意外に奥深い!結婚式の3つの定番引菓子、金平糖、バームクーヘン、紅白饅頭

結婚式の際ゲストに渡す引菓子。何故必要なのか、どんな意味があるか、疑問に思うことはありませんか?最近では引菓子を贈らないこともあるようですが、一昔前は当たり前のように用意されていました。みんなやっているからとりあえず、という、あまり吟味されたものでもなかった印象もあります。最近では、種類豊富で楽しく美味しい引菓子がたくさんありますね。また本当に選ばれ続けてきた昔ながらの定番は根強く人気を集め健在です。

今回はそんな引菓子の定番とも言える、金平糖、バームクーヘン、紅白饅頭についてそれぞれの由来や意義、どんなポイントで選んだらいいかをお伝えし、いくつか結婚式にふさわしい商品を紹介しますので参考にしてください。

index 目次
  1. 結婚式の引菓子は何故必要?
  2. 器が肝心!皇室の引菓子でもある「金平糖とボンボニエール」
  3. 日本で独自発展したドイツのお菓子バームクーヘン
  4. 日本の引菓子の元祖!?夫婦の姿を現す紅白饅頭

結婚式の引菓子は何故必要?

引菓子の“引”という言葉には配る、送るという意味があります。元々は平安時代に結婚式だけではなく、宴などの席で招待客に対し、馬を引き出し贈りものとしてことからこうした言葉が生まれたそうです。馬が時代の移り変わりで海産物になったり、金品になったりして、最終的には「お菓子」に落ち着いたものが「引菓子」と呼ばれるようになったようです。

また、引菓子にはお礼の気持ちだけではなく、相手に幸せをおすそ分けをするという意味もあるようです。甘いお菓子なら幸せを象徴するのにふさわしいですね。

ところで「引出物」というのもありますね。「引菓子」と合わせて両方用意される理由は、引出物は来てくれたゲストに対するお礼、引菓子はゲストの家族へのお礼、という意味があるからだそうです。

最近では、クッキー、ケーキ、チョコレートなど色々なお菓子が引菓子として用いられています。しかし結婚式にふさわしい縁起の良いお菓子として従来からの定番の引菓子も根強い人気があります。

器が肝心!皇室の引菓子でもある「金平糖とボンボニエール」

記事

引菓子の定番中の定番と言えば金平糖です。金平糖は元々日本のお菓子ではなく、ポルトガルから来ました。織田信長にポルトガル人の宣教師が献上したのが最初とも言われています。新しい文化を取り入れるのに熱心だった織田信長だったら、形や色が華やかな金平糖を気に入ったのもうなずけます。当時の金平糖は大変な貴重品で公家や高級武士のみしか味わえませんでした。製造法も当初は秘密だったようです。

金平糖の製造法、これがなかなか大変なもので、製作期間がかなり長くかかり、卓越した職人の技や経験が必要だそうです。このように、何日もかけて作られる様が家庭を築いていく様や子どもが成長する姿を思い起こさせるため、結婚式にふさわしいとされていたとも。

見た目が華やかで日持ちがすること、高級品というイメージがあることから恐らく引菓子とされてきたのでしょう。そして、日本の皇室は結婚式などのお祝いの際にボンボニエールという器に入れた金平糖を引菓子としています。

2019年5月1日に天皇陛下が即位され、令和元年を迎えましたが、学習院大学などで皇室文化に関する展示がおこなわれています。その中のメインとなった展示物の1つがこのボンボニエールです。フランスやイタリアでは結婚式や子どもの誕生の際など、おめでたい場で砂糖菓子がボンボニエールに入れて配られていたのだそう。

皇室がその風習を初めに取り入れたのは明治20年のこと。その後、皇室が催す式典や結婚の記念日などの際に金平糖を入れたボンボニエールが配られるようになり、その制作件数はなんと1000件以上。鎖国を解き、欧米の文化を次々に取り入れ、近代国家を目指した時代。宮廷が内外にそのことをアピールするためにボンボニエールは技術の粋を尽くして作られました。ボンボニエール自体はもともとは西洋の風習ですが、皇室のボンボニエールは日本の伝統工芸、伝統技術による精緻で美しい工芸品として独自の発展を遂げました。モチーフも鶴や兜、扇、菊の紋や皇族のお印である花をあしらったものなど日本的なものです。

なかなか直接見る機会のない美しいボンボニエール。今年は下記の展示会で本物を間近で見られます。

「明治150年記念華ひらく皇室文化」
http://hanahiraku-koshitsubunka.jp/ (外部リンク)

こうなると、金平糖を選ぶなら器が肝心ということになりますが、以下のような本格的な正統派の金平糖なら年配の方にも喜ばれそうですね。

縁寿庵清水
Hakuichi Style
【金沢金箔】ボンボニエール ゴールド 金平糖

日本で独自発展したドイツのお菓子バームクーヘン

記事

バームクーヘンが日本で最初に販売されたのは1919年3月4日に開催されたドイツ人捕虜の作品展示即売会でのこと。因みに、この日を記念して3月4日は「バームクーヘンの日」に定められています。

日本とは違い発祥の地であるドイツでは実はバームクーヘンは一般的なお菓子ではないそうです。バームクーヘンを焼く際がバームクーヘン用の専用のオーブンで熟練の職人の技が必要で、何かと手間のかかるバームクーヘンを作ろうという人はあまり多くはないんだそうです。実際のところ、多くのドイツの方にとって「ああ、あれね」という程度の知名度なのだそうです。因みに、日本人が大好きなカステラ。あれも元祖のポルトガルでは廃れてしまったそうです。

しかし、日本人は職人の技によって出来上がるバームクーヘンの年輪に注目し、歳を重ねていく、成長していくという意味にとらえ、結婚式の引菓子にふさわしいものと考えました。また、一時期ドイツのお土産にはこぞって日本人がバームクーヘンを買うという現象があったそうなので、そういうイメージから珍しく良いものをということで引菓子として選ばれ、気づくと定着していたのかもしれません。

バームクーヘンの由来から習えば、バームクーヘンで大事なのはその年輪。小ぶりのものより年輪の輪が多い大きめのものがいいかもしれません。それから日持ち、バームクーヘンが入っている箱など見た目も重要ですね。

こころバム シェ・タニ
輪 rin 大きなたっぷり生バウム (木箱入) トップブライダル
ホレンディッシェ・カカオシュトゥーベ
http://hollaendische-kakao-stube.jp/ (外部リンク)

日本の引菓子の元祖!?夫婦の姿を現す紅白饅頭

現在では結婚式での登場は少なくなりましたが、卒業式、入学式などでは配られることが多い、おめでたい式での定番である紅白饅頭。

「紅白」という配色がまず大きなポイントですが、その起源は平安時代後期に源氏と平氏がそれぞれ紅と白の旗印に分かれて戦をしたことが始まりと言われています。また、紅は赤ちゃん、誕生を連想させるもの、白は死に装束、死を連想させるもの。紅白の配色こそ人生を表す色であるとものされています。そうしたわけで人生の節目に、おめでたい時に紅白の配色が使われるようになったと考えられます。

何故饅頭が引菓子になったかですが、それにはこんな逸話があります。饅頭は中国のお菓子「饅頭(マントゥ)」を日本に持ち込んだものです。現在売られている「饅頭(マントゥ)」の中身は様々ですが、元々は中身が肉のみでした。日本で初めて饅頭を作ったのは商人の林淨因。彼は寺院でそれを売ったのですが、肉食が許されない僧侶のために、肉ではなく、餡子を詰めました。

これが上流階級で評判になり、ついに後村上天皇に献上されます。お気に召した天皇は林淨因に宮女を下賜しました。当時の身分制度からして天皇の側近く使える宮女が商人のお嫁さんになるというのは異例だったと思われます。それだけ天皇はこの味に感じ入ったのでしょう。そんな経緯があって、結婚のお祝いとして紅白饅頭が使われるようになったと言われています。

後村上天皇は南北朝時代も天皇で、在位していたのは1330年代~1360年代だったので由緒正しいこれぞ元祖引菓子と言えるでしょう。饅頭も元々は中国のお菓子を元にしています。それを独自にアレンジしたという点は金平糖とバームクーヘンと同じですね。

参照

塩瀬饅頭の由来 塩瀬総本家

紅白饅頭は洋菓子におされ気味かもしれませんが、特に和風の結婚式をされた方にはぴったりです。和菓子に関しては味にこだわる方がやはり多いと思います。紅白饅頭が引菓子なら「美味しかった!」と言わせたいですよね。美味しさと、伝統を重視、とあれば老舗を選ぶのも良いでしょう。

紅白薯蕷饅頭 塩瀬総本家
兎饅 虎屋
紅白上用饅頭 京菓子處船屋秋月
 

今回は3つの定番の引菓子についてその歴史を紐解きご紹介しました。意外にもこの定番全てが海外からきていますが、それを大切にし、日本人の好みに合わせて発展させたというもの。引菓子に込められた意義を考えると、伝統的なものに添うのも素敵なことだなと思いました。

Text by:AY

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