一点豪華主義をドレスで実現したい花嫁さん。憧れのウェディングドレスを、オリジナルで着こなしたい方。レンタルより、オーダーメイドを希望する女性の方々などに、裁縫業46年、ドレスさらの粕谷尚子さんのウェディングドレスを紹介します。
世界に一点しかないオートクチュールのドレスは、粕谷さんの一針一針に、オリジナリティーと愛情が溢れています。驚くことに、どれも40万円~45万円と比較的おさえめの予算のものばかり。
「オーダーメイド専門の大きな店舗を構えるサロンでは、倍の値段で創っていると聞いています。私はアトリエで制作していますので、大きなサロンでは考えられない予算といわれています」。
生地や素材にこだわる粕谷さんは、注文を受けてから最高級の素材を求めて、奔走します。ドレスの紹介をしながら、目に見えない努力や工夫も紹介しますね。
1. 憧れのディズニーのお姫様ドレス
子供の頃からディズニー映画が大好きだったYさん。36歳で結婚したYさんのご主人は一回り年上の男性で、2度目の結婚式では、Yさんの希望を叶えたいと、オーダーメイドのドレスを依頼したそうです。
このドレスの特徴は、スレンダーのドレスが主流の中、ウェストからふわりとドレスのふくらみを大きく見せて、豪華で夢のあるデザインを作り出したこと。サテンレースで安定感を出し、オーガンジーの細やかな糸で繊細さを出します。ふわりとした感触を醸し出すために、ペチコートを多く重ねたそうです。ドレスを大きく膨らませても太ったように見えないように、ハイウェストにしてウェストを引き締めるなどの工夫も。
Yさんの小さい頃に憧れていたディズニー映画のお姫様ドレスのイメージを、粕谷さんが丁寧に聞き取り、それを再現したところ、Yさんが感激のあまり泣き出したそうです。
2. 純白にこだわるドレス
一回り年上のご主人の要望は「とにかく純白で」と純白を全面的に打ち出したドレス。新婦のTさんのことを好きで好きでたまらなくて、やっと結婚を承諾してくれたご主人の喜びを表現するために、粕谷さんはシルクのサテンにはない純白の生地を探すのに、一苦労したそうです。
ドレスは総レースで、レースは全部手縫い。縫い目が解らないように接ぎ合わせたところ、試着の時に、「美しい!」とご主人が感動のあまり、涙を流したそうです。
手縫いとミシン縫いの違いは、ミシン縫いにすると、縫い目が硬くなるので、ふらりとした感触が薄れること。手縫いにこだわると、プレーンのドレスも柔らかな感触を醸し出されます。
総レースの手縫いは通常3週間かかるそうですが、粕谷さんはこのドレスを2週間で仕上げたそうです。まさに「夜なべをして」。
3. フランス製の最高級のレースで制作
「レンタルだと、使用感が漂いすぎて、ペラペラ。オートクチュールでお願いします」というSさんの要望に応えて、手縫いではぎあわせた縫い目の見えないオートクチュールのドレス。
シルクの色が変わらないように、まず糸にこだわったという粕谷さん。フランス製の最高級のレースは、馬喰町にあるレース専門の店で、生地は青山にあるアパレルのブランドで取り寄せるなど、徹底的に素材にこだわってのドレスは、新婦の親戚中から話題になったそうです。リボンはアイボリーと、白地のドレスにアクセントをつけるように可愛いデザインにしています。
粕谷さんの凄いところは、お客様からのオーダーを丁寧に聞き取るカウンセリング能力と、妥協のない素材選び、手縫いの集中力など、まさに一つ一つの作品を作り上げるアーティストの気概を持って制作に臨むところ。
ギャラリー2では、変化にとんだオーダーメイドのドレスを紹介します。お楽しみに。
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