1. 「新婦の手紙」とは?

いわゆる「新婦の手紙」とは、「親に育ててくれた感謝の気持ちを伝える」ために、披露宴がお開きになる前、花束贈呈の際に行う演出の一つです。個人的な手紙をゲスト皆の前で読むことや、「いかにもお涙頂戴の演出」というイメージが強いことから抵抗がある新婦も多いようですが、「恥ずかしかったけど思い切ってやってみたら両親が喜んでくれてよかった」、「披露宴の最後に新婦の気持ちや声が聞けて良かったとゲストにも好評だった」など、ふだんはなかなか伝えることができない親への感謝の気持ちを、一生に一回の機会に言うことができてよかったという声も多数。親子の歩みの一端を知ることができて、新婦の親族はもちろん、子どものころからの付き合いの友人や、新郎の親族からも好評の演出です。

2. 「新婦の手紙」書き方のコツ

2-1. 手紙の構成と文例

新婦の手紙は3段階(導入→エピソードや伝えたいこと→結びの言葉)で構成するのが基本です。時間は2~3分程度にまとめます。まずは子どものころからのアルバムを見てみたり、兄弟姉妹と話をしてみて具体的な出来事を思い出すままに書き出してみましょう。結婚式に相応しい話題の中から、どうしても伝えておきたいこと一つか二つに絞ります。

1段階目:導入(ゲストへのお礼+親への感謝の言葉)

出席しているゲストに対してこの場を借りて親への感謝を述べると一言断りを入れておきます。その後、親への呼びかけの後に感謝の言葉をつなぎます。

(文例)

「ご列席の皆さま、本日はまことにありがとうございます。この場をお借りして両親にあてた手紙を読ませていただきます。お父さん、お母さん、二人に手紙を書くのは初めてですね。仕事で忙しい中いつもたくさん話を聞いてくれたり、励ましてくれてありがとう。」

(文例)

「皆さま、今日はこんなに大勢の方から祝福をいただき本当にありがとうございます。そしてこの時間をお借りして、私を育ててくれた両親へ、感謝の一文を伝えることをお許し下さい。 お父さん、お母さん、今日の日をこのように迎えられて本当に幸せです。それも今まで○年間大切に育ててくれたお父さんとお母さんのおかげです。」

(文例)

「お父さん、お母さん、私がずっと結婚しないのではないかと心配させてしまいましたが、ようやくこの晴れ姿を見せられる日が来ました。いままで長い間いつでも寄り添って支えてくれたことに感謝しています。」

2段階目:主題(思い出や感謝の気持ちを伝えるエピソード)

大人になった今だからこそ、パートナーと一緒に夫婦としてスタートする今日だからこそ感じることを素直な気持ちで伝えてみましょう。

(エピソード探しのヒント)

  • 両親の尊敬しているところ
  • 両親の好きなところ
  • 自分の家族の特徴、家訓、習慣
  • 真似したい子どもの育て方
  • 子どもの頃の思い出
  • 悩んで相談したこと
  • 心配をかけて謝りたいこと
(文例)

「私は小さいころから負けず嫌いで物事をはっきりと言うので、男の子とけんかをしたり、納得するまで相手を問い詰めたり、お父さん、お母さんをいつもハラハラさせてきました。大きくなってからも海外に留学したいと言って二人をびっくりさせましたが、一度の人生だから後悔のないように行ってきなさい、と迷わず賛成してくれたときはとてもうれしかったです。」

(文例)

「二人とも仕事が忙しいにもかかわらず、私たち子どものことをいつも一番に考えてくれて、お父さんは仕事の合間に学校の行事にかけつけてくれたり、お母さんはいつも美味しいお弁当を作ってくれましたね。社会人として働いてからは、迷ったり悩んだりしたときには話を聞いてくれたり、自分の経験を話してくれました。」

3段階目:結び(新生活への抱負、親への感謝や相手の親へのメッセージ)

どのような家庭にしたいか、どのような夫婦になりたいか、今後どのような親子の付き合いをしていきたいか、相手の親への挨拶などで締めくくります。

(文例)

「お父さん、お母さん、これからも体に気をつけて長生きして親孝行をたくさんさせてください。」

(文例)

「○○さんと二人でお父さんをお母さんのようなお互いを尊敬しあって共通の趣味を楽しめるような夫婦になっていきたいと思っています。」

(文例)

「最後になってしまいましたが、○○さんのお父さま、お母さま、未熟な私ですが一生懸命頑張りますのでどうぞご指導ください。よろしくお願いいたします。」

2-2. マナーとチェックポイント

  • 結婚式の1週間前~3日前をめどに書いておくといいでしょう。
  • 父親だけ、または母親だけ、とどちらかいっぽうにだけ向けた手紙にならないようバランスの取れた内容にします。
  • 冒頭はいつもの呼び方で「呼びかけ」にするとスムーズな出だしに。
  • 言いたいことはたくさんあっても内容を絞って分かりやすく簡潔に。
  • 300字程度、2~3分以内にまとめます。長すぎる手紙は×。
  • 敬語の使い方は正しいか。
  • 難しすぎる表現やオーバーな表現はないか。
  • 落ち着いてゆっくり気持ちを込めて話します。
  • 下を向いて手紙の棒読みは×
  • 身内ネタや失敗談、自慢話はNG。

3. 「新婦の手紙」におすすめ・定番BGM

洋楽、邦楽、クラシック・・・自分の好きな曲や親の好みの曲、家族みんなで歌った曲、ピアノの発表会で弾いた曲などの中から、スローテンポな曲を選ぶと手紙が読みやすいでしょう。ボーカルなしのインストゥルメンタルやオルゴールバージョンなど同じ曲でも雰囲気が異なるので聞き比べてみても○。

クラシック

  • 「アヴェ・マリア」 シューベルト
  • 「カノン」 パッヘルベル
  • 「愛のワルツ」 ブラームス
  • 「G線上のアリア」 バッハ
  • 「アメイジング・グレイス」

邦楽

  • 「ありがとう」 いきものがかり
  • 「Story」 AI
  • 「手紙」 back number
  • 「大丈夫」 ji ma ma
  • 「道標」 福山雅治

洋楽

  • 「The Rose」 Bette Midler(ベット・ミドラー)  その他Westlife(ウェストライフ)などカバー多数。
  • 「You Raise Me Up」 Secret Garden(シークレット・ガーデン)
  • 「The Gift」 Blue(ブルー)
  • 「From This Moment On」 Shania Twain(シャナイア・トゥエイン)
  • 「You Are So Beautiful」 Joe Cocker(ジョー・コッカー)