2015年3月、GMOインターネットグループでインターネットリサーチ事業を展開するGMOリサーチ株式会社(代表取締役社長 細川 慎一 以下、GMOリサーチ)は、GMOリサーチが保有する日本のモニター(婚姻歴のある男性1,000名、女性1,004名)を対象に「結婚に関する実態調査」を実施し、その調査結果を2015年6月に公表しました(http://www.gmo-research.jp/4459.html)。
この調査レポートで明らかになったのは、1974年以前、1975~1984年、1985~1994年、1995~2004年、2005年以降と、5世代に分けた結婚観や交際実態です。この結果から、恋愛・結婚や晩婚化の背景を紐解いてみました。
出会いが遅くなって、交際期間が長くなったのが晩婚化の原因
配偶者と出会った年齢は、男女とも時代を下るにつれて年齢が高くなっています(1974年以前 男性平均:24.2歳、女性平均:21.3歳→2005年以降 男性平均:29.7歳、女性平均:25.1歳)。一方で、出会いから交際開始までの期間は約半年から1年位でどの世代でも大きく変わりませんが、交際期間が長期化する傾向がみられます(1974年以前 男性:同棲ありで1.00年/同棲なしで1.32年、女性:同棲ありで1.31年/なしで1.20年→2005年以降 男性:同棲ありで3.31年/同棲なしで4.60年、女性:同棲ありで3.82年/なしで5.51年)。出会いが遅くなり、交際期間が3~4倍と長くなっていることが、昨今の晩婚化の原因です。
このように出会いが遅くなり、交際期間が長くなった背景は、結婚という言葉から連想される言葉を自由回答で挙げてもらい、結婚についてのイメージを分析した結果から透けて見えてきました。1974年以前では「家庭」が圧倒的に高かったものが、2005年以降では「幸せ」が上昇し、「家庭」は「幸せ」から連想される従属的概念になっています。「家庭」という形から「幸せ」という個人の価値観を重視するようになってきたことで、その価値観を共有できる相手かどうかということを見極めるために、出会いも慎重になり長い交際期間が必要になってきたということなのでしょう。
結婚の条件で年収を気にしていたのは1970年代。実は「三高」は結婚の決め手ではない?
結婚を決めたきっかけでは、男女ともに「配偶者とずっと一緒に暮らしたいと思った」「配偶者であれば素敵な家庭が築けると思った」が、どの世代も2~3割を占めています。一方、出会いが遅くなり交際期間が長くなったことで、特に女性では「結婚適齢期を過ぎてしまうと思った」の割合が増加しています。さらに、1985年以降では「配偶者との子供を持ちたいと思った」の割合が男女ともに増加しています。
また1974年以前では「両親、親戚など身内からの奨め」といういわゆる「お見合い」が、男女ともに1.5割を超えていたのですが、世代が進むにつれて減少しています。「結婚してこそ一人前」というような前時代的な安定や責任といった価値観を親から押し付けられるといった事態が少なくなってきたことを示しているといえるでしょう。
やや面白いのは、「あなたご自身または配偶者の収入が安定してきた」は各世代・男女ともに1割にも満たないという点です。三高(高学歴・高年収・高身長)といわれた1980年代のバブル世代はもちろんその前後でも、年収や雇用の安定が直接的な結婚の条件ではないことが、垣間見える結果となりました。
同棲生活の有無が、交際期間に影響することはほとんどないが、同棲なしでは交際期間が大幅に増加
最後に、この調査レポートでの結論以外で目立った点を挙げますと、同棲生活の有無によって、2005年以降のカップルの平均交際期間に大きな違いがみられるということです。男性では、同棲ありが3.31年であるのに対し、同棲なしは4.60年、女性では、同棲ありが3.82年であるのに対し、同棲なしは5.51年と、男女ともそれまでの世代と比較すると、同棲ありなしでの交際期間の差が増加、特に女性では、同棲なしが大幅に長期化しています。これは、あえて同棲を選択しないまま、長期交際期間の中で相手の価値観をじっくりと見極めようとするカップル、特に女性は結婚に関しては結婚に対して慎重派が増えていることを示しています。
2005年以降といえば、2008年のリーマンショックと株価低迷、2011年の東日本大震災、そして日本がデフレに苦しみ、実質賃金も目減りした時期に当たります。最近になってようやくアベノミクス効果もあって株価が上向いてきて、日本経済にも薄日が射してきたような感じがしますが、短期間での“肉食狩猟結婚”から長期育苗して幸せという収穫を目指す“草食稲作結婚”と価値観重視にシフトしたことで、ある程度距離を保ったまま、じっくりと相手を選ぶ傾向は、今後もしばらくは続くといえそうです。