日本のタイトルが『あなたは私の婿になる』なので、男性が女性の家に婿入りする話かと誤解しがちですが、原題は「The Proposal」(結婚の申し込み)です。原題通りにサンドラ・ブロック演ずるニューヨークの出版社で働く40歳の仕事一筋のキャリアウーマン、マーガレットが、彼女の部下である28歳のライアン・レイノルズ演ずるアンドニューに結婚を申し込みます。
マーガレットはカナダ人ですが、ビザの申請を怠ったため、国外退去を命じられてしまい、仕事を失いたくない一心でアメリカ人であるアンドニューに偽装結婚を持ち掛けたのです。彼も編集者にしてもらうことを条件に承諾します。お互いにこれは契約、マーガレットがアメリカの永住権を手に入れたらさっさと離婚するつもりでした。しかし、アンドニューの実家であるアラスカで彼の家族とともに過ごすうちに2人の関係は変化していきます。
最後はお決まりのハッピーエンドですが、サンドラ・ブロックとライアン・レイノルズがデコボコカップルを好演しており、見ごたえ十分のラブコメディーです。
孤独な猛烈キャリアウーマンが忘れていたのは恋だけではなかった…
マーガレットは仕事命のキャリアウーマンであり、仕事以外まったく興味がない女性。とても優秀で成功している女性ですが、その仕事っぷりも猛烈で、職場では“魔女”と恐れられるほど。40歳で現在恋人がいないこと、もちろん結婚していないこともなんとも思っていないようにみし、12歳年下で部下のアンドニューなどもちろん眼中にありません。
アンドリューにとっても容赦なく顎でこき使ってくる年上の鬼上司である彼女は恋愛対象外。お互いこの上なくミスマッチなカップルなのです。
しかし、2人の結婚は永住権目当ての“偽装”ではないかと移民局から疑われてしまいます。(その通りなのですが…)移民局からのテストをクリアーするにはマーガレットがアンドニューについよく知らなければいけません。アンドニューはマーガレットに3年も使えていたため彼女のことをよく知っていますが、彼女は彼のことをほとんど知らないのです。そして、移民局に偽造結婚とばれた場合、マーガレットは強制送還、アンドニューは刑務所行きになってしまう…
マーガレットがアンドニューについてよく知り、偽造ではないとカモフラジューするために結婚の報告をかねて2人はアンドンリューの家族が住んでいるアラスカでともに過ごすことになります。
まったく不似合なデコボコな2人ですが、マーガレットはアンドリューを1人の男性と知るうちに、アンドリューはマーガレットの意外にも可愛げのある素顔を知っていくうちに段々と心が近づいていきます。しかし、マーガレットはアンドリューを愛するおばあちゃん、お母さん、お父さん、お姉さんのことを知ったことにより、家族の暖かさを思いだし、彼らをだますことに罪悪感を感じてしまうのです。
マーガレットがこれまで心を閉ざしてひたすら仕事に打ち込んできたのは、16歳のとき家族を失い、それからたった1人で生きてきたため。アンドリューの結婚を喜び、その幸せを願う家族の姿をみて、彼らを裏切るようなことをさせてはいけないと孤独な彼女だからこそ余計にそう感じたのかもしれません。
結婚とは家族を作ること…だからこそ、2人だけでは完結しない!
マーガレットにしてもアンドリューでさえも、当初は2人さえよければ結婚も離婚も簡単と思っており、それ故に偽造結婚の契約を交わしていました。しかし、実際は結婚とは2人さえよければいいというものではなかったのです。子ども、孫、兄弟の結婚は、家族にとってもとても大切なものですし、新たに家族を受け入れるということでもあります。そのことを改めて考えさせられる映画でした。
マーガレットと同年代の筆者が「羨ましいなぁ…素敵だわぁ…」とキュンとなるシーンも満載でしたので、とくにアラフォーの女性必見です。