披露宴に招かれた人々の記憶に、一番残るものは何だと思いますか?それは、「あ~おいしかった」、という思いです。そして、お越しいただく方にそう思っていただきたいと思う心、それが「おもてなしの心」です!
友人や親戚の披露宴を思い出してください。招待されていた人の名前や肩書を覚えていますか?誰が、どのような内容のスピーチをしたか覚えていますか?1年もたてば、そのようなことは忘却のかなた。でも、「あの披露宴の時の食事はよかったな」ということはよく覚えています。逆に披露宴の食事が粗末であれば、「あの時の食事は、かなりケチったな!」と、後々まで言われることになります。これは、披露宴に限らず、展示会や集会でのレセプション、講演や講義を依頼された時の昼食(お弁当等)などでも同じことです。「人間は食いしん坊である!」これを念頭において、披露宴のことも考えた方がいいですよ。
披露宴全体の予算が決まれば、次はどのように配分するかがポイントです。衣装にお金をつぎ込むのか、引き出物を立派なものにするのか、ゴンドラでの登場など演出を重視するのか。披露宴とは「ふつつかな者が、新たに結婚をして、共に人生を歩みますので、何卒よろしくご指導ください」という気持ちを込めて、お越しくださるお客様に自分たちを「披露」する「宴会」です。お客様が喜ぶことを第一に考えた場合、最大限に注意を払い、予算を優先させるべきもっとも重要なことも「食事」である、と断言します。
披露宴には通常、若い人からご年配の方までお越しになります。若い人はフランス料理等の洋食を、ご年配の方は和食を好む傾向があります。一番無難なのは和洋折衷の料理にすることでしょう。16年前、私達がホテルで披露宴を開いた際も、熟慮の末、和洋折衷にしましたが、正解でした。
学生の頃、披露宴に友人(後輩)として招かれたことがあります。もう20年以上前のことですが、他のことはほとんど忘れてしまいましたが、食事のことだけは明瞭に覚えています。フランス料理のフルコースで、ナイフ、フォーク、スプーンの類いがたくさん並んでいました。食事マナーを知らない私は冷や汗をかいた、というのをはっきり覚えていますが、きっとおいしかっただろうフランス料理の味や内容は、あまり覚えていません。和洋折衷にして、カトラリーは少な目にし、箸も最初からテーブルにあればうれしいですね。
披露宴ではパック料金が多いものです。私達も披露宴パックでしたが、「料理アップグレード」という選択肢もありました。3段階から5段階程度にグレードがわかれている場合もあります。そんな時の選択の秘訣は、予算の範囲内であれば、上から2番目のグレードにするのが無難です。最高グレードのものにすると、必要以上に余分なものがついてくることも多く、経験上、費用効果を最大にしているのが、上から2番目のものです。
最後に、披露宴会場では「有料試食会」が開催されているところもあります。私たちは披露宴の食事を大変大切にしていましたので、家内、義母、実母、私の4人で試食会に参りました。本番で出していただくのと同じ種類(和洋折衷)、同じグレード(上から2番目)のものをいただきました。有料といっても確か、ひとり2000円程度でした。「審査員」の目で厳しく見る必要はありますが、お安くフルコースをいただける楽しみもあります。
披露宴は、自分が楽しむのではなく、お客様にお楽しみいただき、その笑顔を見て、自分も満足感を得る、というのが極意です。そのために、食事には万全の注意を払ってください。