恋は下心、愛は真心。こんな言葉を聞いた事のある方もいらっしゃると思います。「「恋」と「愛」、それぞれの漢字のどこに「心」という字がはいっているか。」それを上手く使って表現した言葉です。また、伊集院光さんの書いた「Once upon a time in AK」という歌のなかに、このような言葉があります。
恋は恋愛に 恋愛は愛に 愛は愛情に 愛情は情に
タイトルの「恋→恋愛→愛→愛情→情」は、「恋愛情」という言葉として、私が数年前より大切にしていたものでした。まさか同じような言葉を、あの伊集院光さんがおっしゃっていたとは知らず、驚いた経緯があり、今回この言葉に迫ってみようと思います。
恋
「恋」は下心。人を好きになると、「~したい。」という願望がうまれます。2人だけでどこかへ行きたい。手を繋ぎたい。付き合いたい。その願望を叶える為に、あれやこれやと努力します。
恋愛
その結果がハッピーになると、次は「~してほしい。」「~してあげたい。」という2つの感情がうまれます。これが「恋愛」の段階です。抱き締めてほしい。キスしてほしい。大切にしてほしい。料理を作ってあげたい。癒してあげたい。支えてあげたい。この2つの感情は矛盾しているような気もしますし、表裏一体でもあるのですが、恋愛というものは、そもそも一本筋が通っているものではないと思います。どうしようもない衝動やどうしようもない恋しさを持ち併せた、揺れ動く不安定なものです。
愛
そんな危うい純粋さのある恋愛を続けていくと、次は「共に」「一緒に」という感情がうまれます。これが「愛」の段階です。つまりは結婚を意識し出す段階とも言えます。それまでの「今」に対する感情が、相手との将来を想像するようになって、ずっと一緒に居られたらいいなと思い描く事が増え、「これから」に対する感情へと変化します。「愛」の段階へ感情が移行するタイミングが相手と同時期であれば、自然な流れで割と早いスピードで、お互いが結婚へと向かえると思います。
愛情
「恋の賞味期限は4年」という言葉を聞いた事があるでしょうか。これは恋の魔法が解ける時期です。「好きで好きでたまらない」「ドキドキする」という感情は、ここを境になくなっていきます。これが「愛情」の段階です。つまりは、ここからが勝負。相手に対してどんな気持ちがうまれるかが、相手とずっと一緒に居られるかどうかに繋がっていきます。前述した好きとかドキドキするとか、そういう感情だけではずっと一緒にいる事はとても難しいです。
「愛情」の段階に入ると、尊敬や思いやりといった恋愛感情とは別の思いがうまれます。異性としてではなく、人としてどうかという感情です。「美人は三日で飽きる」という言葉があります。飽きはせずとも、結婚はその時を楽しむ恋愛ではなく「生活」です。異性としての感情だけでは乗り越えていけない事が多々あります。互いに「愛情」の段階に入れると、より現実的に結婚を意識できますし、結婚後の「こんなはずではなかった。でも!」という覚悟が、その都度芽生えていくと思います。その繰り返しが彼氏と彼女だった2人を、夫婦へと変えていくのだと思います。
情
最後は「情」の段階です。男と女、好きとか嫌い。そういう感情を「当たり前の日常」が上回ってきます。結婚は生活ですから、日々の積み重ねが育む「絆」がそこにはあります。人生の大先輩が、ゆっくりとした足取りで互いを支え合いながら歩く姿。何も話さなくてもそこに存在している事が憩いである時間。目指すはこういう風景だと考えます。
そこに辿り着くまで、決してスムーズではないでしょう。誰しもがそんな風景に出会えるとも限りません。しかし、(様々な理由はここでは考えないとして・・・)日本の人口約1億2600万人。世界の人口約72億8000万人。その中で出会った、その中で選んだたった一人のお相手です。
恋→恋愛→愛→愛情→情。
情は「想いの極み」です。「もう情しかないから。」という言葉を、少し恥ずかしそうに照れながら言えるおじいちゃん・おばあちゃんになりたいですね。