結婚式は国や地域によってさまざまな習慣があり、衣装や食事にもその場所の特色がよくあらわれています。
10月。日本でも各所でオクトーバー・フェストが行われていますね。オクトーバー・フェストはドイツ・ミュンヘンのお祭りですが、もともとはルートヴィヒ皇太子とザクセン皇女の結婚式を市民が祝ったことが始まり。現在でもお祭りの初日には、王家の結婚式を模したパレードがミュンヘン市内で行われるそうです。今回はドイツの結婚式についてご紹介します。
陶器を割って大騒ぎ!ビールを飲んでまた大騒ぎ!世界各国の結婚式~ドイツ編~
「ポルターアーベント」(Polterabend)
結婚式の前の晩に親しい友人や近所の人を招待し、家の前で陶器などを割ってみんなで大騒ぎし、それを新郎新婦が片づけるという昔からの習慣。陶器を割るのは一種の魔除けで、できるだけ大きな音を立て、悪魔を祓い、結婚を祝福するという意味があります。ただし、この時に陶器ではなくグラスを割ってしまうと不幸になると言われています。
割る陶器は古いものを持ち寄ったり、足りなければポルターアーベント用の陶器も販売されています。みんなでお皿を投げたり、落としたり割ったり・・・田舎の方だとトラックの荷台の上から洗面台を落としたり、トラクターがトイレの便器を轢いたり…そんなダイナミックな風景を見られることもあるそうです。割られた陶器の破片を笑顔で新郎新婦がシャベルやホウキを使って一生懸命集めます。
結婚式
結婚することを決めたら、まず新郎か新婦のどちらか一方が居住する役所に必要な書類を提出します。希望の挙式日の6カ月前から受けつけます。手続きが無事に済んだら、役所から連絡があるので結婚=婚姻届に署名する日取りを決めます。ドイツでは、結婚するときには一日だけ特別有給が取れることになっていて、金曜日に行われるのが一般的。
結婚式当日、二人は正装して役所に行きます。必ずしも必要なわけではありませんが、新郎新婦双方から一名ずつ証人が立ち会います。特別にしつらえた役所の一室で行われる20分程度の儀式なので、ごく近い親族や友人を招くケースが多いようです。担当の係官の前で「この二人が婚姻関係を結ぶ」という内容が書かれた書面「婚姻証明書」に署名します。その後指輪の交換や新郎新婦のキスなどを行います。
ドイツの教会で結婚をする場合には、二人のうち少なくともどちらか一方がキリスト教徒でなければなりません。牧師または神父が結婚を控えた二人に対し、教会における結婚の意味、教会での結婚式の目的、式当日の進行スケジュールについて、結婚式の何週間も前から講義や説明をします。
披露パーティー
レストランを貸し切っての食事会が多く、少人数でゆっくり食事をするカップルもいれば、たくさんのゲストとともに飲んで歌ってダンスをして・・・新郎新婦が解放されるのは明け方、というパーティーも。
結婚パーティーでよく行われる、二人が力を合わせて困難を乗り越えられるようにという願いを込めた習慣があります。夫婦が一緒に二人引きの鋸を持ち、協力して木の幹を切るゲーム。もう一つはハート型にくりぬいたシーツの中を新郎が、新婦をお姫様抱っこしながら通る、あるいは二人で協力してブランケットに描かれたハート形をハサミで切り抜くという演出です。
ご祝儀として現金を贈ることはなく、新郎新婦が希望のプレゼントリストを作成し、どのゲストからもらいたいかを決めて招待状に同封します。また、デパートや専門店で「プレゼント・テーブル(Geschenktisch)」を設置して欲しいものを並べて、ゲストはその店に行って結婚する二人の名前が書かれたテーブルからどれかを選んで贈るという方法もあります。
結婚式の前日には割られた陶器を拾い集め、数時間続くという披露パーティーでは踊りながらビールを延々と飲み、木の幹を切るゲームまで。なかなかハードで体力勝負なドイツの結婚式でした。