「保育園落ちた日本死ね」と叫んだ人に対し、「保育園激戦区に住んでいるのが悪い」と吐いた人に伝えたい、「保育園激戦区」と「子育てしやすい地域」のからくり

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写真提供:藤森平司

匿名ブログの投稿から波紋を広げている「保育園落ちた日本死ね!」の書き込み。このストレートな怒りに多くの母親が共感したことでしょう。しかし、保育園に空きがある地域にお住まいの方や小さい子どもがいない方からは「ピンとこない」「遠い国の災害のよう」という漠然とした感想のほか、「そもそも保育園激戦区とわかっていて住んでいるのが悪い」という意見も見られました。

index 目次
  1. 子育てしやすい地域は、だいたい保育園激戦区
  2. 激戦区を避けると通勤不便になることも

子育てしやすい地域は、だいたい保育園激戦区

結婚して新居を探すとき、「駅から近いところ」「買い物に便利なところ」など、条件を考えるものです。将来的に子どもがほしい場合は、「公園が近いところ」、「自治体の子育て支援が充実していること」など、新たな家族を迎え入れた時をイメージしながら新居を探しているはずです。ところが、子育て環境が良い場所は、子育て世代が自然と集まる場所であって、子どもが多い地域でもあります。すなわち、子育てしやすい地域に住むということは、必然的に保育園の激戦区に居住することになってしまうのです。

こうした状況を事前に把握していて、妊娠中から保活(ほかつ、保育園を探す活動のこと)を始める人も少なくありません。ですが、「お子さんが生まれてから来てください」と保育園で門前払いされてしまい、保育園に入れるかどうかわからず不安を抱えたまま出産を迎えているのが現状です。

激戦区を避けると通勤不便になることも

保育園の激戦区を避けて都市部から離れた郊外に行けば、子どもを保育園に預けられる可能性が高いでしょう。しかし、郊外だと都市部へ通勤に時間がかかってしまいます。親の精神的・体力的な負担が増え、場合によっては保育園の迎えの時間に間に合わせるために退勤時間も調整する必要が出てくるかもしれません。結果として、都市部にアクセス良好で子育てしやすい激戦区に居住せざるを得ないのです。

「それなら通勤しやすいところに転職すればいいのでは」という人もいるでしょう。しかし、子育てにはお金がかかるものであり、子どもが大きくなるにつれ教育費の負担は増えていきます。転職後に収入が必ず増えるとは限らない以上、通勤に不便であることを理由に転職するのはリスクを伴います。将来的な家計不安を考えても、仕事を変えずに通勤しやすい地域(保育園激戦区)に居住することが最善の選択肢となるのです。

今回の「保育園落ちた日本死ね!!」という書き込みをした人は、最終的に仕事を辞めることになったようです。自己都合による退職ではないのですから、怒りはごもっともでしょう。政府は「子どもを産んだ女性も働きやすい社会にする」という趣旨を掲げていますが、保育園・保育士の不足が解消されない現状を見ると、まだスタートラインにすら立てていないように感じます。

Text by:エマ

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