松嶋尚美さん、永作博美さん、最近ではビビアン・スーさん、なるみさんと、40代で出産する芸能人の女性は今や珍しくありません。多くの40代で結婚される一般の方も出産を望んでいるのではないでしょうか。ここでは、実際に40代での出産、子育てはどのようなものか。若い頃とは異なるのか、考えてみたいと思います。
40代での結婚…出産、子育てのリアル
40代で実際に産める確率は!?
35歳以上からが高齢出産の目安となっていますが、妊娠率のターニングポイントも35歳にあります。35歳で18%であった自然妊娠率は、以降その低下が加速し、40歳では5%。流産率は40%と高い確率になります。体外受精であっても妊娠率は35歳で33~34%ですが、40歳では17~18%。数字は残念ながらシビアな現実を物語っていますね。
しかも、日本では不妊治療はとてもお金がかかります。地方自治体で助成金は出ますが、「車1台分費やした」といった声はざらです。芸能人の高齢での妊娠は不妊治療のための十分な経済力があるという事情もあるかもしれません。
しかし、「現代は高齢出産が増えた」といわれていますが、実は戦前のほうが現代よりもずっと高齢出産が多かったことをご存知でしょうか?大正14年には、45歳以上の母親から生まれた子供は2万人近くいたとのこと。もちろん、その時代は不妊治療などなかったにも関わらずです。 自然妊娠、無事出産できる、それはつまり若い頃と同じような健康な身体であるということ。40代で出産を望むなら人並み以上に健康に留意し、気力を充実させることが大切といえそうです。
40代の子育ては、やっぱり大切なのは“お金”!?
私が出産して強く思ったこと、それは、現代の子育ては、私たちが育ってきた世代よりさらにお金がかかるということです。
何故ならお金を出さねば子どもの居場所が確保できないという事情があります。どういうことかというと、たとえば母親である自分だけで病院に行きたいとき、夫が不在であった場合、親や兄弟、親せきなどがいなければお金を出して子どもの預け場所を確保しなくてはいけません。40代なら親は高齢ですので預かれないケースも多いでしょう。幼児を預ける上で一番リーズナブルなのは認可保育園ですが、それも地域によっては定員オーバー。小学生になっても学童保育も定員オーバー。
さらに、今時は、小学生になっても低学年くらいの子どもは子どもだけで外で遊ばせることはあまりないようです。1人子どもだけで外に出されれば、昔のように近所の子ども同士のコミュニティはないのですから、その子は寂しく1人さまようことになり、“放置子”扱いされかねません。小さいうちから放課後習い事通いする子どもが多いのは、そうした事情もあるように思います。
40代で初産なら、頼みの兄弟もおらず、一人っ子の可能性も高いでしょう。ますますその子の社会性を育てるためにも、お金を使っての場所の確保が必須になるのではないでしょうか。
40代での出産、子育ての現実は厳しいが…
40代での出産、子育てはけっして楽観できるものではないと思います。しかし、多くの40代が出産した戦前はさらに世の中は不安定で、もっと厳しい貧困も存在しました。それでも、子どもを産んだのはやはり子どもが未来への希望であり、喜びであったからではないでしょうか。悩みや不安はあることと思いますが、やはり40代であっても多くの方にトライしていただきたいと思います。
とはいえ、厳しい40代での出産、子育て。国は『女性手帳』によって、若い世代に「手遅れになる前に早く産んで!」と促そうとしましたが、本当に子どもを増やしたいなら、十分とはいえない不妊治療の助成の改善や放課後の子どもたちの居場所作りにも目を向けてほしいものです。注意を喚起するのも必要かもしれませんが、同時に多くの女性が出産できて、経済的にも精神的にも安心して育てられる環境が整えることを考えてほしいと思います。