「結婚」とは?本サイトでも結婚生活や結婚に伴う手続き、再婚、事実婚や同性婚などさまざまな角度から「結婚」について取り上げていますが、法律的には「結婚」は「婚姻」と言います。役所に婚姻届を出して法律上一組の男女が夫婦となること、つまり二人が社会的に「夫婦である」と承認されることを「結婚」といっています。現行の民法ではこの「婚姻」にはいくつかの条件(要件)があり、それを満たしていないと法律上の結婚(法律婚)はできないということになっています。今回は結婚に必要な要件がどのように法律で定められているのかご紹介します。
「結婚」とは?民法にみる「婚姻」成立の条件
結婚する意思を二人が持っていること
「婚姻」はお互いに結婚し、夫婦関係を成立させる意思を持っていなければなりません。もし婚姻届を市区町村役場に出して受理されたとしても、どちらか一方がもう一方に無理やり、またはだまして婚姻届に署名押印させて届け出ていた場合には、結婚は無効になります。
なお、憲法24条1項には「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」とあります。この「両性の合意」について、「同性婚」をめぐる議論では、様々な意見があります。「憲法を改正しなければ同性婚は法的に成立しない」という意見や、「両性は、男女だけではなく女性×女性や男性×男性も含まれると解釈して現行の憲法のままで同性婚は可能である」という意見、「異性婚が両性の合意のみに基づいて成立することを示しているにすぎず、同性婚を禁止しているわけではない」という意見などがあります。
(婚姻意思の合致)憲法第24条1項
婚姻は両性の合意のみに基づいて成立
(婚姻の無効)民法第742条1号
婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)民法第747条1項
詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
男性は18歳、女性は16歳になっていること
2017年現在、結婚できる年齢(婚姻年齢)は男性18歳以上、女性は16歳以上です。しかし成人年齢が20歳から18歳に引き下げられる民法改正案にともなって、女性が結婚できる年齢が18歳に引き上げられることが検討されています。
(婚姻適齢)民法第731条
男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。
結婚していないこと
日本は一夫一婦制なので一度に結婚できる相手は一人のみ、重婚は認められていません。
(重婚の禁止)民法第732条
配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
女性は再婚禁止期間を過ぎていること
再婚後にすぐ妊娠がわかると、「前夫、現夫のどちらが父親かわからない」という事態になってしまうため、女性は離婚後100日間再婚できないと定められています。しかし、離婚時に妊娠していないことを医師が証明した場合などには、離婚から100日以内であっても再婚することができます。また同じ男性との再婚もすることができます。
(再婚禁止期間)民法第733条 2016年改正
女は前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ再婚することができない。
前項の規定は次に掲げる場合には、適用しない。
女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合。
女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合。
近親婚ではない
直系血族(祖父母、父母、子、孫)や、3親等以内の血族(直系血族、曾祖父母、叔父母、兄弟、甥姪)とは結婚できません。しかし、4親等にあたるいとことは結婚することができます。養親と養子などの結婚も禁止されています。
(近親婚の禁止)民法第734条
直系血族又は3親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。但し、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
第817条の9の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。
(直系姻族間の婚姻禁止)民法第735条、(養親子関係者間の婚姻禁止)民法第736条
未成年者は親の同意が要る
未成年(20歳未満)が結婚する場合には、父母(養父母)の同意書が必要です。父親か母親どちらか一方の同意でもかまいません。婚姻届と一緒に同意書(「結婚を了承します」という一文と署名押印)を提出するか、婚姻届の「その他」欄に父母(養父母)が「婚姻に同意する旨」を記入して、署名押印をします。
(未成年者の婚姻につての父母の同意)民法第737条
未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。
父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様とする。
(成年被後見人の婚姻)民法第738条
婚姻届を出す
役所に婚姻届を提出し、受理されたら「結婚した」ということになります。
(婚姻の届)民法第739条
「婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。」「前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上から、口頭又は署名した書面で、これをしなければならない。」
(婚姻の届の受理)民法第740条
婚姻の届出は、その婚姻が第731条から第737条まで及び前条第2項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
現在の民法では、男女がお互いに結婚して夫婦になろうと思っていて、それ以外の条件もクリアし、婚姻届を出して受理されれば結婚(婚姻)が成立するということになります。