最近、結婚生活を送っていく上での約束事を「結婚契約書」として文書に残す二人が増えているようです。夫婦の財産の管理や家事・育児の分担、中には浮気をした時の対処法など、結婚生活でおきるさまざまな問題について「契約書」として約束を取り交わしておこうというものです。

一方、結婚は、愛し合った二人の共同生活という考え方もあります。だから、いろいろな山あり、谷ありの中で年月が経つにつれ、必ず仲良くなっていくものだというものです。

法的拘束力がない「結婚契約書」

最近メディアでも「結婚契約書」というものが取り上げられるようになってきました。確かに育った環境もライフスタイルも違う二人であれば、価値観も物事の優先順位も違っていて当然です。そのような違いは、やがて衝突の原因となり、後々でしこりとなって関係悪化につながるようなことにもなりかねません。
そこで、結婚生活でのルールを二人で話し合って決めて文書化したのが「結婚契約書」です。特に考え方が激突しそうな家事の分担や子育て、お金の管理や趣味について、書かれているものが多いようです。特に、契約書の形式は決まっていません。メモ書き程度のものでもいいですし、司法書士など専門家にお願いして、本格的な契約書として作成する場合もあるようです。
但し、離婚へとつながるような内容まで「結婚契約書」で決めるのは、やや問題があるでしょう。「結婚契約書」といった夫婦間の契約は、民法でも定められているのですが、婚姻期間中であれば、いつでも夫婦の一方から取り消すことができるからです。
「契約書」といっても、他人との契約とは異なり、法的拘束力はありませんから、離婚や損害賠償となるような内容を盛り込んでも、最終的には無効となる確率が高いのです。「契約」といっても、そのようなシビアなものではなく、結婚生活を円満に送るための決めごと位に考えた方がいいでしょう。

共同生活でもルールは必要

一方で、「結婚契約書」というものでなくても、共同生活であれば、結婚生活にもルールは必要です。たとえば、家事は妻が基本的にはやるが、サポートして欲しいとお願いしたら、原則としてすぐに夫が手伝うとか、金曜日は二人で外食に出かけるなど、妻側からこうして欲しいということからルールを決めていった方がいいと思います。そのうち、夕食の片づけは夫がやる。土日の家事の1日は夫がやる。などといった男性の家事分担をきちんと決めるようにするといいでしょう。なぜ、男性の分担を決めるのかというと、男性はルールを守るのが、女性に比べると苦手だからです。

個人的におすすめなのは、「夫婦喧嘩をしても一晩たったら仲直りをする」というルールです。いいたいことをいえずにいる夫婦は、最終的に離婚する確率が高いそうです。ですから、夫婦喧嘩は、恐れずにおおいにするべき。でも、愛し合って一緒になった二人なのですから、お互いいいたいことを言い合った翌日は、笑顔で仲直りするようにルールとして決めるのです。

このように考えると、結婚生活は契約か共同生活かという議論は、二人で何十年も過ごす結婚生活を快適にストレスなく過ごすためのルールを決めるという点では、あまり大きな違いはないように思います。強いていえば、きちんと明文化して「結婚契約書」という文書にまとめるかどうかの違いではないでしょうか。