最近、入籍したが挙式・披露宴はしない、「ナシ婚」が増えているようです。
株式会社矢野経済研究所の「ブライダル市場に関する調査結果2014」でみると、挙式披露宴・披露パーティ市場規模は、前年比100.8%で1 兆4,400 億円と2010年から2012年まで減少を続けてきたところから、2013年は微増に転じました。ホテルや式場など一部では1 組あたりの単価は上昇傾向にあるようです。しかしいわゆる「ナシ婚」の増加や、比較的費用を抑制できるリゾート挙式や少人数による会食などの簡素化が進んでいることにより、全体として市場は微増に留まりました。それを証明するように、婚礼検討者の会場見学件数も1組あたり平均5~6件から平均2~3件と見学件数を絞り込む傾向がみられます。
どうして、このような「ナシ婚」を選択するカップルが増えてきているのでしょうか。
「経済的事情」「授かり婚」「セレモニー的行為が嫌」が三大理由
国内最大級の結婚式情報サイトを運営する株式会社みんなのウェディングでは、毎年「ナシ婚層」の傾向把握を目的としたアンケート調査結果を公開しています。
この「ナシ婚実態調査レポート2015」(http://www.mwed.co.jp/press/release/20150312140000)によると、「ナシ婚」となる三大理由を単一回答で質問してみたところ、過去4年間と同様に「経済的事情(23.1%)」「さずかり婚(20.6%)」「セレモニー的行為が嫌(15.5%)」が、三大理由となっています。
これを複数回答で質問すると、「見積ってはいないが費用が高そうだから(43.4%)」が過去4年間の推移で10.4ポイントも上昇してきています。結婚が決まっても、挙式・披露宴の費用を調べることなく、「ナシ婚」という結論を出す傾向が高まっているようです。
両親・親族へのけじめよりも、二人のために「お金」は使う?
「経済的事情」で「ナシ婚」が広がってきた背景にあるのは、2000年(平成12年)以降、国税庁が公表しているように、サラリーマンの給与が低迷しているからです。
この2000年以降は、年控除列や終身雇用といったものから成果主義、実力主義へと日本企業が大きく様変わりをしていった時期と重なります。そして、このような社会の変化と、結婚世代といわれる20~30代の男女が、社会進出した時期もこの頃なのです。
年齢を重ねていっても、収入が増えていかないことに慣れてしまった世代にとっては、両親・親族へのけじめとなるような挙式・披露宴よりも、結婚後の新生活や新婚旅行といった、二人のために「お金」は使いたいと考えているのです。
ホンネでは「将来、式を挙げたい」人も
「ナシ婚実態調査レポート2015」では、今後、挙式・披露宴の予定についても質問しています。
すると、回答者の36.4%が「具体的な予定はない(将来的にあるかもしれない)」と回答しています。特に授かり婚や、結婚後すぐに妊娠してしまったカップルでは、挙式・披露宴を実施したい意欲が秘められていることがわかりました。
ここからは個人的な意見ですが、「ナシ婚」層の意見をみると、やや我慢しているような印象を受けます。特に両親や親族に対するけじめというよりも、二人の思い出としての挙式・披露宴を挙げることを検討してみてはどうでしょうか。
「ナシ婚実態調査レポート2015」でも、入籍以外に6割の方が「身内だけの食事会」を行っています。挙式・披露宴に代わるものとして、身内に挨拶・報告を兼ねた食事会をしているのです。この傾向は、4年連続変わりません。
セレモニー的なグレード感はないかもしれませんが、そのような思い出のためのイベントは、二人のスタートを祝福してくれる人達のために、開いてみてもいいのではないでしょうか?