1. 友人代表スピーチの意味と心がまえ
友人代表のスピーチとは、新郎側、新婦側それぞれの「友人の代表」として祝辞を述べることです。一番仲の良い友人や、幼なじみ、二人を引き合わせた人などが行うのが主流ですが、披露宴によっては出席する友人の中で肩書のある人が選ばれることもあります。友人代表として新郎新婦にお祝いを言う機会を与えられるということはとても光栄なことなので、もし頼まれたら喜んで引き受けましょう。一度引き受けたら、万が一のことがない限り欠席やキャンセルをしてはいけません。新郎新婦や一緒に出席している友人たちに恥ずかしい思いをさせないよう、明るくさわやかな服装で落ち着いた信頼できる態度を心がけましょう。
2. 祝辞(スピーチ)をつくるポイント、手順
ステップ1 確認事項
友人代表として祝辞を頼まれたら、以下のことを事前に確認しておきましょう。
- 新郎新婦の名前(漢字と読み方)
- 結婚式の日時と場所
- 披露宴の形式と招待客の人数
- スピーチの順番と持ち時間
ステップ2 エピソード書き出し
友人代表のスピーチは3段階(導入→新郎新婦のエピソード→結びの言葉)。時間は3分程度にまとめます。新郎新婦をゲストに紹介するつもりで、まずは新郎か新婦との出会いや、一緒にしたことや行ったこと、話したことなど具体的な出来事を思い出すままに書き出します。ゲストの中には、新郎に初めて会う新婦側のゲスト、新婦に初めて会う新郎側のゲストもいるので、もしわかれば新郎新婦のなれそめや人となりが分かるような出来事を1つか2つ絞り分かりやすく話しようにします。
エピソード例
- 驚かされた意外な面
- 出会った頃の印象や出来事
- 会社や学校、仲間内でのキャラクター
- 授業、行事、仕事上の思い出
- 昔から付き合っていて変わったこと、変わらないこと
- 自分だけが知っている新郎新婦の出会いや付き合いを深めたきっかけ
ステップ3 スピーチを組み立てる
導入(お祝いのことば+招待のお礼)
新郎新婦に対するお祝いの言葉と、結婚式に招待してくれたことに対してお礼を述べます。新郎新婦が起立している場合は、「皆さま、どうぞご着席下さい。」と先に着席を促します。
「ただいまご紹介いただきました□□と申します。○○くん、△△さんご結婚おめでとうございます。ならびに△△家・□□家ご両家のご親族の皆様誠におめでとうございます。○○さんの友人といたしまして、お祝いの言葉を述べさせていただきたいと思います。」
「○○くん、△△さん、ご結婚おめでとう!こんなに素敵なパーティーにお招きいただきましてありがとうございます。」
新郎新婦との関係、新郎新婦のエピソードや人物紹介
新郎新婦との関係や出会い、仲良くなったきっかけなどを述べた後、新郎または新婦をほめるエピソードを紹介します。「真面目」「明るい」「努力家」「優しい」「面倒見がいい」など、人柄や長所が分かる具体的なエピソードを披露しましょう。
「○○くんとは小学生の時から20年以上の付き合いになります。転校生として新しくクラスに入ってきた私に最初に声をかけてくれたのが○○くんで、近所のことを教えてくれたり、休み時間に一緒に遊ぼうと誘ってくれました。○○くんのおおらかで優しい人柄のおかげで、内気な私にもたくさんの友だちができ、充実した楽しい小学校生活を送ることができました。」
「△△さんの大学時代のサークルの後輩の□□と申します。□□サークルでお二人は皆が憧れる理想のカップルとして有名でした。大学祭で○○を開催した時も、お二人は議論に議論を重ねてリーダーシップを発揮され、サークル仲間を引っ張ってくださいました。・・・現在も共通の夢に向かってお互いに高め合っているお二人ですから、きっと素晴らしい家庭を築いていかれることと思います。」
結び(はなむけのことば)
2人で新しい人生を歩み始めた新郎新婦に対して、改めてお祝いや励ましなどエールを送る言葉で結びます。
「これからも、どうぞ末永くお幸せにお過ごしください。本日このような晴れの場を迎えられましたこと、本当に心よりお祝い申し上げます。 これをもちまして、お二人のはなむけの言葉とさせていただきます。 おめでとうございます。」
「今からのお二人の新婚生活を大切に、そして末永く幸せなご家庭を築いて下さい。簡単ではありますが祝辞に代えさせていただきます。」
3.友人スピーチのマナー
様々な立場の人が居合わせるあらたまった場です。友人スピーチはマナーにも十分気をつけましょう。
- 長すぎないように分かりやすく簡潔に。
- 披露宴には両家の親戚や職場の上司など目上の人や年配の方もいます。仲のいい友人だからといってくだけすぎたり、はしゃぎすぎたりすることないよう気をつけましょう。
- はっきりと落ち着いてゆっくり話す。
- 飲みすぎない。
- 下を向いて原稿の棒読みは×。
- 忌み言葉に気をつけて。
忌み言葉
結婚式のスピーチにはお祝い事ならではの使ってはいけない言葉(忌み言葉)があります。とくに年配の招待客が多い披露宴では気にする方もいらっしゃるので、出来上がった原稿をチェックしておきましょう。
- 別れや不幸を連想させる言葉:去る、切る、壊れる、死、苦、消える、など
- 再婚を連想させる言葉:戻る、繰り返す、再び、など
- 重ね言葉:ますます、またまた、たびたび、など
- 「最後に」「おしまいに」は、「結びに」に言い換えます。
NGの話題
次のような新郎新婦の人格を傷つけるような内容はないか注意します。
- 内輪ネタや失敗談
- 異性関係の暴露
- 年齢や身体的特徴に関すること
- 下ネタ
- 自慢話
- 政治や宗教
- プライバシーに立ち入るような発言(収入、学歴、出産など)
4.結婚式当日の流れとポイント
さて、いよいよ結婚式当日、スピーチをスタートして終わるまでの流れと、振る舞いのポイントは以下のとおりです。
- 披露宴の受付開始時間に合わせてぎりぎりにならないよう、余裕をもって会場入りします。
- クロークに不要な荷物を預けたり、受付をしたり、トイレを済ませておきます。
- 披露宴が始まり、スピーチの順番が来たら、司会者がまず「次に、新郎の幼なじみである○○様よりご祝辞を頂戴いたします」と紹介しますのでそれに続きます。
- 同卓のゲストに向かって着席したまま軽く一礼します。次に、その場で立ち上がり出席者全員に対して一礼し、マイクの置かれている立ち位置までゆっくり歩いていきます。
- マイクの前に立ってまず新郎新婦にゆっくり一礼し、会場全体にもう一礼します。
- 口元はマイクから15~20センチくらいの位置を目安にします。
- 原稿やメモをなるべくなら見ないほうが伝わりますが、メモを時々見ながらでも、目線は新郎新婦や親族、他のゲストなどに配りながら落ち着いてゆっくり話しましょう。
- スピーチが終わったら会場全体に向かってゆっくり一礼、新郎新婦にも一礼、テーブルの自分の席に戻り同卓のゲストに向かって礼をします。