「政府、少子化対策で新婚世帯に60万円給付 現行額から倍増し条件も緩和」というニュースが9月下旬に流れました。それに対して、ネット上では「普通に助かる」「それじゃあ結婚しよう、とはならない」「60万円一時的にもらうより安定した収入が必要」などさまざまな反響がありました。今回はこの「新婚給付金」の内容について詳しく調べてみました。
この新婚世帯への補助金は、結婚したら60万円もらえるようになる!という新しく始まる事業ではなく、実は地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)の一環として、2016年から行われている事業です。そもそも現行の条件に当てはまる人が少ないので、あまり周知されていません。現行と変更後の内容を比べてみましょう。
利用できる人の条件(現行 → 変更後)
- 対象は「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村に住み、新たに婚姻届を出した夫婦。(現行のまま)
- 婚姻日の年齢が夫婦とも、34歳以下 → 39歳以下へ
- 世帯年収が、約480万円未満 → 約540万円未満へ
- 以上のような条件に当てはまれば、新居の住居費と新居への引越費用に対して、30万円上限 → 60万円上限
(領収書の写しなどが必要です。)
つまり、申請できる人の条件が決まっている、支援金の使い道が限定されている上に自分で支払った後に自治体に請求することになっているため、結婚すれば誰でもただちに現金60万円受け取れる、という制度ではないのです。
「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村とはどこか?
1つ目の利用条件として、対象は「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村に住み、新たに婚姻届を出した夫婦、とありますが、この「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村がまだまだ少なく、対象になる夫婦が非常に少ないというのがこの「新婚生活補助金」の注意点です。
内閣府の集計では、この事業を実施しているのは281市町村(7月10日時点)です。日本全国には1700以上の市町村があり、また東京都や横浜市、川崎市、大阪市、福岡市など人口の多い都市部はすべて対象外。つまり、ごく一部の市町村在住者が対象であるといえます。 対象自治体はこちらでご確認ください。
結婚新生活支援事業について/内閣府(外部リンク)
支援金の使い道と申請方法
支援金は次のことに充てることができます。
支援金の使途
・新居の住居費
購入費や家賃、敷金・礼金、共益費、仲介手数料。家賃が何ヶ月分までか、等の細かい内容は市町村により異なる。
・新居への引越費用
引越業者や運送業者に支払った引越費用。ただし、レンタカーを借りて自分たちで引越しした場合にはレンタカー代は補助されない。
次の書類を市町村役場に提出し申請し、記入した補助金の振込先に該当の費用が振り込まれるという流れになります。申請方法は市町村によって異なります。各市町村のHPなどをご確認ください。
申請に必要な書類
市町村へ住宅の売買契約書および領収書の写し(住宅購入の場合)
住宅の賃貸借契約書および賃料等の領収書の写し(住宅賃借の場合)
引越しに係る領収書の写し(引越費用の場合)
参考
令和2年度鴻巣市結婚新生活支援補助金/埼玉県鴻巣市(外部リンク)
まずは住居費や引っ越し費用を支払った上で、領収書を添えて申請するしくみなので、まずは自分でお金を払わなければなりませんし、対象自治体がまだ少ないので利用できる人は限られるでしょう。しかし今後は結婚新生活支援事業を実施する自治体は増えていきますし、妻・夫ともに39歳以下で、収入の合算が540万円以下で対象自治体に住民登録があれば忘れずに申請するようにしましょう。以前この補助を受けたことがなければ再婚でも申請可能です。