本コラムでは、35歳以上で結婚するカップルのことを「高齢ウェディング」と呼びたいと思います。なぜなら、結婚後、妊娠・出産を迎える二人にとって、ある大きな問題が控えているからです。それは、ズバリ、子育て。日本のサラリーマン社会は、高齢出産した時に、子育ての時間や収入面で齟齬がある制度なのです。
高齢ウェディングの意外なポイント(1)高齢ウェディングの子育ては、最初が肝心
管理職が育児休暇を取得できる?
ほとんどの企業で整備されている育児休暇制度ですが、総務省の雇用均等基本調査で女性側は80%以上が取得しているのに比べ、男性側は僅か2%程度しか取得しておりません。しかも35歳以上ともなれば、課長などの管理職になっている場合が多いはずです。
日本のサラリーマン社会では、管理職になった場合、よほどのことがない限り、プライベートなことで会社を休むことはできないのが通例です。つまり、高齢であるがゆえに、十分な子育ての時間が取れないという問題を秘めているのです。
サラリーマンの賃金は、50代後半から下り坂に
35歳以上で結婚したカップルが妊娠・出産を迎えるのは、40代に入ってからとなることも多いでしょう。そうすると、子どもとの年齢差は40歳。つまり、子どもが高校・大学進学を迎える頃には、50代後半になってしまうのです。
しかし、日本のサラリーマンの賃金カーブ(縦軸に賃金の絶対額、横軸に年齢をとったグラフ)をみると、ほぼ50代前半でピークを迎えた後は、賃金の絶対額は低下していくものなのです。
この原因として考えられるのが、子会社や取引先への出向などで給与制度が大幅に変更になる人がいたり、リストラで職を失う人が出てくるからです。このような統計をみていると、会社の給与制度だけで生活設計をしていると、本当に子育てにお金が必要な時に、ムダな支出は避けるべきでしょう。
高齢ならではの解決策も
時間とお金の面では、やや不安が残る「高齢ウェディング」ですが、1つだけいいことがあります。それは、子どもの小学生時代は、周囲の家庭に比べると賃金カーブが急上昇していく年代ですから、やや裕福であるということです。その時にプチ英才教育をする余裕があるのです。
例えば、男の子であればサッカーや野球、女の子であればバレーやダンスなどが好きな子であれば、専門的な技能を教えてくれるスクールに通わせてしまうこともできるはずです。そこで優秀な成績を収めていけば、特待生として有利に進学することもできるでしょう。
また、英会話や科学実験教室、中学受験などの学習塾に通わせて、進学校や上位校を狙うようなこともできるはずです。そうすれば、中学・高校で知識・意識レベルの高い学友に囲まれた学生時代を送らせることができます。
スタート時の余裕を有効に使う
なぜ、このようなプチ英才教育がおすすめかというと、子どもの将来の道筋を早いうちから方向づけてあげることができるからです。そうすると、子どもの教育費を計画的に考えることができるようになります。
漠然と不安になるのではなく、「この子が、将来はこうなりたいと考えているからこのようにお金を使おう」という風になると、計画的な貯蓄もできるようになります。そのスタートの時には、比較的資金的な余裕があるわけですから、小学生の時に、子どもと一緒にいろいろとスクールを試してみて、一番いい道を選んで、中学・高校受験に臨むということが可能です。
「高齢ウェディング」とは、そのように余裕のあるスタートを切ることができるのです。そうすれば、成人式の頃には年金生活をしていても、子どもはちゃんと自分の道を進んでくれることでしょう。