1996年4月15日から6月24日までフジテレビ系の「月9」枠で放送された「ロングバケーション(ロンバケ)」(Long Vacation)は、木村拓哉と山口智子主演で平均視聴率29.6%、「月曜日はOLが街から消える」と週刊誌などでいわれ、「ロンバケ現象」といわれる社会現象を巻き起こした作品です。そんなロンバケから、恋愛に効く金言を拾ってみました。
木村拓哉主演90年代の大ヒットドラマ「ロングバケーション」が教科書 あなたを元気にする恋愛栄養学―ロンバケに学ぶ恋愛栄養学(1)
「何をやってもダメな時ってあるじゃん。うまくいかない時。そんな時はさ、神様がくれた休暇だと思って無理して走らない。焦らない。頑張らない」
このドラマは、冴えないピアニストの瀬名 秀俊(せなひでとし)と、結婚式当日に婚約者が失踪してしまった落ち目のモデルの葉山 南(はやまみなみ)が同居することから始まります。婚約破棄で落ち込む南に瀬名が、人生がうまくいかない時があるといって励まします。
瀬名「何をやってもダメな時ってあるじゃん。うまくいかない時。そんな時はさ、神様がくれた休暇だと思って無理して走らない。焦らない。頑張らない」
このセリフの「神様がくれた休暇=ロングバケーション」が、このドラマのタイトルです。瀬名と南はトラブルだらけの同居生活を送ります。自分のピアニストとしての才能には自信が持てない瀬名は、大学の後輩である奥沢涼子との恋も進展しません。二人ともロングバケーションの状態の中で、次第にお互いがかけがえのない存在になっていくというラブストーリーです。
無理して走らない。焦らない。頑張らない。なんとなく意識低い系のフレーズのようですが、自然に身をゆだねて、よくなる時期を待つというのは、相手がある恋愛にとっては大切なことです。相手が一目ぼれをしてしまうような魅力的な異性との出会いや家族など周囲の状況の変化など、自分ではどうしようもない、何をやってもダメな時が、恋愛にはつきものです。そのような時には、何かに没頭するのもいいかもしれません。ドラマの中では、南はマニキュアやペディキュアを塗る。瀬名は、CDを整理するなど、心の余裕を取り戻すために何をやるか決めているようです。これって、意外と大切なことかもしれません。
「もう監督として、ベンチからサインを送るしか役目は残っていないの」
瀬名は奥沢涼子と恋愛しているために、瀬名と南の同居生活は、キスすらもしない健全そのものです。でも南の方は、瀬名に対して、僅かな恋心を抱いていたのでしょう。南のモデルの後輩の桃子との会話の中で、男と女が一緒にいてなにもないのはおかしいと詰問され、30歳の自分には魅力がないのかなと、自信を失っている時に、思わずいってしまいます。
南「もう恋愛の現役はとっくに過ぎたの?」
桃子「・・・・どういうことですか」
南「もう監督として、ベンチからサインを送るしか役目は残っていないの?」
瀬名と涼子の恋愛がうまくいくように、監督としてプレーヤーにいろいろとサインを送っていた南ですが、どうも心の方は、瀬名に惹かれていたようです。ですから、思わず現役と監督という言葉が出てしまったのでしょう。でも、男と女であれば、監督という立場はつらいものです。なぜなら、選手と監督は相思相愛の信頼関係がなくてはうまくいきません。このように立場を考える事自体、南は瀬名に惹かれていたのです。
男同士、女同士の会話の中で、このような言葉を思わず吐いてしまった時は、ちょっと立ち止まって、話題となっている相手のことを考えてみましょう。そうすると、意外と心に秘めた相手が誰なのかわかるものなのかもしれません。そのように自問自答してみることも時には大切なことだと思います。