1. ご祝儀袋の選び方・水引の種類

ご祝儀袋は文具店、スーパー、コンビニなどで購入できます。ご祝儀袋は袋のデザインや素材、水引の形が異なり、金額によって選ぶご祝儀袋が変わってきます。豪華な水引のご祝儀袋の中身が1万円ではかえって失礼になるのです。基本的に水引が豪華になるほど金額は多くなりますが、結婚祝い金の目安の金額がご祝儀袋のパッケージに記載されているので、お祝い金の額と釣り合うご祝儀袋を選びましょう。

結婚祝いには、のしつきで水引が紅白か金銀の「結び切り」のものや、結び切りの一種である「あわじ結び」のご祝儀袋を用います。水引とはご祝儀袋などにかけられている帯紐のこと。いわばプレゼントにかけるリボンのようなもので、日本古来のラッピングです。

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結婚祝い用の水引「結び切り」は10本が正式とされていて、結び切りには「二度と繰り返すことのないように」という意味があります。慶事用には蝶結びの水引もありますが、「ほどいて何度でも結び直せる」ため結婚祝いにはNGです。

ご祝儀を現金書留で郵送する予定の時は、水引10本が印刷された厚みのないご祝儀袋にするとよいでしょう。

2. ご祝儀袋の表書きの書き方

ご祝儀袋の表書きは、正式には毛筆で書きますがなかなかふだんの生活では難しいもの。筆ペンを使い楷書体でくっきりと書きます。「薄墨」の筆や、「ボールペン」「万年筆」はNG。

表書きの名目は「寿」「壽」(ことぶき)、御祝(おいわい)、「御慶」(「ぎょけい」目下の人には使わない)、「御結婚御祝」(ごけっこんおいわい)などがあり、ほとんどの場合印刷されて売っています。自分で書く場合には、「寿」「御祝」「御結婚御祝」などと書き入れますが、4文字は「死文字」といい慶事には×なので、「祝御結婚」などは避けましょう。

購入したご祝儀袋に、表書きの文字が印刷された短冊と無地の短冊が入っている場合があります。これは書き損じた場合の予備ではなく、「喜びが重なるように」という意味で表書きの短冊の下にもう1枚重ねるための短冊です。短冊は1枚のみでも、もう1枚重ねて2枚にしてもいいでしょう。

3. 名入れの仕方

表書きの名目(「寿」など)の下にはご祝儀の贈り主の名前を書きます。

個人名(1名)の場合

上段の表書きに対して下段に少し小さめに姓名を書きます。

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個人名(連名)の場合

夫婦は右に夫の姓名、左に妻の姓名を書きます。会社やサークルのメンバーなどの場合は目上の人の姓名を右から左へ順に書き入れます。連名で3名程度までとします。順位がはっきりしない場合は五十音順で書きます。

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連名(4名以上)の場合

会社やサークルなどのメンバー4人以上でご祝儀を贈る場合は、代表者を中央に太く書き、左側に「外一同」または「他一同」と小さく入れて、他の人の名前(郵便番号、住所)を書いた紙(半紙、奉書紙、一般的な白の便せんも可)を中袋に入れます。この場合も、名前の順番は目上の人から右から左へ順に書き、順位がはっきりしない場合は五十音順にします。

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連名で大人数の場合

代表者を立てず大人数でご祝儀を贈る場合は、会社名、部署名、グループ名など「○○一同」と書きます。「○○有志一同」と書く場合は、全員の名前(及び郵便番号、住所)を書いた紙(半紙、奉書紙、一般的な白の便せんも可)を中袋に入れます。名前の順番は目上の人から右から左へ書き、順位がはっきりしない場合は五十音順にします。

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4. 中袋の書き方

中袋の裏面には、必ず金額を書きいれます(入っているお金と贈り主が贈ったお金が一致しているかどうか確認できるようするため)。表書き同様に筆で書くのが正式ですが、はっきりと読みやすい字であれば筆ペンやサインペンでもいいでしょう。正式には「金 ○○圓也」とし、数字は「大字」(だいじ)と呼ばれる漢数字を使います。現在は、略式でもよくその場合は「金 一万円」「金 三万円」と書きます。また、最後に「也」はつけてもつけなくてもかまいません。

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中袋の裏面には、左側に郵便番号、住所と氏名を書きます。連名で2~3名であれば中袋裏面左側に、それ以上で書ききれないようであれば全員分の郵便番号、住所、氏名を別紙に書いて中袋に入れます。

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金額の記入例
1万円→ 「金 壱萬圓也」「金 一万円」
3万円→ 「金 参萬圓也」「金 三万円」
5万円→ 「金 五萬圓也」「金 五万円」
10万円→ 「金 壱拾萬圓也」「金 十万円」

中包みに使われる漢数字
1→ 「壱」
2→ 「弐」
3→ 「参」
5→ 「五」「伍」
7→ 「七」
8→ 「八」
10→ 「壱拾」「拾」
100→ 「壱百」「百」
万→ 「万」「萬」
円→ 「円」「圓」

5. お金の入れ方

お札は、慶事なので事前に銀行や郵便局で新札に両替しておきましょう。お札をそろえて、お札の人物が書かれている表を正面にして中袋に入れます。のり付けは必要ありません。中袋をご祝儀袋に入れて上、下、の順にたたみ(下からの折り返しが手前になるように)水引を通します。上からの折り返しが手前になるようにたたむのは不祝儀袋なので絶対にNG。注意が必要です。

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6. ふくさ(袱紗)の使い方

ご祝儀袋をポケットやバッグからじかに出して手渡すのは略式で、女性でも男性でも正式には袱紗に包んで持参します。もし袱紗がない場合は大判のハンカチかミニクリアファイルで代用します。袱紗は慶事には明るい色、弔事には暗い色のものを用いますが、紫色は慶事・弔事どちらでも使うことができます。

お祝い事の場合

  • 袱紗の爪を右にして置き、ご祝儀袋を左に置きます。
  • 左側を折ります。
  • 上を折り、下を折ります。(ご祝儀袋と同じように上向き=喜びを表しています)
  • 右側をかぶせて袱紗の爪を留めます。爪のないものも同様にしてしっかり包みます。
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7. ご祝儀の渡し方

袱紗ごとバッグから取り出し、「この度はおめでとうございます」、結婚披露宴であれば「本日はおめでとうございます」と挨拶をして、袱紗からご祝儀を出し袱紗を畳みます。 畳んだ袱紗の上にご祝儀袋を置き、ご祝儀袋の表書きの文字が相手の方に向くようにして両手で渡します。

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8. いつ渡すか?渡すタイミング

結婚祝いは正式には、結納~結婚式までの大安や先勝などの吉日の午前中に自宅に伺って、直接「おめでとうございます」といって手渡します。しかし、現在は結婚式・披露宴に出席する場合は、「受付」で新郎か新婦、自分が招待された側の受付係の方にご祝儀を手渡すのが一般的です。

結婚式をしない場合や、結婚式や披露宴に出席しない場合は、自宅に伺うか会う約束をして直接渡すか、遠方で直接渡せない場合は郵便局から現金書留で送ります。現金書留用封筒には手紙やカードを入れることもできるので、お祝い金を入れたご祝儀袋に手紙やお祝いのカードを添えるといいでしょう。結婚式は行われるが自分が出席しないのであれば、結婚式の日取りの1週間前をめどにご祝儀を受け取ることができるように送ります。

参考
株式会社高島屋 『高島屋のしきたり事典 老舗百貨店の門外不出「ぞうとう・おつきあい」教本』 小学館 2015年
『冠婚葬祭 贈答のお金 マナー 表書き』主婦の友社 2010年