未成年者の出産で生まれた子どもの親権

現役高校生カップルとして有名になった「しゅんまや」(前田俊さん18歳・重川茉弥さん16歳)のお子さんが7月9日に生まれました。さて、未成年の女性が出産した子どもの親権は誰が持つことになるのでしょうか。これは親となった男女が結婚しているかどうかや、父親の認知があるかどうかが関わり、少し複雑です。今回はその点を解説します。

ところで、「成年」とは満20歳になった人のことで、成年になっていない人を「未成年者」といいます。現在の日本の成年年齢は20歳なので、19歳以下が未成年になります。後述のように2022年4月1日に成年年齢は18歳に引き下げられ、以降未成年は17歳以下、ということになります。

index 目次
  1. 1. 未成年者の出産数
  2. 2. 未成年者が産んだ子どもの親権
  3. 3. 男性(未成年)による子どもの認知と親権

1. 未成年者の出産数

親権の話に入る前に、未成年の女性が産んだ子どもはどれくらいいるのかデータをご紹介しておきましょう。厚生労働省の人口動態調査(※1)によると、2017年に14歳~19歳の母が産んだ子の合計は9,898人でした。同年の出生数総数は946,065人でしたので、約1%です。出産した母親の100人に1人が未成年だった、ということになります。

未成年者の出産(母親の年齢別内訳)

  1. 14歳以下37人
  2. 15歳121人
  3. 16歳459人
  4. 17歳1,296人
  5. 18歳2,488人
  6. 19歳5,497人

(※1)人口動態統計/出生数,性・母の年齢(各歳)・出生順位・嫡出子-嫡出でない子別(外部リンク)

2. 未成年者が産んだ子どもの親権

親権とは?

親権とは、未成年の子どもを監護・教育、養育し、子どもに財産があれば子どもの代わりに管理をする親の義務や権利のことです。具体的には大きく分けて次の二つがあります。

身上監護:子どもと生活して食事や身の回りの世話、教育をすること。しつけをしたり、学校を選択したり、子どもが住む場所を決めたり、子どもの就業を許可したりすること。

財産管理:子どもの財産管理をし、子どもの代わりに売買やサービスの契約、訴訟などの法律行為をすること。

つまり、子どもの財産を管理したり、代理で法律行為を行う「権利」を持つと同時に、子どもが成人するまで子どもを教育・養育し、日常生活を送れるように「責任・義務」を負うということを意味します。「親権」という言葉から一見すると親の「権利」だけのようですが、子どもに対する「責任と義務」が伴うものです。

さてこの親権は、日本では父母が法律上結婚していれば父母が共同で持つものです(共同親権)。しかし未婚や離婚の場合はどちらか一方の「単独親権」になり、父母のどちらが親権者になります。

ちなみに、多くの場合、親権者が身上監護権と財産管理権の両方をもちますが、親権者が海外にいて監護できない場合など、親権者と監護権者が別々になるケースもありえます。

結婚している場合

未成年者が産んだ子どもの親権の所在は、父母が結婚しているかどうかによって違います。結婚していれば、父母が未成年でも共同で親権をもちます。これは結婚すれば「成人」として扱われる民法上の、「成年擬制」という制度によります。

民法(婚姻による成年擬制)第753条

未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

2020年7月現在、未成年とは19歳以下の人であり、結婚できるのは、男性は18歳~、女性は16歳~です。よってこのケースにあてはまるのは、生まれた子の父が男性18~19歳、または生まれた子の母が女性16~19歳、の場合となります。

例えば、マスオ(18歳男性)、サザエ(18歳女性)、二人の子どもタラ(0歳)、を仮の例として状況を説明すると、

  • サザエ(18歳)とマスオ(18歳)は、それぞれの父母の同意を得て結婚をした。
  • 新しくサザエとマスオの戸籍が作られた。
  • 生まれたタラは父・マスオと母・サザエと同じ戸籍に入った。
  • タラの親権者は父・マスオと母・サザエである。

となります。

ちなみに、未成年の結婚には親の同意が必要である点にも注意が必要です。
未成年者の結婚について詳しくはこちらをご覧ください。
高校生でも結婚できる?結婚できる年齢と親の同意、成年年齢の引き下げ

結婚していない場合

未婚で出産した場合、原則的に子どもの親権は母親にあります。しかし、子どもを産んだ女性が未成年で、かつ結婚をしていない場合は「結婚によって成人として扱われる」(成年擬制)があてはまらないので、女性は自分が産んだ子どもの親権者になることはできません。

未婚の未成年の女性が産んだ子どもの親権者は、通常、子どもを産んだ女性の親権者になります(「親権の代行」)。つまり、一般的には生まれた子の母方の祖父母が親権者になります。産んだ女性自身が親権者になるためには、結婚する(「成年擬制」により親権を持てる)か、20歳になり成人するのを待つ必要があります。
サザエ(18歳)とマスオ(18歳)の例で説明すると、以下となります。

  • サザエとマスオは結婚しない。
  • タラの出生届を出すとサザエを筆頭者とする戸籍にタラが入る。
  • 結婚しないのでサザエもマスオもタラの親権者になることはできない。未成年であるサザエの親権者は波平・フネなので、タラの親権者は波平とフネになる。
  • サザエが成人するまではタラの親権者は波平とフネであり、タラを監護・養育していく義務が生じる。
  • タラの父親であるマスオに対し、認知を求めたり、養育費の請求をすることができるのは、タラの親権者である波平とフネである。

未婚のカップルについて、未成年・成年別の親権

未婚の子どもの親権は父母の未成年・成年の組み合わせケース別に次のようになります。

  • 母(18歳)と父である男性(18歳)の子どもの親権 →女性の親(子どもの母方の祖父母)
  • 母(18歳)と父である男性(20歳)の子どもの親権 →女性の親(子どもの母方の祖父母)
  • 母(20歳)と父である男性(18歳)の子どもの親権 →母親の単独親権
  • 母(20歳)と父である男性(20歳)の子どもの親権 →母親の単独親権

3. 男性(未成年)による子どもの認知と親権

子どもの母である女性(未成年)と、父である男性(未成年)が結婚していない場合で、男性が子どもを「認知」すると子どもの親権はどうなるでしょうか。

認知とは子どもの父親である男性が行う手続きで、法律上婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもを男性が「自分の子どもである」と認めることです。認知の方法として、任意認知と強制認知の二種類があります。また、一度認知をしたら原則として解消はできません。

任意認知の場合、男性が子どもの認知届を役所に出すと、子どもの戸籍の父の欄に男性の名が記入され、父子関係が確定します。任意認知は父親が行うものなので、原則母親や子ども自身の承諾は要りません(子ども自身が成人の場合は本人の同意が要ります)。また、男性が未成年であっても子どもの認知に男性の親の許諾や同意は必要ありません

認知する=親権者になる、ではない

子どもを認知することは、すなわち子どもの親権者になるということではありません。男性が子どもを認知しても、子どもの親権者は母親(母親が未成年であれば母方の祖父母)のままですが、父との親子関係にもとづく次のような権利や義務が生じます。

  • 父親には子どもを扶養する義務が生じる(養育費を支払う義務)
  • 父親の財産について、子どもに相続権が発生する
  • 協議によって親権者になりうる(子どもの父が成人の場合)

サザエ(18歳)とマスオ(18歳)で説明します。

  • サザエとマスオは結婚しない。
  • マスオはタラを認知した。
  • 父親のマスオの方の戸籍には、タラを自分の子どもとして認知したことが記載され、法律上の父子関係が確定。
  • タラの親権はサザエの親権者である波平とフネのまま。
  • 父親であるマスオにもタラとの親子関係に基づく権利や義務が生じる。

未婚の父親の親権獲得は可能か?

先に述べたように、原則的に未婚のカップルの子の親権は、母親もしくは母親の親権者(母親が未成年の場合)にあります。しかし父親である男性が子どもを認知した場合、以下のように、協議により父親サイドが親権を持つこともできます。

父親が未成年の場合 → 親権者を決める協議によって父親の親権者(生まれた子の父方の祖父母)が親権者になりえます。
父親が成人の場合 → 親権者を決める協議によって父親が子どもの親権者になりえます。

誰と誰の協議か、という点においては、父親が未成年であればその親権者が当事者となります。母親のほうも、母親が成年であれば母親本人、母親も未成年であれば母親の親権者が協議の当事者となります。

協議により親権者を指定・変更するときは「親権管理権届」を自治体に提出する必要があります。

また、結婚していなければ親権は父母の共同親権にはならず単独親権なので、父親サイドが親権をもつことになれば、母親サイドの親権は失われます。

参考

認知されないと子どもは不利な立場に

なお、男性が子どもを認知しない場合は、法律上、父と子の間に父子関係が発生しません。ということは、上記のような認知した場合の親子関係に基づく権利や義務が生じないということです。つまり、戸籍の続柄に記載されない、養育費を父親に請求できない、父親が亡くなった際の相続権がない、といったことで子どもは非常にリスクの高い、不利・不安定・不条理な立場にたたされます。

2022年4月の改正法施行以降

最後に、2022年4月成年年齢は18歳に、婚姻年齢は女性が16歳から18歳に引き上げられ、男女ともに18歳になります。成年年齢と婚姻年齢が同一年齢に、そして男女ともに18歳で揃うということです。そうなると、例えば18歳同士の男女の間に生まれた子どもの親権については、次のように変わることになります。

18歳同士が結婚→子どもの父と母の共同親権
18歳同士が結婚していない→どちらも成人だが結婚していないので、女性が親権者(単独親権)になる。父親である男性(18歳)が子どもを認知した上で、親権者を決める協議によって父親が親権者に定められた場合は、父親が子どもの親権者(単独親権)になる。

施行後も、17歳以下の未成年者の出産については、本記事2章の「結婚していない場合」や、第3章の内容が当てはまります。

本澤巳代子・大杉麻美・高橋大輔・付月『よくわかる家族法』ミネルヴァ書房 2014年伊藤滋『夫婦親子男女の法律知識』自由国民社 2016年
一般社団法人 日本家政学会『現代家族を読み解く 12章』丸善出版 2018年
南部義典『図解 超早わかり 18歳成人と法律』C&R研究所 2019年

監修

アイリス綜合行政書士事務所
行政書士・FP 田中真作
早稲田大学法学部卒業。行政書士・FP・宅地建物取引士。2003年行政書士登録。
相続や離婚などの一般市民法務相談や各種許認可業務など幅広く対応。
田中真作のFacebookページ

Text by:AISA

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