結婚式には主に、キリスト教式(教会、チャペル式)、神前式、人前式と仏前式の4つの結婚式があります。日本では仏前結婚式は珍しいので参列したことがある人はあまりいないかもしれません。仏前結婚式とはどんな式なのか、衣裳や参列者の服装、披露宴はどうするのか、費用(お布施)や仏前結婚式の魅力についてご紹介します。
1. 仏前結婚式を行える場所、式場
「仏前結婚式」とは、「多くの人の中から二人が出会って夫婦になることは、深い因縁によるものである」という仏教の教えに基づき、新郎新婦が仏や先祖に感謝する結婚式です。お寺や結婚式場で僧侶が司婚者をつとめます。まず初めにお互いの家の宗派を確認し、宗派がちがう場合は新郎新婦どちらかの宗派にしましょう。どちらかの菩提寺なら問題ありませんが、結婚式の条件が宗派によって違うのでしっかり確認しておきましょう。
「仏前結婚式」を選ぶ方はやはり寺院関係者が多く、宗派により挙式ができるところが限られています。しかし一般の人でも菩提寺や、「8.仏前結婚式ができるお寺」のような世界遺産のお寺や観光地として有名なお寺でも結婚式に対応しています。また挙式や披露宴会場、控室などの設備がしっかり整えられているお寺もあります。ただし、挙式の参列者は教会式などよりも収容人数が少なく、基本的に親族のみというところが多いので、友人や知人にも出席してもらいたい場合は何人まで参列できるのか確認した上で会場選びをしましょう。
2. 仏前結婚式の流れ、式次第
仏前式の結婚式は、宗派によって細かな違いはありますが、おおよそ下記のような流れで進みます。所要時間は20分が目安です。
1. 入堂(にゅうどう)
両親、親族の順にお堂に入る。 着席後、新郎新婦、媒酌人、僧侶が入堂。
2. 啓百文(けいびゃくもん)朗読
僧侶が焼香し、啓百文(仏と先祖に二人の挙式を報告するための経文)を読み上げ、結婚報告と加護を祈願します。
3. 念珠の授与(ねんじゅのじゅよ)
仏前の念珠(数珠)を僧侶が新郎新婦に与えます。
4. 司婚の辞(しこんのじ)
僧侶の求めで、新郎新婦が夫婦としての契りを交わす誓いを立てます。 ※指輪の交換をする場合は3か4の途中に行います。
5. 焼香(しょうこう)
新郎、新婦の順で焼香し、二人の行く末を仏様が守ってくださるようにお願いします。
6. 誓杯(せいはい)
僧侶が注いでくれるお酒を、新婦、新郎、最後にまた新婦の順に三口で飲み干します。神式の三々九度と所作は同じです。
7. 親族固めの杯(しんぞくかためのさかづき)
新郎新婦の誓杯に続いて、親族も同様に誓杯を行い、新郎新婦両家が親族になったことを誓います。
8. 法話(ほうわ)
僧侶からお祝いの説話。全員で合掌礼拝。
9. 退堂
僧侶、新郎新婦、媒酌人、両親、親族の順に退堂します。
3. 仏前結婚式の新郎新婦の衣裳
仏前式の衣裳は、基本的には神前式と同じです。寺院やお堂で挙式する場合は原則として「和装」(白無垢、色打ち掛け、本振袖など)ですが、黒引き振袖+角隠しを選ぶ新婦もいます。新郎は、新婦が和装なら黒五つ紋付き羽織袴(正礼装)を着用します。結婚式に対応しているお寺の多くで洋装(ウェディングドレス、タキシード)も可能ですが、洋装を希望する場合は衣裳を選ぶ前に、挙式を予定しているお寺に確認しておきましょう。
結婚式を行っているお寺では、ウェディングプロデュース会社を通じて衣裳をレンタルし、着付けやヘアメイクも頼むこともできます。お寺によっては、自分で衣裳や着付けの手配を行って身支度をすべてした後にお寺に移動しなければならないケースもあります。衣裳は何を着るのか?だけではなく、衣裳レンタル、着付けやヘアメイク、控室の有無などトータルで検討してみましょう。
4. 仏前結婚式の費用
仏前結婚式の挙式料は、個人でお願いした場合は10~30万円程度が相場です。初めに挙式料や含まれているものをはっきりと聞いておきましょう。「念珠の授与」で新郎新婦に授けられる「数珠」はほとんどの場合挙式費用に含まれています。しかし衣裳、着付け代、お寺までの交通費などは含まれていないので、別途自分で手配する必要があります。新郎新婦の衣裳レンタル、着付け、ヘアメイク費用合計は別途20万円~40万円程度というのが相場です。
結婚式のプロデュース会社を通してお寺で結婚式をする場合は、挙式、衣裳、着付けで18万円程度~、さらに写真がセットになったプランだと30万円程度~各種あり、プランナーが手配を代行してくれます。
5. 仏前結婚式の招待客の服装・ご祝儀・マナー
仏前結婚式に招待客として参列する場合のマナーについて解説します。
服装
仏前結婚式に参列する服装は、親、親族、友人のどの立場でも一般的な結婚式の服装と同じで大丈夫です。新郎新婦の親も教会式や神前式と同じように父親はモーニングコート、母親は黒留袖になります。
挙式は本堂で行われることも多く、中には椅子式のところもありますが、正座する場合も多いのでその点を考慮した服装を選ぶと慌てなくて済みます。スカートやワンピースの丈は膝が丸見えにならない程度の丈にするといいでしょう。
数珠
招待状に数珠を持参するように書かれていたら、色や宗派などは特に気にせず、持っているもので構いませんので数珠を持っていきましょう。もし書かれていなくても、仏前結婚式であれば持参しましょう。なければわざわざ購入して持っていく必要はありません。静かな気持ちで手を合わせましょう。
数珠は座っているときは左手首にかけ、歩くときはふさを下にして左手で持ちます。僧侶が読経しているときや合掌する場面では、ふさを真下に垂らし、親指と他の4本の指にかけて親指で軽く押さえ、両手をぴったり合わせます。席を立つときは椅子や畳の上に置かず、バッグやポケットの中にしまいます。
ご祝儀
ご祝儀の金額、のし袋、表書きなどすべて一般的な結婚式と同じになります。ご祝儀は、正式には結婚式当日より前の吉日(大安や先勝)に相手の自宅に行って直接渡しますが、今は結婚式当日にご祝儀を渡すのが一般的です。親族で事前に手渡しできるようであればその方がいいでしょう。結婚式当日にご祝儀を渡す場合、ご祝儀を渡すタイミングは教会式や神前式の結婚式と同様、挙式後に移動した披露宴会場の受付で渡すことになります。
6. 仏前結婚式、披露宴はどこで開く?
お寺で結婚式を挙げた後は、会食をしたり披露宴を行うのが一般的です。下記のようなケースがあります。
お寺で会食
挙式後に寺院内の中の部屋や会場で会食をします。
ホテルの披露宴会場
ホテルで披露宴を行う場合は衣裳やヘアメイクをホテルで行うことができます。ホテルで外出可能な衣裳をレンタルして着付け&ヘアメイクをしてもらう→お寺へ移動して挙式→披露宴会場へ戻り披露宴、という流れが最も一般的です。
料亭やレストランなど
結婚式を行っているお寺は、近くの料亭やレストランと提携していることも多いので、そのような場合には挙式後に移動して食事会や披露宴を開きます。
7. 仏前結婚式のメリット・デメリット
お寺での結婚式を選んだ人は大きく分けて、僧侶あるいは親族が寺院関係者、どちらかの家が菩提寺との関係が深い、世界遺産などになっているお寺で二人が気に入っていた、という3つのケースがあります。
メリット
もともとよく知っている僧侶や関係の深いお寺で式を挙げてもらった人は、「ふだんから付き合いのあるお寺の住職が式を行ってくれたので、人柄もよく知っていて信頼できた。」「子どもが生まれた後などの行事などの時家族でお世話になりお付き合いを続けていくことができる。」などといった理由から仏前結婚式を挙げてよかったといいます。また世界遺産や観光地として有名なお寺で結婚式をした人は「お寺の建物や周りの雰囲気が好きだったので。」「誰もが知っている地元のランドマークで式を挙げたかった。」という理由を挙げています。参列したゲストの中には「今まで300回結婚式に出たが、仏前結婚式は1回だけだったのでとても印象深い。」「厳かな雰囲気でよかった。」と貴重な経験ができてよかったという声があります。
デメリット
デメリットとしては、「アクセスが悪く出席を断念する人がいた。」「一般の結婚式場のようにトイレや化粧室、控室などの施設が整っていないのでゲストが不便を感じた。」「菩提寺で挙式したのでその後のお付き合いが大変。」といった点を挙げています。
8. 仏前結婚式ができるお寺
檀家ではない一般向けの結婚式に対応している寺院の一例です。お寺で直接結婚式に対応しているところと、ウェディングプロデュース会社を通して対応しているところがあります。
仏前結婚式をプロデュースしている会社
京都和婚
京都結婚日和
日本の結婚式
浄土真宗
真宗大谷派東本願寺 真宗会館(東京)
築地本願寺(東京)
住所:〒104-8435 東京都中央区築地3-15-1
問い合わせ:03-3544-0551(伝道会館 受付時間9時〜19時)
西本願寺(京都)
大谷本廟
住所:〒605-0846 京都市東山区五条橋東6丁目514
問い合わせ:075-531-4171(代)
浄土宗
増上寺(東京)
住所:〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-35
問い合わせ:03-3432-1430(法務部法要課 9時~17時)
浄土宗総本山知恩院
天台宗
比叡山延暦寺(滋賀)
住所:〒520-0116 滋賀県大津市坂本本町4220
京都結婚日和 http://kekkonbiyori.jp/jiin/si_enryakuji.php(外部リンク) より。
天台宗青蓮院門跡(京都)
真言宗
明王院(鎌倉)
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