結婚式・披露宴をしない、するとしても二人きりの海外ウェディングやフォトウェディングのみにする、といったカップルが増えています。一方で彼らは結婚式の代わりに両家親族の会食の場をしっかりともっておくのが最近の傾向。結婚式を挙げないカップルのために、両家が揃って結婚を祝い、互いの家族の親睦を深める食事会の開き方を解説します。
結婚式を挙げないカップルのための「両家食事会」のポイント
1. 会食の目的
家族同士が一堂に会して、食事をしながら親睦を深める両家の会食。その「目的」としては大きく分けて2つのパターンが考えられます。
目的1:親同士の顔合わせ
両家の親同士が、遠方に住んでいたり、スケジュールの都合が合わなかったりと、二人の結婚前にまだ顔合わせがされていない場合、会食は親の初めての顔合わせを兼ねることになります。和やかな雰囲気になるよう、歓談の時間に新郎新婦が積極的に会話のきっかけを作りましょう。
目的2:親以外の親族紹介
親同士は結婚前にすでに顔合わせが済んでいる場合、顔合わせのときには対面していない親族(祖父母・きょうだい・おじおばなど)同士の紹介が趣旨になります。どんな続柄の親族が参加するのか、相手側とあらかじめ共有しておきましょう。
どちらにも共通するのは・・・
同時に、両家の会食は、上記2パターンに共通して、結婚式・披露宴を挙げない新郎新婦をお祝いする場・改めてお披露する場としての目的があります。少人数ウェディングをイメージすると近いでしょう。新郎新婦は主役ですが、これまで慈しみ支えてくれた親族への感謝の気持ちを忘れずに、おもてなしをしましょう。
顔合わせだから、会食だからといって堅苦しく考える必要はありません。結婚式のように、新郎新婦が二人らしく楽しめ、親族に喜んでもらえる会食を計画してみましょう。ただ地域や親族のルールがある場合もあるため、親へ確認しながら進めると安心です。 それでは会食の段取りやポイントについて見ていきましょう。
2. 会食をセッティングしよう
結婚式の代わりとなる会食は、基本的には両家顔合わせの食事会と同じようなものと考えていいでしょう。ただ、一般的な両家顔合わせの場合には両親のみとなる場合も多いですが、挙式をしないカップルの会食ではお互いのきょうだいや祖父母、おじ・おばなど、少し幅広く顔ぶれを揃えるというケースも多くあります。親族をどこまで招待するかはお互いに目安を決めてだいたい合せておくようにしましょう。無理やり人数を揃える必要はありません。
会場
会食の会場は、料亭やホテル、個室のあるレストランなどがおすすめ。結納や両家顔合わせのプランがある会場だと、会場スタッフも慣れているため安心です。周りの来客に気を遣わずに過ごせるよう、個室がある会場を選ぶようにします。
立地はアクセスの良さを重視して選ぶといいでしょう。特にどちらかの出身地で行う場合や、二人の新居近くで行う場合など、その土地に不慣れな親族がいる場合にはアクセスが重要になります。駅まで迎えに行く、タクシーや送迎を手配するなど気配りを。
食事内容
おいしい食事は自然と表情が明るくなり、会話のきっかけにもなるものです。最新のグルメや話題のメニューよりも、誰でもおいしく食べられる食事を選ぶといいでしょう。
あらたまった雰囲気の席ではありますが、だからといってあまり堅苦しい洋食のコース料理ではなおのこと気疲れしてしまうことも考えられます。両家ともに洋食のコースに慣れている場合などを除き、お箸で食べられる和食が無難に喜ばれるようです。自分たちが食べたいものではなく、みんなが喜んでくれる食べものかどうかが重要です。また、せっかくのお祝いの席ですから、お祝いの会食向きのメニューもお店に相談して取り入れるといいでしょう。
予算
料亭やホテルにはいくつかのコースがあり、料理の素材・内容・数によってお値段も様々です。ある程度の華やかさはほしいですが、緊張感もあり、また両親の年齢によってはあまり多くは食べられないことも。お料理は5千~1万円程度を目安とするのがおすすめです。
またドリンクは別オーダーとなっている場合がほとんどで、さらにサービス料・税金も必要となりますので、すべて含めて一人1~2万円を目安とするといいでしょう。
会食の費用はいただかず、新郎新婦二人でもつことが前提となります。当日にご祝儀をいただいた場合にはありがたく受け取りますが、会食は自分たちの身の丈にあった出来る範囲の予算で計画しましょう。
3. ウェディング気分を高める演出
改めて親睦を図るのが会食の目的ですが、せっかくですから結婚式や披露宴のような演出を取り入れるのもおすすめです。まずは新郎新婦からウェルカムスピーチをしましょう。そのあとにもこじんまりした演出をはさむと、より家族の思い出を深められます。
ウェルカムスピーチ
まず全員が席に着いたら、新郎新婦からウェルカムスピーチを。集まってくれたお礼、無事に結婚できた報告、今日は楽しんでほしい旨などを伝えましょう。その後、お互いの親族を紹介する流れにすればスムーズです。
親族紹介
親族紹介は新郎新婦がそれぞれの親族を紹介する、お互いの代表者(父親または母親が一般的)が紹介する、という方法のほか、全員に自己紹介をしてもらう方法もカジュアルでおすすめです。
新郎新婦との続柄だけでなく、趣味や新郎新婦との思い出、新婚の二人へのメッセージなど一言添えると、場が和やかになりそうです。
衣裳
新郎新婦の服装はスーツとワンピースなどでもかまいませんが、タキシードとウェディングドレス、または和装も素敵です。親族が一堂に会す場で、晴れ姿を見せる貴重な機会です。
衣裳のレンタル先を紹介してもらえる会場や、持ち込み可能な会場も多くあるため、確認してみるといいでしょう。婚礼衣裳、婚礼衣装を着た撮影、食事(衣裳を着たまま食事ができるものも)、がすべてセットになったプランもあります。(→ Pridal をチェック)
指輪の披露
二人から結婚の報告をし、結婚指輪を披露します。夫婦になった証として伝わりやすいのが指輪ですから、照れくさくてもしっかりと披露してくださいね。
ウェディングケーキ
会食のコースがあるような会場の場合、ウェディングケーキを注文できることも多いようです。人数と予算、希望のデコレーションなどを伝えて用意してもらいましょう。
ケーキ入刀やファーストバイトのセレモニーがあれば、アットホームな披露宴のような雰囲気になるはずです。
写真撮影
あまり演出は取り入れたくない、というカップルでも必ずしておきたいのが写真撮影。2つの家族が揃うことはなかなかありませんから、この機会に全員で家族写真を撮りましょう。
撮影のタイミングは、乾杯をして顔が赤くなってしまう前がいいでしょう。ただ、食事が進むにつれて和やかな空気になってきますから、表情がほぐれた後半に撮りなおすのもおすすめです。
閉宴のあいさつ
会食の時間の目安は、2時間前後が一般的です。会場を予約する時点で確認しておき、進行役でもある新郎新婦はあまりお酒を飲みすぎないようにしましょう。
閉宴が近づいたら、再度二人からあいさつを。感謝とともに、これからの新生活への意気込みを一言添えましょう。
4. 親族へのおもてなしに一工夫
お土産(引き出物・内祝い)
お土産を用意しましょう。両家の会食では、引き出物または内祝いを兼ねるものでもあるのでしっかり考えて用意しましょう。特に親族には額の大きいご祝儀をいただくことがありえますので、よく配慮して選びたいものです。ただし、お互いの両親のみが出席する場合には、あまり高価なものを用意する必要はないでしょう。
おすすめは、その土地ならではのお菓子など。おめでたい昆布のような縁起物を入れるのもいいでしょう。通常の包装だけでなく、熨斗をかけると丁寧です。
熨斗の表書きは引き出物ならば「寿」、内祝いならば「内祝い」となりますが、どちらにするかは地域や親族によってルール・考え方が異なる場合があります。親に相談し確認するほか、デパートや老舗の専門店などで、会食用であることを伝えて見繕ってもらうと安心です。食事をした会場でオリジナルの食品などお土産を扱っている場合は、その日の思い出を持ち帰るという意味でも喜ばれそうです。
このお土産は「来てくれてありがとう」というお礼の意味合いも強いため、ご祝儀をもらった・もらっていないに関わらず用意したいものです。せっかく来てくれたのに、手ぶらで帰すのは避けたいところ。
ご祝儀をまだもらっていない、当日ご祝儀をもらえそうだがどのくらいの額になるかわからないという場合には、お土産とは別に、ご祝儀をもらった後日に「内祝い」を贈る方法もあります。当日は2~3,000円程度のお土産のみにし、改めて内祝いの品を選んで贈るという考え方です。状況に応じて品物を選ぶといいでしょう。
交通費・宿泊費
会食は遠方から来てもらう場合などには、親きょうだいとはいえ交通費・宿泊費についても考えておきたいものです。
全て新郎新婦二人でまかなうのか、両家それぞれで分けるのか、飛行機や新幹線を利用する距離の場合だけ負担するのか…など、予算を立てる際に決めておきましょう。二人で負担するのが難しい場合は、親に確認を。また遠方から来ていて滞在する場合には、ホテルの手配も行うと親切です。
親族に子どもがいる場合
幼い甥・姪などがいる場合には和やかな雰囲気になりますが、相手側の親族は大人だけで厳かに会食をしたいと考えている場合もあります。会食をすることが決まったら、早いうちに義両親に「5歳の甥っ子がいて、賑やかになってしまうかもしれませんが大丈夫でしょうか?」のように確認をとるようにしましょう。
5. とくに注意したいポイント
結婚式に比べると準備することが少ない会食ですが、二人の門出を祝う大切なイベントであることは変わりません。特に両家親族が揃う機会はそう多くはないため、駆けつけてくれた全員に楽しく、気持ちよく過ごしてもらうためにはしっかりとした準備が必要です。
服装
忘れがちですが事前に確認しておきたいのが、「服装」と「手土産」です。どちらも両家の認識が食い違っているとちぐはぐになってしまい、せっかくのおめでたい席で気まずい思いをさせてしまうことに。結納のように両家ともスーツや着物といった改まった服装にするのか、ややカジュアルにするのか、など二人で決めた上で連絡しておきましょう。会場の格によっても決まるため、服装に関しては二人が率先して話し合いを。
親族が持参する手土産
また親族が持参する手土産(とくに親どうしの間で)についても、なしにするのか、用意する場合はだいたいいくらくらいにするのか、二人の間で決めておき、それぞれの親族にそれとなく伝えるようにしておくと安心です。
ご祝儀
結婚式を挙げないから、といってご祝儀を断る必要はありません。ありがたく頂戴し、二人の新生活費用や新婚旅行費用などに充て、その使いみちを報告すると喜ばれます。
ご祝儀をいただいたら内祝いを贈りましょう。会食の前にいただいた場合には当日に手渡すほか、前項でも述べたとおり、後日発送する方法もあります。
また、会食のみのウェディングの場合、友人や職場関係の知人にいただいたご祝儀には、半額程度の内祝いを贈るのがマナーです。
6. 実例
私はウェディングフォトは撮影しましたが結婚式を挙げず、入籍後は親族の会食のみ行いました。その際の内容を簡単に紹介してみたいと思います。
会場
新郎新婦が住む地域の、老舗料亭にて。 結納や顔合わせ、会食だけでなく、ウェディングも行っており、個室が多くさまざまな人数に対応していることも決め手でした。
参加人数
計11人(大人9人+子ども2人) 新郎新婦、新郎側両親、新郎側兄2人、新婦側母、新婦側兄夫婦、姪2人
料理
6,000円程度のコース+ドリンク別途。合計で約8.5万円。 結納や顔合わせなどに利用されるコースでしたが、入籍後の会食であることを伝えていたため、内容を少し変更してもらえたようです。乾杯用のお酒や吉祥柄の器など、料理以外にも気遣いをいただき、両家からも好評でした。乾杯以外にはお酒を頼まなかったため、ドリンク代はウーロン茶とジュースのみです。 姪2人は小学生のため、半額程度の子ども用のコースにしました。
演出
家族写真撮影
お土産
新郎新婦二人がよく利用する、チョコレート専門店のお菓子。一世帯あたり5000円を予算として、新郎側両親・新郎側兄2人(未婚)・新婦側母・新婦側兄(既婚)の5つを購入し、合計2.5万円程度。 日持ちがするもの・もし食べきれなくても近所に配れるものを選びました。
交通費
両家それぞれの家族で負担。 夫(新郎)は、隣県から参加の両親・長兄の分は新郎両親が負担、遠方から参加の次兄の航空券は夫が手配。 私(新婦)は、地元であったため新婦母の分はなし、遠方から飛行機で参加の兄家族の分は新婦母がお祝いとして負担してくれました。
服装
スマートカジュアル。 私は白っぽいベージュピンクのワンピースにしました。 男性はジャケット(ノーネクタイ可)、女性はパンツスーツやスカートなど。
親族が持参する手土産
お互いの親が2,000~3,000円程度の地元の銘菓を持参し交換。
7. フォトウェディング+会食、というスタイルも
結婚式を挙げずにフォトウェディングのみを希望するカップルの場合、フォトウェディングと会食を同じ日に行うプランが人気です。衣裳を親族に見てもらい、ウェディング気分が高まったまま会食ができるので、「晴れ姿を見たい」という親族にも好評です。
結婚式・披露宴のように長い準備期間を必要としないため、忙しいカップルやおめでた婚のカップルにもぴったり。会食よりもウェディングらしさがほしい、と考えるカップルにおすすめです。(→ Pridal をチェック)