子どもがいて再婚する場合、再婚したら連れ子はそのまま再婚相手の子どもになるというわけではありません。「入籍届」を出して戸籍上は「夫の子」または「妻の子」という形にするか、それとも養子縁組をして親子関係を結ぶか、または元の籍に子どもだけ残るというケースもあります。どのような形をとるかは相続や養育権、扶養の義務に関わる事柄で、親にとっても子どもにとっても重要なポイント。再婚前に必ず知っておきたいところですね。
今回はのび太と静香が再婚するという、下記の仮の設定で、みていきましょう。
・のび太の戸籍に静香が入りのび太の姓(野比)を名乗る。
・静香には子ども(10歳)がいる。
子どもだけ元の籍に残る
静香の戸籍に静香自身の子どもがいて、結婚して静香がのび太の戸籍に入った場合、静香だけが戸籍から出て行く形になるので、この時点では子どもは再婚前の戸籍と姓のままになり、母子が異なる姓になります。子ども自身が、姓が変わることや母の再婚相手の戸籍に入ることを望まない場合は、子どもだけそのままの戸籍にとどまることもあります。子どもにとっては、戸籍は別でも、実の母(静香)、実の父(静香の前夫)の財産の相続権はあります。のび太の財産の相続権はありません(法定相続人ではない)。
「入籍届」を出す
子どもも新しい夫婦と同じ戸籍に入れて、同じ姓を名乗りたい場合は「入籍届」(「婚姻届」ではないので注意)を出すと、子どもの姓は「野比」になります。この時点では、のび太にとって静香の子どもとの法律上の続き柄は「配偶者の子」であり、のび太に静香の子どもの養育義務はなく、静香の子どもはのび太の財産(借金)の相続権はありません(法定相続人ではない)。
「養子縁組」をする
もし、のび太と静香の子どもが親子関係を結ぶのであれば「養子縁組届」を出します。これによってのび太と子どもの間に法律上でも親子関係が成立し、子どもはのび太の戸籍に入り、続柄は「養子または養女」と記載されます。この手続きによって、 のび太には子どもの扶養義務が発生し、万が一静香が亡くなった場合にはのび太が子どもを育てることになります。子どもの側にものび太の扶養義務(高齢や病気などの理由で働けなくなった場合)が生じ、また法定相続人となり財産(借金)の相続権が生じます。 なお、のび太との養子縁組の後も、静香の元夫には静香の子どもの扶養義務があり、養育費を払う必要があるので、子どもの養育に関わるお金をどうするかは、よく話し合う必要があります。
なお、「養子縁組」は子どもが15歳未満の場合は親権者が行いますが、子どもが15歳以上だと養子縁組の届出はその子ども本人が行うことになります。
また、今回の例とは別に、のび太の戸籍にのび太の子どもがいるとした場合、のび太の氏で結婚する場合は、静香がのび太の戸籍入ってくるだけなので、のび太の子どもはのび太の子どものままです。ただし、この場合も、のび太の子どもと静香が親子関係を結ぶには「養子縁組届」を出さなければなりません。