テレビ朝日系列で放送され、高い視聴率を獲得した木村拓哉主演 上戸彩出演のドラマ「アイムホーム」。このドラマから金言を拾い、あらためて「家族とは何か」を考えてみるシリーズの第2回です。第1回は「家族と向き合う大切さを考えさせてくれる『アイムホーム』」でした。(第1回はこちら)
カップルや家族に、仮面は必要?―木村拓哉アイムホームにみる家族の理想の姿(2)
「仮面なんてさ、みんなかぶっているんじゃない。でもそれ全部取る必要ないんじゃない。」
このドラマは、主人公である家路久(いえじひさし)が、帰宅途中で爆発事故に遭遇に、そのケガで直近5年間の記憶を全て失ってしまうことから始まります。事故後、妻の恵(めぐみ)と息子の良雄(よしお)の顔が仮面にみえることに悩む久は、その後、愛人や前妻の野沢香(のざわかおり)や香の娘、すばるやその周囲の家族との様々な出来事を経験して、徐々に記憶を取り戻していきます。
そのような中で、久はガンの治療をしている香の病室で、恵と良雄の顔が仮面にしかみえないことを告白します。その時に、香は久に、ちゃんと面と向かって恵と話すように励まします。
「仮面なんてさ、みんなかぶっているんじゃない。でもそれ全部取る必要ないんじゃない。」
久はこの一言で随分救われました。仮面に見えてしまうことに対して罪悪感があったからでしょう。でも、香の言葉は、仮面はみんなかぶっているのだし、取る必要もない。自然と相手との距離が縮まっていけば、仮面は取れるものだから無理をして全部取る必要はないというように聞こえたからです。
仮面をかぶるのは、自分が傷つきたくないから
久がこのように、夫婦であっても仮面をかぶるようになったのは、酒屋を経営していた父が蒸発してしまった時に、お金がなくなってきたら、親戚の態度がいきなり豹変したという体験があったからでした。そして誰も信用しなくなったのです。
このようなことは、程度の違いはあってもどなたもみんな経験しているのではないでしょうか。特に様々な人との出会いや一緒に仕事をするリーダーやマネジメント層であれば、なおさら信頼していた人からの裏切りなどに遭遇している可能性は高いといえるでしょう。
そのような人達からすれば、素顔は簡単には見せないものです。久の場合はそれが極端だったということなのでしょうか。自分以外の人間を全て信用していなかったようです。だから仮面をかぶるしかなかったし、相手のことを深く知ろうともしなかったのかもしれません。
このように仮面をかぶる人は、そのように振る舞うことで、自分が傷つくことを恐れているからです。素顔を見せると、なにか弱みを見せる事になるのではないか?何か勘違いされるのではないか?そして何よりも、相手を信用してしまうことで、結果として傷つくような事態になってしまいます。そのようなことを恐れて、仮面をかぶってしまうのです。
仮面を無理に取る必要はない?でも、カップルや家族なら別かも
香がいった「全部とる必要はない」というのは、相手はもちろん、自分も多少かぶっている仮面を無理やりとる必要はないでしょうというアドバイスです。確かにそのようにゆったりと人間関係を構築していくことも大切です。カップルや家族でも、そのようにしてゆったりと人間関係を築いていくことになりますが、いつも一緒にいて人生を共に生きるようになると、徐々にその仮面はなくなってきて、お互いに本来の姿をみつめられるようになるものです。
その答えを、このドラマでは最終回で明らかにしています。