挙式準備が次々と進んでいき、引き出物を選ぶ頃には、ちょっとほっとしますね。ところが、「ゲスト全員が喜ぶ引き出物を選ぼう」と思った瞬間に、憂鬱になる人も少なくないようです。自宅に戻ってから引き出物を見て、がっかりさせたくないとか、ギフトのセンスが悪いと言われたらどうしようかとか、気に入ってもらえずに捨てられたりしたら等など、ネガティブな回路に陥ってしまっては、せっかくの挙式準備の楽しみも激減してしまいます。迷った時は、次のことを思い出してください。
それは「誰にも喜ばれる引き出物はない」ということ。ゲストは年齢も趣味も嗜好も家庭や仕事環境も様々です。そんなゲスト全員が拍手喝さいしてくれる引き出物は、ないのです。ですから、誰にでも喜ばれる引き出物を選ぼうという考え方をひとまず止めてみてください。そうすることで、選び方がシンプルになります。
ここで抑えておきたいことは、せっかくゲストに喜んでもらいたいはずの引き出物が「迷惑!」と相手を困惑させるギフトが確かに存在するということです。それは新郎新婦の名前やイラスト、写真が載っている品々。さらにこだわりを押し付けるもの。私の知人は、新郎新婦の知り合いのアーティストが手作りで焼いた夫婦茶碗に、辟易したと言っています。「渋すぎて使えないの。田舎の両親に送ったら、趣味が合わないからと、箱に入れたまま戸棚に閉まってしまった」。しかもアーティストから個展の知らせハガキが届き、「茶碗はどうでしたか」という感想まで求められたため、絶句したそうです。新郎新婦が引き出物を通じて、ゲスト同士の交流を図ろうという好意が、かえって逆効果を招くことになった残念なケースですね。
ゲスト一人一人に合わせたギフトを贈りたいという希望を叶えてくれそうなのが、カタログギフト。カタログの中から好きなものを選んでハガキを投函すると、後日に届くというしくみです。ところが、カタログギフトも問題があります。それは「カタログに欲しいものがない」こと。そのため結果的に引き出物なしのケースも少なくありません。
引き出物選びは、新郎新婦らしさが漂うギフトを選ぶことが大事です。もしイメージが湧いてこないなら、ふらっと気楽に入れる百貨店のギフトコーナーに足を運んでみたらいかがでしょう。店舗によっては、ブライダルシーズンに特設コーナーを設けることもあります。大手百貨店のソリューション統括部ギフト営業マネージャーで、銀座・日本橋店舗を担当するSさんは、百貨店のメリットを次のように語ります。
「新郎新婦あるいはどちらかが、ギフトコーナーで現物を確認できますから、贈る側のイメージに近いものを選べます。また引き出物だけでなく、ドレスや結納品、結婚指輪、さらに家具など新生活用品も見ながら、検討することも、購入することもできますね。多様性を持っている百貨店を活用する人も多いです」。一か所でウェディングに関することがほとんど叶う百貨店。困ったときは、まずは出かけてみて!