所変わればお祝いのしかたもいろいろ。衣装、食べ物、引き出物…日本各地の結婚式を紹介します。
今回は名古屋です。昭和の時代には派手な結婚式や嫁入り道具を満載したトラックなど、豪華で派手な風習で有名だった名古屋の結婚。「娘を三人持てば親が破産する」と言われるほどでした。近年は結婚にかかる費用も全国平均と大きな差はなく、その後の結婚生活や新婚旅行も重視する他の地域とそれほど変わりなくなっています。
本当にド派手?名古屋の結婚式
菓子まき
新婦が結婚する日の朝に、家の2階や屋根から新婦の親族が菓子、お餅や現金などをまいていた「菓子まき」。近所の人や子どもたちが群がって大変盛り上がっていたといいます。今では家で「菓子まき」をする人はほとんどいませんが、披露宴での演出としては健在。東海地方では、結婚式を行ったカップルのおよそ4組に1組が披露宴の演出として「菓子まき」「菓子配り」を実施しています(2010年度)。500円程度の軽いお菓子を新郎新婦が高いところからまき、ゲストみんなでキャッチするというもので、とても盛り上がる人気のプログラムです。
引き出物
昔は「重ければ重いほどいい」といわれていた名古屋の引き出物も、最近では軽くてかさばらないカタログギフトが一般的になりました。予算もゲスト一人あたり3点で合計5,000~8,000円程度と、他の地域と変わりません。中身は記念品・引き菓子・名披露目(なびろめ)の3点がもっとも多いようです。
記念品
食器やグラスなどが多く、最近はカタログギフトで自由に選ぶタイプが増えてきています。約3,000~5,000円。ちなみに引き出物として他の地域でも定番の「ノリタケ」や「ナルミ」は、「名古屋ブランドだからうれしい」という声の一方、すでに家の食器棚にあふれているという声も。のしには両家の名を入れます。
引き菓子
バームクーヘンや焼き菓子の詰め合わせなど。約1,000~1,500円。のしには「寿」のみ。
名披露目
名披露目(なびろめ)とは、新しく家にきた嫁を近所に紹介するために、嫁の名前を書いたのしをつけた品物を持って近所に挨拶回りをしたときの名残です。東海地方特有の引出物の一つで、タオルや箸セット、鰹節などの品物に現在は新郎新婦の名前を書いたのしをかけて贈ります。約1000~1500円程度。
名古屋三越ブライダル
http://nagoya.mitsukoshi.co.jp/bridal/index.html「家」と「家」の結婚だった時代にあった伝統的な習慣が、少しずつカタチを変えて結婚式に残っているなんて素敵ですね。「菓子まき」については、なじみのないゲストには「せっかくおしゃれして出席してるのにいい大人がお菓子を拾うなんて」という感想もあるようです。でも、もしその地域特有のめずらしい結婚式の演出や方法に出会ったら、「この地域にはこんな習慣があるんだ」「自分の地域にはない演出だな」と柔軟に楽しみたいですね。