「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」の結果概要が2016年9月15日に公表されました。これは国立社会保障・人口問題研究所が、平成27(2015)年に実施した6月に調査で、「独身者調査」「夫婦調査」「独身者・夫婦共通調査」ついてまとめられています。今回はこの調査のうち「独身者調査」の結果をご紹介します。
独身男性の7割が恋人なし!?結婚の意思は?結婚の障壁は?「出生動向基本調査」概要より
Photo:Drew Hays
結婚したいと思っている人は?
「独身者調査」は、「結婚したいと思っているか」「結婚の障害になるものは何か」「独身生活の利点は何か」「異性の交際相手はいるか」「性交渉の経験」などについての質問があります。いずれは結婚しようと考えている未婚者(18歳以上 35歳未満)は男性 85.7%、女性 89.3%という割合で、「結婚したい」「結婚しよう」と思っている人の割合はかなり高いといえます。
独身の人のうち交際相手のいる人は?
この調査の結果のうち、「独身の交際相手なし」過去最高、男性7割 女性も6割」という見出しで「結婚していない人のうち、異性の交際相手がいない人の割合が男女ともに過去最高になった」というネットニュースに注目が集まりました。「独身者調査」は、18歳から34歳の未婚の男女およそ5,000人を対象に行われたもので、「独身者の「男性7割」「女性6割」の人は交際相手がいない」とありますが、この結果を年齢別に、「国勢調査」の未婚者の割合と並べてさらに深くみていきましょう。
*交際相手の有無は2015年「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」より
まず、どの年代でも男性の未婚率のほうが女性よりも高くなっています。男性の結婚する年齢はより高齢の方にも分散しているということでしょう。
また、男性で交際相手がいないのは、どの年代でもほとんど7割弱とあまり年代間で違いがありませんが、女性の方は、20~24歳で55.3%、25~29歳で56.1%、30~34歳で64.8%と、30代に入って交際相手のいない人の割合がグンと割合が高くなる様子が伺えます。これは、年齢が上がるほどに交際する人が少なくなるというよりは、年齢が上がるほどに交際相手がいれば結婚してしまう人が増えるということの裏返しと読んだほうが正しいでしょう。女性の方がとくに30代に入ってからは結婚を急ぐのかもしれません。
ところで異性の交際相手がいない未婚者は年々増加していて、またこの調査では「性交渉の経験」についての項目もあるのですが、性経験のない未婚者の割合も 2000 年代後半から増加傾向にあります。
独身にとどまっている理由は?結婚への障壁は?
結婚の意思がありながらも独身にとどまっている理由として、18歳~24歳では男性の5割が「まだ若すぎる」、女性の46%が「仕事(学業)にうちこみたい」など若さを理由に挙げていますが、25~34歳になると下記の通り理由が具体化してきます。
男性(25~34歳)
- 適当な相手にめぐり会わない 45%
- まだ必要性を感じない 30%
- 結婚資金が足りない 29%
女性(25~34歳)
- 適当な相手にめぐり会わない 51%
- 自由さや気楽さを失いたくない 31%
- まだ必要性を感じない 24%
男性の45%、女性の51%が「適当な相手にめぐり会わない」と答えどちらの性別でも独身でいる理由の第1位となっています。男女で顕著な差が出ているのは、女性の回答の2位につけている「自由さや気楽さを失いたくない」という点。女性の方がより「結婚すると自分が家庭に縛られるのではないか」と強く感じていることがうかがえます。
また、結婚意思のある未婚者のうち、「一年以内に結婚するとしたら何か障害となることがあるか」については、男性 43.3%、女性 41.9%と男女とも「結婚資金」を挙げた人が最多でした。以上のことから、結婚そのものを忌避しているのではなく、「結婚自体はしたいんだけどね、相手いないし、それ以前になかなか交際にも至らないし、お金もないし・・・」という現実が垣間見える調査結果でした。
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/doukou15_gaiyo.asp (外部リンク)