結婚する際に、必ず必要なことがあります。それは、婚姻届を役所に提出することです。その中に、二人ではできないものがあります。二人が結婚する意志があることを証明する証人が必要なのです。
なぜそのような手続きが必要なのでしょうか。それは、戸籍の届出で財産の変動を伴う重要な届出の1つだからです。財産の変動とは、具体的にいえば、遺産相続などを受ける権利を得ることができることです。
多くのサスペンスや推理小説では、裕福な家庭の老人と結婚を争う女性の戦いが描かれることがありますが、それは、配偶者になれば、老人がなくなった時に遺産相続の権利が生まれることで様々なドラマが生まれるからです。遺産目当てに争う女の戦いを、ドラマや映画の世界として見るのは面白いものですが、結婚とは、そのような財産の変動が起こる可能性があるものなのです。
また、外国人の方は日本人と結婚すると、日本国籍を取得する「帰化」の条件が緩和されます。日本国籍を習得できると、様々な日本の社会保障制度を受けることができるようになります。これも広い意味でいえば、財産の変動といえるかもしれませんね。
このような重要な戸籍の届出は、結婚を含めると4種類あります。それは、婚姻、離婚、養子縁組、養子離縁です。これらの届出には、全て証人が必要です。それは、やはり財産の変動を伴うからです。そのために当事者お互いが合意していることを証明する必要があるからなのです。「二人が合意しているからいいんじゃない?」と、思われるかもしれませんが、このような問題をもっているから、少しだけ手続きを面倒にして、ちゃんとした届出以外は受け付けないということだと思ってください。
ところで、婚姻届の証人にはだれが相応しいと思いますか?実は、ここにはきちんとした決まりがあるわけではありません。なぜなら、20歳以上で、二人が結婚することを知っている人であれば、だれもが証人になれるからです。
証人というと、何か借金の保証人のようなイメージを持たれるかもしれません。でも、あくまで、当事者である二人の意志を証明するだけで、保証人としての責任や義務が発生することはありません。スピード離婚したからといって、証人になんらかの責めが及ぶようなことはないのです。その点をきちんと二人から話して証人の人にお願いをしましょう。
証人は二人以上必要です。お互いの親や親戚、兄弟などの親族や、友人や知人、二人のなれそめを知っている人にお願いをしてみるのもいいでしょう。また、媒酌人(仲人)夫婦にお願いしてみるのもいいと思います。ご夫婦にお願いをされる場合は、それぞれ別の印鑑で押印してもらうようにしましょう。
最後に証人に頼まれたら、快く引き受けてあげましょう。証人になったからといって特別な責任や義務はないわけですから、二人を祝福する名誉なことなのです。変に尻込みしてしまうのは、むしろ失礼なことなのです。