫)についての情報は「過去」の戸籍をたどって確認することができます。
(「転籍」の必要はない、という方は4. 「婚姻届を提出する」に進んでください。)
3. のび太が 「転籍」すれば新しい戸籍には前妻の記載はナシ!
もし前妻の後に再婚相手や子が記載されるのを避けたい場合は、のび太の「本籍」を「他の市町村」へ移動します。「新しい本籍地」「現在の本籍地」「住所地」のいずれかの役所で「転籍届」という届け出をすることで、本籍を移すことができます。今までの戸籍は除籍となり、移動後の市町村で新しい戸籍が作られ、それ以前の結婚や離婚については移記されません。
なお転籍によって除籍になった戸籍には、以前の結婚や離婚、転籍に関する情報(転籍日、転籍によって戸籍が除籍された日付、新しい本籍地など)が記載され、相続等で必要になる場合もあるので除籍の翌年から150年間保存されます。新しい戸籍には「○○より転籍」と記載され、必要になったときにはさかのぼって辿ることができます。
4. 婚姻届を提出する。
のび太と静香が婚姻届を提出すると、この移動後の市町村でつくられた、筆頭者がのび太の戸籍に静香が入ります。
戸籍の記載
筆頭者 のび太(夫)「出生」「婚姻」
配偶者 静香(妻)「出生」「婚姻」
婚姻届けに必要な書類
初婚でも再婚でも婚姻届に必要な書類は同じです。
- 婚姻届1通
- 戸籍謄(抄)本(本籍地でない役所に届ける場合)
- ふたりそれぞれの印鑑
婚姻届の書き方
初婚・離別記入欄に、夫になる人、妻になる人それぞれの、「初婚」「再婚」の別、「初婚」でない場合の直前婚の「死別」「離別」の区別とその年月日を記載します。「初婚」「再婚」の別は正しく記入しないと受理されません。離婚年月日は戸籍謄本(抄本)に載っていますが、転籍のためもし分からなくて空欄であっても役所で確認してもらえます。
女性の再婚禁止期間
この離婚年月日は、女性の場合とくに「再婚禁止期間」に関わる項目です。民法では、子の父親が誰なのかの争いを防ぐために、女性には再婚禁止期間があり離婚から100日たたないと再婚することができません。ただし、女性が離婚時に妊娠していないことを証明した場合(医師の証明書が必要)や離婚した人と再婚する場合、離婚後子どもが生まれた場合は、離婚後100日以内でも婚姻届は受理されます。