「さあ、次の花嫁はだぁれ!?」晴れ晴れとした声を合図に青空に投げられる美しい花嫁のブーケ。黄色い歓声とともに、身を乗り出し、そのブーケに手をのばすうら若き独身女性たち。
ブーケトスはドラマや映画などでも結婚式の象徴的な場面として描かれるほど、定番中の定番といってもいい演出ですね。キャッチしたら、次の花嫁になれるというブーケトス、まさに最高の幸せのおすそ分けといえます。しかし、この独身女性のためのすてきに思える演出が日本の式では消えつつあるようです。本来の意義に反して、ブーケをプレゼントする特別なゲストをあらかじめ決めておいて手渡したり、ブーケトスに既婚、男性、子どもでも誰でも参加できるようにしたりするようです。
ブーケトスは嫌がらせか!?幸せMAXの花嫁に辟易する独身女性のホンネ
手渡されても複雑だった…30歳のブーケ
私自身は本来のブーケトスでブーケをキャッチしたことはないのですが、実は直接花嫁からブーケを贈られた経験があります。そのとき、私は30歳になったばかり。もちろん、花嫁の好意はとても嬉しかったです。けれど…思えば同級生のなかで私だけが独身。さらに、当時将来がみえない彼と遠距離恋愛中。「せっかくもらったけど、どうにもならないよ…」と内心複雑な心境でした。
幸せそうできれいだった友だち。あやかりたいけど、まったくあやかれそうにない現状。ブーケによってさらに追い打ちをかけられたような心境でした。
ブーケトス、ブーケプルズは嫌がらせ!?
年々結婚年齢が上昇し、東京ではついに女性も30歳の大台に。さらに、生涯未婚率が過去最高を更新するなか、“ブーケトス”について複雑な心境を抱く女性は私だけではないと思います。
プランナーの方が「絶対盛り上がります!」とブーケトスをすすめることもあるようですが、参加する女性たちも30代以降となれば、それは“盛り上がっている”のではなく、“精一杯気を使って盛り上げている”というのが正しいのではないでしょうか。
最近では独身女性の数だけリボンを用意し、1本だけブーケにつなぎ、それぞれ引っ張ってもらうという「ブーケプルズ」という演出もありますが、「いい晒し者!」「それこそ嫌がらせ!」という声もあります。
花嫁、花婿のために心を無にして独身女性は“女優”になる!
しかし、式に参列し、ブーケトス、ブーケプルズの演出があった場合、「私は嫌!」と拒否するほうが痛いと思われてしまいそうです。また、結婚式によんでくれるほど親しい人の晴れの舞台なのですから、人肌脱ぎたいと多くの女性は笑顔で参加するのではないでしょうか。ここで、誰もブーケに手をのばす人がいなかったら花嫁があまりにも可哀想すぎます。
そして、キャッチしようとするよりも、引っ張るよりも、実際にキャッチしてしまったり、引き当ててしまったりすると大変です。そのときこそ、花嫁、花婿のために心を無にして、周囲の視線など気にせぬそぶりで、「やったー!嬉しい!ありがとう!」と最高の演技を見せなくてはならないでしょう。
ちょっと考えただけでも、とても複雑。ブーケトスはなくてもなんの問題もありません。ウェディングの演出にブーケトスを検討中のカップルはぜひご一考をおすすめします。