所変わればお祝いのしかたもいろいろ。衣装、食べ物、引き出物…日本各地の結婚式を紹介します。北陸新幹線が開通して半年。金沢には昨年と比べて2倍以上の人が訪れ、宿泊先が足りないほどの人気だそうです。今回は北陸地方の結婚式をご紹介します。
花嫁のれん、五色生菓子、獅子舞・・・煌びやかな伝統息づく北陸各地の結婚式
石川県
挙式の日、新婦が新郎の家の仏壇に、「今日この家に嫁いできました」という報告をする「仏壇参り」。新婦は「色打掛」を着て新郎の家に行き、新婦が新郎の家に入ったところで、実家の水と婚家の水を合わせた盃の水を飲みます。その盃を打ちつけて割る儀式を「合わせ水」といいます。「合わせ水」の後、「花嫁のれん」(後述)をくぐり、仏壇と神棚にお参りした後結婚式場へ向かいます。最近では、仏壇参りを当日の朝にする人はほとんどいませんが、結婚式の翌日や数日後に行うことがあります。
「花嫁のれん」は、最近では今年1月~3月に放送していたドラマのタイトルとして知られるようになりました。また、平成27年10月からJR西日本七尾線(金沢~和倉温泉駅間)に導入される豪華観光列車の名前になりました。もともとは石川県を中心とした旧・加賀藩(加賀・能登・越中)の伝統文化で、「結婚式の朝に嫁ぎ先の仏壇にお参りする時に入り口に暖簾をかけてくぐる風習」のことです。こののれんは、新婦の親が大切に育てた娘の幸せを願って嫁ぐ娘に持たせました。加賀友禅で染められていて鶴亀、鳳凰、御所車、鴛(おしどり)など色鮮やかに絵柄が描かれています。最近では、披露宴の入場の際に新郎新婦が、お色直しの退場の際に新婦と母親がくぐる演出に使われることがあります。
そして金沢特有の引き出物として、江戸時代から伝わる祝い菓子「五色生菓子」(ごしきなまがし)があります。五色それぞれに日、月、海、山、里を表した生菓子です。今でも引き出物として頻繁に用いられています。
加賀友禅で染められた花嫁のれんや、五色の生菓子、引き出物や披露宴のお料理に輪島塗の器や金箔を使うなど、目にも鮮やかな美しい伝統文化が結婚式の中に息づいています。
福井県
実は福井県嶺北地方(福井市や鯖江市を含む県の北半分)はかつて、名古屋と並ぶ派手な結婚式で有名でした。豪華な花嫁道具が透明の窓から見える「寿トラック」は、今では普通の荷物を積んで走っていることも多いものの、たまに見られるそうです。
「まんじゅうまき」は、結婚式の最後にまんじゅうやお菓子などを新郎の家の2階の窓から盛大にまくという風習です。もともとまんじゅうは「万寿」とも書かれ、お祝い事にふさわしい和菓子とされています。この行事を行う家は少なくなりましたが、ある結婚式場では2階テラスからまんじゅうをまいたり、披露宴後のお見送りの際に新婦がまんじゅうをゲスト1人ずつに渡す演出もあります。
富山県
富山県の結婚式で有名なものと言えば、引き出物の「かまぼこ」です。鯛や宝船、富士山、日の出鶴、亀など、縁起物をかたどって細工されています。持ち帰ったかまぼこは「幸せをおすそわけする」という意味で、親戚、友人・知人、ご近所へ配ります。富山県(とりわけ高岡市周辺)では「獅子舞」が盛んで、春と秋の祭りシーズンには連日のように獅子舞が行われています。そのため、披露宴の演出としての獅子舞もゲストの老若男女にとても人気があります。
新潟県
「北陸四県」の中でもっとも「北陸」のイメージの薄い新潟県。新潟県は北陸なのか?東北なのか?新潟県庁によると「公式な区分はなく」、分類の方法によって北陸地方になったり東北地方になったりするそうです。
新潟県の引き出物は5品目。「松の葉」「赤飯」「引き菓子」「籠盛り」「記念品」です。 「松の葉」は、「名刺代わり」という意味がありタオルや風呂敷などのちょっとした贈り物のことです。新潟の習慣では、新郎・新婦の名前で贈ります。最近は席札の代わりにゲストの名前入りラベルがついた小さなワインや、タオルや手ぬぐいなど。「籠盛」というのは、食料品を籠に詰めたもののことです。昔はお頭つきの鯛、赤飯、かまぼこなどでしたが、近年は乾物やかつおぶし、ハムなど日持ちのする食品が選ばれています。「記念品」は食器やカタログギフトなど、一般的な引き出物のイメージです。全国的にはシンプルな引き出物になる傾向がある中、新潟の引き出物は全国平均より品目も多く、相場も高くなりがちです。