テレビ朝日系列で放送され、高い視聴率を獲得した木村拓哉主演 上戸彩出演のドラマ「アイムホーム」。このドラマから金言を拾い、あらためて「家族とは何か」を考えてみるシリーズの第2回です。第1回は「家族と向き合う大切さを考えさせてくれる『アイムホーム』」、第2回は「カップルや家族に、仮面は必要?」でした。(第1回はこちら)(第2回はこちら)
お互いが心を開いた時、仮面はなくなる―木村拓哉アイムホームにみる家族の理想の姿(3)
「仮面にみえたっていい。これからは、恵が心から笑ってくれるまで一緒にいたいんです。」
このドラマは、主人公である家路久(いえじひさし)が、帰宅途中で爆発事故に遭遇に、そのケガで直近5年間の記憶を全て失ってしまうことから始まります。事故後、妻の恵(めぐみ)と息子の良雄(よしお)の顔が仮面にみえることを久は恵に告白します。記憶が戻ってきた久は、事故直前に恵から送られた離婚届に驚き、離婚したくないことを恵に猛烈にアピールします。そのために急いで自宅に帰る途中で事故にあったことを思い出したのです。
最終回、久の自宅は火事になります。その中で、久は火の海になっている自宅に飛び込んで、恵と良雄を救出します。そして久と恵は、煙を吸い込んだことで入院します。久が病院のベッドで目を覚ました時に、これからは恵と良雄とともに一緒にいたいと心から思うようになります。久がこのように考えるきっかけとなったのは、久が前の爆発事故で集中治療を受けた後にリハビリをする際に、拘縮して麻痺した筋肉を動かすために手足の関節を伸ばすように揉みほぐすことを、恵が一生懸命腱鞘炎になりながらやっていた姿をビデオでみたからです。久自身は家族でさえも信用しなかったのに、恵が献身的に自分の回復を信じてやっている姿をみて、恵の愛を感じたのです。
久は、傷ついた体を気にすることなく、恵の元へと向かいます。そして恵のケガが軽いことを確認し、お互いの顔をみつめます。お互いのこころを開いて、ただ単に無事であったことを喜びあう。そうすると、ようやく仮面がなくなって、恵の顔が見えるようになります。久は、恵とようやく、心から結ばれたカップルとなり、良雄と家族になるのです。
原作では、久の帰る場所が家族の二人に
原作のラストシーンでは、焼けてしまった自宅に久が訪れ、そこで、ヨシコ(恵)とヨシオ(良雄)に対面します。「目が覚めたら帰りたい」と久がいうと、ヨシコは「家がなくなってしまった」といいます。久は「君たちに帰りたかった」といい、ヨシコとヨシオが「おかえりなさい」といって家族が1つになります。
この後の続編がありそうなラストシーンになっていて、それは読者一人ひとりが独自に考えてくださいという作者のメッセージのような印象を受けました。私なら、その後は、仮面がなくなった幸せな家族の姿を想像しました。それが、原作にはないラストシーンとしてドラマの中で描かれているように思います。
カップル、家族だけではない「アイムホーム」
ドラマ「アイムホーム」は、夫婦愛、家族愛だけではなく、仕事と家庭の関係や友人や知人との関係、不倫問題、個人の資産形成の損失補てん、さらに企業の不正問題に対してどのように対処すべきかといった様々な課題について、10回の放送の中で各々テーマとして取り上げています。特に、キムタクドラマの十八番ともいえる会社の不正に立ち向かう久(木村拓哉)は、単にカッコイイというだけではなく、その後に久が所属していた窓際営業部の同僚たちが、久の無罪を証明するために団結して奮闘します。このシーンは企業人として見習うべきものだと思います。
木村拓哉、上戸彩で話題となったドラマでしたが、今でもインターネットでみることができますので、ぜひご覧になっていない方は、みてみることをおすすめします。また原作の石坂啓氏のマンガも、ドラマとは違うストーリーで楽しむことができますのでオススメです。
よくドラマと原作のマンガのどちらがいいという議論がありますが、あくまで別モノですから各々のストーリーを楽しみ、その中から学ぶものを吸収しましょう。