結婚祝いは結婚式の有無や出欠に関わらず、ご祝儀や結婚祝いの品を準備しましょう。披露宴に出席する場合は結婚祝いのお金(ご祝儀)のみ贈ることが多いですが、ご祝儀に加えて結婚祝いのプレゼントをしたいという場合もあるでしょうし、披露宴はするそうだが招待されていない場合のお祝い、招待されたが出席できない場合、さらには披露宴をしないカップルへのお祝い、など結婚祝いのプレゼントを贈るにもいろいろな状況があります。このようなケースではいつ、どんなものを贈ればいいのでしょうか。今回は品物をプレゼントするタイミングや予算、喜ばれる贈り物のヒントや、贈ってはいけないものなど贈り物のマナーをご紹介します。
結婚祝いの贈り方 ―状況別、いつ、何を贈るかの手ほどき
結婚祝いのプレゼントはどんな場合に贈るのか?
結婚祝いはご祝儀のみ、品物のみ、ご祝儀+品物のいずれの場合でもかまいませんが、披露宴に出席する場合は当日ご祝儀を受付で渡すのが一般的です。その他に、披露宴に出席する場合にもご祝儀に加えて品物を贈る人もいます。
入籍のみで披露宴をしないカップルや結婚式・披露宴に招待されていない場合、または招待されたが欠席する場合も同様で、ご祝儀のみ、品物のみ、ご祝儀+品物、というケースが考えられます。結婚祝いの予算は、自分の年齢や立場、相手との関係性、披露宴の有無などによって金額が変わってきますが、ご祝儀と品物の両方を送る場合は合算して相場と同等になるように組むといいでしょう。
贈り方の例
- 1) 1万円程度の品物
- 2) ご祝儀1万円+2~3千円のお菓子や日用品
- 3) ご祝儀3万円+2万円程度の品物
- 4) 同僚や仲間同士、複数人で2000円~5000円ずつ出し合って合計したご祝儀
- 5) 同僚や仲間同士、複数人で2000円~5000円ずつ出し合って合計した金額の品物
- など
状況によって異なる「贈るタイミング」
結婚祝いの品物は、結納以降、結婚式の10日前まで間の大安や先勝など吉日の午前中に、風呂敷に包んで先方の自宅に持参して手渡しするのが正式なマナーです。挨拶の際に自分の右側に置いておき、挨拶が済んだら包みをほどき品物の正面を相手に向けて滑らせるように静かに押して差し出します。風呂敷は畳んで下座に置きます。
お店の紙袋に入れたまま渡すのは失礼になるので、紙袋は持参する時に持参する時にだけ使って、手渡すときに袋から取り出して品物の正面を相手に向けて差し出します。
結婚祝いの品物を宅配便や郵送で届ける際の届け先(送り先)は、披露宴に招待された場合、正式には「披露宴の主催者」になり、招待状の差出人が新郎新婦なら新郎または新婦の自宅、両家の親なら実家宛に送ります。ただし、最近は一人暮らしの自宅や二人の新居に送ってほしいという場合が多いでしょう。結婚祝いのプレゼントのリクエストとともに結婚祝いの送り先を本人に確認しておきましょう。
披露宴に出席、ご祝儀に加えて品物を贈る場合
ご祝儀は当日持参し受付で渡します。品物は結婚式の1、2ヵ月前~1週間前を目安に持参するか、手元に届くように送ります。
披露宴に招待されたが欠席する場合
結婚式の1、2ヵ月前~1週間前を目安に持参するか、手元に届くように送ります。
披露宴を予定しているが招待を受けていない場合
事前に結婚祝いを贈ると「招待しなくて申し訳ない」という気持ちを新郎新婦に持たせてしまうので、結婚式後2週間~1か月後が目安。
結婚式をしない場合
「入籍しました」「結婚しました」と既に結婚した報告を聞いた場合は、なるべく早く贈るようにしましょう。 「入籍予定」「結婚予定」と先の予定を聞いた場合は、その予定日の1、2ヵ月前~1週間前を目安に。
結婚祝いの品物にかけるのし紙と表書き
品物にはのし紙(奉書紙にのしと水引を印刷したもの=のしのあるかけ紙)をかけます。のし紙は、紅白または金銀10本結び切りの水引が印刷されたもので、裏で重なる場合の合わせ方は慶事なので左側が内側になります。表書きは「寿」や「御結婚御祝」とします。ただし、結婚を知るのが遅かった、結婚祝いを贈るのが遅れてしまい結婚式後時間が経ってしまった場合には表書きは「御祝」になります。
のし
のし紙の合わせ方
左の「慶事掛け」の合わせ方で掛けます(右側が上に来る)。
渡すのが遅れてしまったらこちら
上部が「寿」や「御結婚御祝」ではなく「御祝」となります。
風呂敷の包み方
結婚祝いの品物は、慶事に相応しい赤系や慶弔両方に使える紫系の風呂敷で「平包み」にします。
- 結婚祝いの品物を風呂敷の対角線上、中央におきます。
- 手前の角を風呂敷の上部にかぶせ、余った部分は箱の下へ折り込みます。
- 左側、右側の順に中央にかぶせ、余った部分は箱の下に折り込みます。
- 最後に向こう側の角をかぶせます。
どんなものを贈るか?
贈るものがすでに持っているものとかぶるのは避けたいですね。新郎新婦に結婚祝いの品物は何がよいか希望を聞きましょう。「結婚祝いの希望考えておいてね。」「結婚祝いは何がいい?」とストレートに聞くか、自分で使ってみて便利だったものやほかの人にいただいて重宝したものや嬉しかったものを「○○はどうでしょうか?」「○○か△△はどうかな?」と選択肢を挙げて聞いてみても○。
自分たちでは買いにくい少し高級な日常生活で使うモノ、新しい生活に必要なものでまだ持っていないもの、重複しても無駄にならないもの、ペアのもの、具体的にはタオル、ペアカップ、夫婦箸や夫婦椀、鍋、調理家電(コーヒーメーカー、ホームベーカリー、フードプロセッサー)、家電(空気清浄機、自動掃除機、布団クリーナー)などが人気です。また、生もの、置く場所に困るもの、趣味に合わないものはせっかくいただいても困ってしまうので避けましょう。
結婚祝いのタブー、贈ってはいけないとされているもの
本来は「割れる」「切れる」を連想させるもの、例えば包丁、はさみ、鏡、ナイフ、グラスなどは贈らない、とされています。しかし、機能性の高いおしゃれな包丁セットやフードプロセッサー、ミキサーなどもあるので相手の希望があれば○。また結婚祝いには「1」「3」「5」「7」といった奇数を用いるのが一般的で、「2」「4」「6」の「割り切れる偶数」と「9」は「苦」を連想する縁起の悪い数として避けるよういわれています。しかし、カップや椀などは2つで1ペアとして、「12」は1ダースとして計算するのでよく贈られています。また、ハンカチは別れの際に贈るものなのでNG、日本茶は香典返しによく用いられるものなので失礼になる、などの説があります。
結婚祝いの送り状・メッセージ例文
結婚祝いの品物を自宅に持参するのではなく送る場合には必ず挨拶状やカードにお祝いのメッセージを書いて添えましょう。直接渡す場合には添え状は必須ではありませんが、一言メッセージでもいいのでカードを添えるといいでしょう。
目上の方には基本の構成に添ってフォーマルな手紙を、親しい間柄ならカードにおめでとう!の気持ちを込めて、「ささやかですが結婚のお祝いとして○○を贈ります。」「本日、心ばかりのお祝いの品をお送りしました。お気に召していただけましたら幸いです。」など書き添えましょう。
目上の人宛のフォーマルな文例
拝啓
暑さ寒さも彼岸までと申しますが、今年はことのほか春の訪れが早いようです。
さて、この度は◯◯さんがご結婚されるとの吉報に、心からお祝い申し上げます。
披露宴にお招きいただき、お二人の晴れ姿を是非とも拝見したく存じますが、やむを得ぬ事情により出席が叶わず、誠に申し訳ございません。
お二人の幾久しい幸福を祈念し、ささやかですがお祝いの品をお贈りいたしました。
ご笑納いただけますと幸いに存じます。
新しい家庭を築かれるお二人をはじめ、皆様の末永いご多幸と繁栄を祈念いたします。
略儀ながら、まずは書面にてお祝い申し上げます。
敬具
平成○年○月○日
同年代宛のカジュアルなメッセージ
○○さん
ご結婚おめでとうございます。
ささやかですが、結婚のお祝いとして△△の同期一同より□□を贈ります。
気に入ってくれたらうれしいです。
お二人の更なるご活躍をお祈り申し上げます。
末永くお幸せに!
冨田いずみ『心から喜んでもらえる贈り物のマナー』高橋書店 2016年